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小説の書き方?作法?面白けりゃいいんだよ。

大丈夫です、荒れてません。笑
そう作者から言われているような気がする小説を発見してしまったのです。

「蜜蜂と遠雷」、ご存知でしょうか?

明日から映画上映もされますし、書店の店頭に文庫本が置いてあるので、目にした事あるわって方も多いはず。

映画化もされるし面白いはず。口コミの評価も高いし読んでみよう、とちょっくら立ち読みしてみたんです。
そのまま20ページ近く読み進めてしまった為、上下巻購入して帰りました。

いや、面白いです。
まだ上巻の半分くらいまでしか読んでないんですが、夢中になって読んでいます。

ストーリーもさる事ながら、小説を書いている身として驚く事がたくさんありました。
下に書いた小説のお作法的な話、どこかで聞いた事があるかと思います。

・三人称視点で書いている場合、登場人物の心の声を地の文に入れるべきでない。
・台詞は3回以上続けて書かない。(地の文で区切る)
・章の途中で、唐突に別の人物に視点変更しない。

これら全部、「蜜蜂と遠雷」はやってるんですよ。

なのに、人の心情を地の文に入れてるのに邪魔にならない。
3回以上台詞が続いている所で、情緒を感じられる。
章の途中で人物が切り替わったのに、すんなりと「そういうルールね」と受け入れられる。

プロすげぇ…(゚Д゚)ってなりました。

文字の使い方でも、面白いなぁって思った所がありました。
序盤辺りで登場人物が慌ててるシーンがあるんです。混乱してるけど落ち着こうとしてるような、自分の気持ちを分析しようとしてる感情を、句読点を使って表してるんです。
そういう感情を、言葉ではなく句読点で表現してる。文字なら全て使って表現しようとする所が面白かったです。

あと、ストーリーが面白い。とても大衆向けな作品なのではないかと思います。
なんというか、少年漫画みたいな出たしなんですよ。皆好きだよね、こういう展開!みたいな。

私も途中までしか読んでないので出だししか紹介出来ないんですが、あらすじはピアノコンクールに参加する数名の男女の群像劇みたいな感じです。
それぞれの視点から見たピアノコンクールや生い立ちなんかを追っていきます。

まず出だしが、なんでそうなの?という不思議を畳み掛けられます。

フランスのピアノコンクールでコンテスタント(参加者)達の演奏を、つまらなそうに見ている審査員達。
私達はピアノの上手な子を決めたい訳じゃない、スターを見つけにきたのよ。

そんな事を審査員が思っている頃、会場裏にコンテスタントの少年がやってくる。
遅れてきた少年を警備員が急かすと、彼はその前に手を洗わせて欲しい、と言った。
少年の手を見ると、何故だか泥だらけ。これからピアノコンクールに出ようというピアニストの手が、こんな状態になってるなんて事あるか?と警備員は訝しみます。
少年に手を洗わせ、今度は着替えをするように言うと、これで出ては駄目ですか?と着てきたラフな私服姿を示してみせる。
彼は結局そのまま舞台に上がる事になり、審査員達もその出で立ちに呆気に取られてしまう。
でもひとたびピアノを弾くと…。

慌てて彼の経歴書を見ると、コンクール受賞暦は一切なし。全くの無名。本来なら書類選考で落とされていてもおかしくない経歴。
しかし備考欄に、偉大な音楽家であるホフマン(故人)の推薦状付きと書いてある。
他の審査員が彼を合格させよう!と言う中、1人の女性審査員だけはそれを強く拒否します。
あれはホフマンの音楽への冒涜だ!と。

後日ホフマンの遺言状を読むと、少年の事が書かれていた。
彼は少年について、こう書いている。
「爆弾を仕掛けておいたよ」

ここまで読んで、気付いたらレジに持っていってました。笑

最初はただ、耳で感じる音楽を、どう文字で表現するのかなぁと興味があっただけでした。
音を文字で表すというのは、実は相性が良いのかもしれません。
音楽も音以外の色々な物に例えて言い表されるし、登場人物達も音に対して色んな比喩表現を使います。

表現する創作者として、音楽家も小説も近しいものがあるのかもしれないなぁ、と思いました。

オススメですよ(´ω`)♪

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