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雨音に沈む夜の粒子

 雨音が夜を濡らしている
 横たわる記憶はいつも同じ風景で
 水たまりをタイヤが弾いていく
 闇を見上げる

 形のないものが形になる
 形のあるものが形をなくしていく
 ただそれを繰り返しているだけ
 虚しく手を伸ばす

 時計は時間を形にする
 今がハッキリと認識される
 知りたいのに知りたくない
 永遠なんてどこにもない

 世の中の色んな格言が
 頭の中で色を失っていく
 小さい自分が消えてなくなる
 何も知らない方が幸せ

 心の中のタイムマシンは
 この繊細な粒子の中で幻を見せる
 夢に酔っていたいんだ
 ただ静かに漂っていたんだ

 もう邪魔をしないで欲しい
 何の刺激もいらない
 どこに行く宛もない
 信号はずっと点滅中なんだ

 目に見える全てと
 心に感じる全て
 心臓が動いている
 まだ役割は残っている

 雨は降り続ける
 雨音が聞こえなくなっても
 何もかも洗い流していく
 少しは軽くなっただろうか

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