美しき島に思いを寄せて

旅行をする時、最も楽しいのは目的地に辿り着くことよりも、それまでの過程ではないかと、常々思っています。
こういう話を書いていてもそれは同じで……第七話は書いていて本当に楽しかった。
物語の舞台はそれまでの僻地や極限の地、海上ではなく実在する外国。物語を彩る材料としての歴史や文化を調べるのは、自身の好奇心を満たすという意味でも大変、満足しました。
特に今回は朝食をはじめとする、台湾の食について調べるのはとても楽しい一方、真夜中に調べるというセルフ飯テロに涙を流したことも……。
陽輝もひたすら、食を楽しめたのではないかと。彼にとって、今後目の当たりにするこの世の地獄を前にした、ボーナスステージでしょう。
作者にとっても楽しめた第七話は終わるまで時間がかかりました。一通りは去年の秋までに書いていたのですが、その後の推敲で手間取ったのは……完成度ではなく、「書き終えたくない」という作者のエゴです。
特に今回のラストシーン。表記していないが「戦争代理人」には各話毎のタイトルを設定していて、第七話は「東方美人」。そしてそれに準じたものにできました。

この「美しき島」の現実ですが……独立の動きがあるというのを耳にしました。
これは以前からあるもので、現在の国名を継続する場合から、新たに建国するという考えまであるそうです。その国名候補の一つが「台湾共和国」。
私は戦争を称揚するつもりも歓迎する気もありません。戦争なんてものはしないのに限るのですが、外交の延長としての意味合いもあります。
どこぞの、平和を訴えてるくせにやたらと暴力的で攻撃的な連中みたいに、ひたすら「戦争ヘンターイ」なんて叫んでも平和なんてきませんから。
そう理解している上で、平和的に話が付くのがベストと思っています。
が、最近の香港やチベット、ウイグル、内モンゴルなんか見てるとね。緊張することはあっても、大事なく片付いてほしいものです。
そして楽しい話を書かせてくれた、「美しき島」のすべての住人に幸多からんことを。

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