試し書きしたので貼っておきます。
よかったら、読んでください。


タイトル:負け戦から始まる異世界征服

第一話タイトル:土下座から始まる異世界人生

俺の異世界転生は、土下座から始まった。
目の前には、偉そうにふんぞり返った男がいて、土下座する俺を冷たく見下ろしている。

「我が帝国に従うなら、命は取るまい。だが、帝国に逆らうなら皆殺しだ!」

怖い……ちびりそうだ!
どうして、こうなった!?


――約一時間前。

会社帰りの俺は、車にひかれそうになった親子を助けた。
親子は助かったのだが、俺は車にはねられ強烈な痛みの中意識を失った。
おそらく死んだのだろう。

気が付くと神と名乗るおじいさんがいて、善行の褒美に異世界に転生させてくれると言うのだ。
俺は喜んで、異世界転生をお願いした。

再び目が覚めると、俺は草の上に寝かされていた。

「あっ……痛い……」

全身が痛む。体を見ると傷だらけだ。
それに、体が小さくなっている……。どうやら、子供に転生したらしい。

「おお! 目が覚めたか!」

「はっ!? はあ……。あの、どちら様でしょうか?」

「何を言っておるのだ? ワシだ! ○○だ! オマエの叔父だ!」

「えっ!? おじさんですか!?」

叔父と名乗る○○は、粗末な布の服を着たヨーロッパ人っぽいおじさんだ。
俺は記憶喪失ということにして、叔父○○から情報を引き出すことにした。

俺の名は××。△族の族長の息子で十三歳らしい。
■帝国が侵略してきて、つい先ほどまで戦っていた。
戦いの中で、俺の父グンダハルは戦死。俺も重傷を負い生死の境をさまよっていたそうだ。

ふむ……状況から察するに、今の俺の体の主だった××は、戦で死んだのだろう。そこへ俺の魂が神様によって、ぶち込まれた……。そんなところじゃないだろうか?

「オマエが無事で良かった! あの大怪我では、助からないと思ったぞ!」

叔父の言葉で、俺は一つ思い出した。そういえば神様が、『転生先では、丈夫な体にしてやろう!』と言っていた。
腕を見ると、大きな切り傷があったのだが、もう傷はふさがっている。

(怪我が治りやすいのか……。再生スキルとか? 善行のご褒美、転生ボーナスかな)

俺が、そんなことを考えていると、叔父○○の表情が険しくなった。

「××よ。皇帝が呼んでいる。いいか! 何があっても耐えるのだぞ! 頭を下げ、ひたすらに耐えるのだ!」

「えっ!? ああ、はい」

そして叔父○○に連れてこられたのが、皇帝の天幕だ。
俺と叔父は、皇帝に土下座し許しを請うた。
皇帝は五十過ぎくらいの体格の良い男で、全身から発する圧が凄い……。チビリそうだ。

周りには立派な鎧を身にまとった帝国軍の将兵がいて、俺たちを見下ろし嘲り笑った。
その中の一人、小太りの若い男が怒鳴り始めた。

「ふん! このバルバルどもめ! 帝国に逆らいおって!」

(バルバルって何だろう?)

相手の話していることがわからない。
俺はポカンとして、怒鳴る相手を見ていると顔面に蹴りが飛んできた。

「ウグッ!」

体が吹っ飛び、口の中が切れた。
小太りの若い男は、怒鳴りながら俺を蹴り続けた。

「この生意気なバルバルめ! 貴様たち野蛮人は、帝国に従えば良いのだ!」

いきなりの暴力に俺は混乱した。反撃など出来ないし、体を丸めてひたすら謝った。

「すいません! すいません! ごめんなさい! ごめんなさい!」

男は俺を蹴り続けたが、やがて疲れたのか蹴るのを止めた。

「思い知ったか! 二度と逆らうでないぞ!」

俺はボロボロになり、叔父○○に担がれて天幕を出た。


*


二日後、帝国軍は引き上げ、俺たちは家に帰ることにした。
帰る道すがら、叔父から事情を聞いた。

俺△△は、ブルムント族という部族の族長の息子だ。
帝国の北側に住んでいて、帝国からはバルバルと呼ばれている。
バルバルは、野蛮人とか、非文明人とかいう意味で……、まあ、悪口だな。

「バルバルねえ……。じゃあ、ブルムント族がバルバルなのですね?」

「いや、帝国の連中は、北に住む部族をひとまとめにしてバルバルと呼ぶのだ」

「なるほど」

叔父が俺の質問に丁寧に答えてくれるので、非常に助かる。面倒見の良い人なのだろう。

叔父によると、今回の戦は俺の父が仕掛けたらしい。
父は、帝国がバルバルと呼ぶ諸部族をまとめて、帝国に対抗しようとした。だが、すぐに帝国軍が動き、俺たちバルバル軍は蹴散らされた訳だ。

「しかし、よく我慢したな! 偉いぞ!」

天幕で俺を蹴りまくったのは、帝国の皇太子だそうだ。俺が皇太子に蹴られ続け、謝り続けたことで、帝国軍の連中は溜飲を下げた。

俺は突然のことで、何も出来なかっただけなのだが、叔父は俺がブルムント族の為に我慢したと良い方に勘違いしてくれた。

まあ、結果オーライだ。

皇太子に蹴られた傷は、もう、治ってしまった。
どうやらこの体は、すぐに傷が治るらしい。

神様に感謝だ。

そうだ!
神様といえば……。

「スキル! 鑑定! 情報! ステータス! 出ろ! 表示! ウインド!」

叔父が怪訝な顔をしたが、気にしてはいけない。神様からの贈り物を確認する方が重要だ。
俺は思いつくだけの言葉を口にした。

すると、俺の目の前に、ゲームの地図に似た画面が現れた。


■第二話 チート要素の説明

目の前に現れた画面は、ゲームのマップ画面に似ている。
中央で点滅している点が俺だろう。

どうやら『ウインド』と言えば表示されるらしい。

画面右側にボタンが並んでいる。


『人物』
『資源』
『魔物』


俺は神様との会話を思い出していた。

(神様に情報がわかるようにして欲しいと頼んだな……)

何でも死んでから転生するまで、時間がないらしく、神様も急いでいた。
異世界転生物に出てくる『鑑定』スキルのような物が欲しかったので、神様に説明したのだが、なるほどこの形になったのか。

試しに『人物』のボタンを押してみる。

俺の隣に青い点が表示された。
青い点から吹き出しが出ていて、簡単な説明書きがある。

『×× 叔父 賢い人物』

なるほど……、人物の位置情報と人物鑑定機能がセットになっているのか……。

「おい! △△! 何をやっているんだ?」

「おじさん、気にしないで!」

叔父××に、この画面は見えないらしい。
どうやら俺だけが見える画面のようだ。

画面の下に『-』『+』ボタンがある。拡大縮小ボタンだ!
拡大をしてみると帝国軍が表示された。人数が多いからひとまとめなのだろう『凸』マークで現されている。

吹き出しには『帝国軍五千人 歩兵:二千人 軽歩兵:千人 弓兵:五百人 騎兵:五百人 奴隷:千人』とある。

「××おじさん。帝国軍は五千人もいたんですね」

「そうなのか? こっちは千人だったからな……」

五千人対千人か。
そりゃ負けるな。

隣で落ち込む叔父をはげましながら、二人で森の中を歩く。

続いて『資源』ボタンを押してみた。

するとアイコンが、表示された。
アイコンの近くの吹き出しを読んでみる。

『オークの木 丈夫な木材になる』

画面を拡大してみたが、木材ばかりだ。

次に『魔物』ボタンを押す。

資源と同じようにアイコンが表示された。
狼のアイコンやウサギのアイコン、クモっぽいアイコンもある。

吹き出しには『ホーンラビット とても弱い。肉は食用。角は薬の材料になる』と魔物の名前と簡単な解説が表示されている。

なかなか便利そうな機能だと、転生させてくれた神様に心の中で感謝をした。

「△△! 村が見えたぞ!」

叔父××の指さす方を見ると、木造の小屋が数軒並んでいるのが見えた。
正直、ボロイ……。

(このスキルを使って、村を発展させなくちゃ……)

俺は、ボンヤリとそんなことを考えていた。


■第三話 状況説明、ヒロイン登場と次の展開

村に戻り戦死者の葬式を行った。
そして、俺は父の後を継いで族長に就任した。

俺が率いるブルムント族は、約五百人。いくつかの村に分かれて生活している。
俺の住む本村落が最大で、二百人の人が住む。

文明レベルは、かなり低い。
中世?
いや、もっと昔かもしれない。

ブルムント族は、外見は地球のヨーロッパ系に近いが、髪の毛の色が青や緑と多彩だ。
俺は黒髪、黒目だった。

今回の戦いで戦死者が出たのだが、数日経つとみんな普通に生活しだした。
人の死は珍しいことではないらしく、みんな慣れているのだろう。

そして、俺の家に同居人が増えた。
親が戦死して行き場のなくなった子供を引き取ったのだ。

名前は、◎◎。俺の一つ下の十二歳、女の子だ。
俺、母、◎◎の三人で暮らしていくことになった。

さて、村の様子だが、ちょっとした畑があるだけで、食料の生産量は低い。

スキルを使って『資源』を探してみたが、『木材』ばかりだ。
そんな中、村から少し離れた位置に『岩塩』のアイコンがあった。

『岩塩 食用可。ミネラル分を含んだ良質の塩』

これを掘り出せば、村の産業になるのではないか?

俺は早速、叔父××に相談を持ちかけた。

「おじさん。西の方に岩塩があるのだけれど掘れないかな?」

「なに! 岩塩! どこだ?」

俺は叔父を案内して、岩塩のアイコンの方へ森の中を進んだ。
だが、叔父が俺の腕を引っ張る。

「待て! この先はブラッディベアの縄張りだ!」

「え!?」

慌てて『魔物』のボタンを押した。
すると画面が切り替わり、熊のアイコンがウヨウヨしている。

『ブラッディベア 弱い 丈夫な毛皮がとれる』

吹き出しの説明には、『弱い』とあるが……俺たちには倒せないのだろうか?

「おじさん。ブラッディベアと戦って勝てませんか?」

「無理だ! あいつらは頑丈で、剣が通らないんだ!」

俺と叔父は、岩塩をあきらめて村へ戻ることにした。

「ねえ、おじさん。岩塩があれば、村の産業になると思います。お金が稼げて、もっと豊かな暮らしが出来ると思うんですよ」

「それは、そうだが……。ブラッディベアと戦って死んでしまっては、元も子もないだろう?」

「うーん……。じゃあ、別の産業を考えますか……」

「△△。村の産業ならあるぞ!」

俺は叔父の言葉を聞いて、大いに心強くした。
あんな小さな村だが、ちゃんと産業があるんだ!

「それは良い! おじさん、産業は何ですか?」

「傭兵だよ!」


■第四話 傭兵について、武器について

村の産業が傭兵と叔父から聞かされた翌日。
さっそく傭兵の依頼が飛び込んできた。

帝国からだ。
帝国の南の方で戦争が起きるらしく、援軍に行けと。

雇用条件の交渉は、全て叔父にお任せした。
叔父は、ごく当たり前に、仕事が来たと喜んでいる。

「うお~! 現金収入~!」

つい数日前まで戦争していた帝国に雇われて、いいのか!?

雇う帝国も帝国だが、引き受ける叔父も叔父だ。
俺は心を無にして、禅の境地に入ることにした。

ここは異世界なのだ。
深く考えても仕方がない。
流れに身を任せよう。

※このへんは、ヒロインとの対話形式にして、主人公(読者、日本人の常識感)とヒロイン(異世界の常識感)を対比すること。

叔父は四方に使いを出して、ブルムント族だけでなく近隣の部族もお誘いした。

『一緒に傭兵されてみませんか? 戦争で一儲けしませんか?』

すげえな。
不謹慎厨がこの異世界にいたら、卍固めからの延髄切りを放ってきそうだ。


――五日後。

俺の村には、多種多様な部族が集まってきた。

アングロー族、バンダル族、フラット族など……この辺は、俺たちと同じ人間だ。
びっくりしたのは、人間以外がいるのだ。

例えば、白ゴート族は、エルフだ。
耳が長く、美男美女揃い。

それから、トカゲ人間のリザードマンや猫獣人もいる。
リザードマンは、オオトカゲが二足歩行しているみたいで怖ええよ!
リザードマンは、モンスターではなく、獣人に分類されるらしい。

猫獣人は、三角耳と尻尾を持つ。それ以外は、ほとんど俺たち人間と変わらない。

各部族十人~二十人くらいの人数が、今回の雇われ戦に参加する。
みんなウキウキで、どうも出稼ぎ感覚のようだ。

俺は戦争に行くと思うと、恐ろしくて夜もよく眠れなかったのだが、彼らの様子をみて深刻だった自分がバカバカしくなった。

「あれっ!?」

俺は一つ気が付いた。
ずっと違和感があったのだけれど……武器だ!

みんなの持っている武器が鉄じゃない。
俺は自分の腰にぶら下げている剣を手に取ってみた。
俺の剣も鉄じゃないな……。

「おじさん。鉄製の武器はないのですか?」

「うーむ……。鉄製品は高いからな……」

「これは何製ですか?」

「青銅だ」

何と!
青銅の剣!?

俺は手にしている剣をマジマジと見た。
ネットで見た日本刀よりも、幅が広く、厚みもあって重い。
刃の部分は研がれてないので、切れそうにない。

剣というよりは、鈍器だな。
これは殴る武器だろう。

「おじさん……。ちなみに帝国軍の武器は?」

「連中は鉄製だ」

おじは、悔しそうな顔をした。

そりゃ負けるよな。
鉄対青銅なら、鉄の圧勝だ。
地球の歴史が証明している。

帝国の連中にバルバル――野蛮人、文明外の人――とバカにされるわけだ。

俺は、改めて、村に集まっている各部族が持つ武器を観察してみる。

鉄製の武器を持っている者を数名見つけた。
後は、青銅の剣を装備している。
ヒドイのになると木製の槍や手ぶらもいる。

(岩塩のそばに住むブラッディベアを倒せないのは、武器が弱いせいじゃないだろうか?)

俺の中でそんな仮説が立てられた。
今度の戦で金が手に入ったら、鉄製の武器が欲しい。

「よーし! 出発するぞ!」

叔父○○のかけ声で、バルバル傭兵軍百名は出発した。


■第五話 初戦場

俺たちバルバル傭兵軍百名は、帝国の南にあるマケドル王国のピュロスに来た。

帝国対マケドル王国の戦争だ。
俺たちは、帝国軍に雇われて戦う。

戦場に到着すると、俺と叔父○○が帝国軍に挨拶に出向いた。

俺の部族、ブルムント族が、バルバル傭兵軍の取りまとめ役らしく、ブルムント族族長の俺がバルバル傭兵軍の大将だ。

帝国軍は、相変わらずふんぞり返って嫌な感じだった。
ただ、帝国軍の装備、軍装は見事で、そろいの金属鎧に鉄製の剣や槍を携えていた。

羨ましい!

いつか俺の部族も……そんな思いを抱えて、俺は持ち場へ移動した。

戦場はだだっ広い平原で、帝国軍とマケドル王国軍が、お互い横陣をしき、正面からにらみ合っている。

「ウィンド!」

俺はスキルを発動して、両軍の戦力を比較した。

『帝国軍 二千二百 歩兵:千 騎兵:百 弓兵:百 軽歩兵:千 魔法兵:若干』

『マケドル王国軍 二千百 歩兵:千 弓兵:百 軽歩兵:千 魔法兵:若干』

戦力は、ほぼ互角。
ただ、マケドル軍には騎兵がいない。

「叔父上。騎兵の有無は戦に影響がありますか?」

「あるぞ! 騎兵がおれば、素早く背後に回り込み敵陣を崩せる」

「なるほど」

どうやら兵数差以上に、帝国軍が有利なようだ。

※魔法兵の説明入れる

角笛の音が戦場に響き、戦が始まった!

各軍の歩兵が突撃をしていく。

「行くぞー!」

「「「「「おおお!」」」」」」

俺たちバルバル傭兵軍も突撃だ。

バルバル傭兵軍は、寄せ集め部隊だ。
だから、部族ごとに自由に戦うことにしてある。
約束事は前進と後退だけ、角笛で合図する。

バルバル傭兵軍各部族は、てんでバラバラに突撃した。
完全な個人プレーだ。

俺は他部族が戦う様子を横目で見ながら、意外と落ち着いていた。
現実感がないのか、それとも開き直ったのかはわからない。

落ち着いた声でブルムント族部隊に指示を出す。

「よーし! 隊列を崩すな!」

俺は戦場に着くまでに、二つ工夫をした。

工夫その一は、盾装備だ。

ブルムント族部隊を二列に分けた。
前列は、大きめの盾を持たせ防御に徹するのだ。

木製だが帝国製のしっかりした盾で、かがめば体をすっぽりと隠すことが出来る。
後列は、青銅製の剣持ちと木製の槍持ちの混成だ。
槍持ちが敵兵を突いて、スキを作ったところで剣持ちが仕留める。

盾はそれなりの値段がしたが、移動途中の大きな町で買いそろえることが出来た。

そして工夫その二は、エルフの白ゴート族との連携だ。
他の部族に連携を打診したがのらなかったが、エルフだけはのってきた。

白ゴート族は、弓兵と魔法兵で編成されているので、俺たちが前で敵兵を抑えるのは大変ありがたいそうだ。

移動中に何度か練習もして手応えを感じている。

さて、実戦で上手く行くかどうか……。

※ここから戦闘描写、ヒロインは弓使いでエルフと一緒に戦うこと。
主人公は、怪我をするが、ドンドン回復する。

後方に騎兵が回り込んだことで、敵が大きく崩れた。
帝国軍が抜け目なく、敵を押し込み、

時間にしたら、一時間くらいだろうか、マケドル王国軍は敗走した。

■第六話 鉄の剣

戦いが終った。
勝利の余韻に浸るのもつかの間、俺は敵兵の死体から装備品を回収することになった。

我々バルバル傭兵軍が倒した敵の装備は、我々バルバル傭兵軍がもらう権利があるそうだ。

敵兵の死体から装備品を取り外すのに抵抗があったが――。

(これ! 鉄剣だ! こっちは鉄のナイフ! やった!)

俺は、鉄製装備を身につけた兵士の死体を見つけ、喜んで装備品を外した。
俺がホクホクしながら敵の装備品を回収していると、リザードマンの首領が近くにいた。

右手に青銅製の剣、左手に鉄製の小ぶりな剣を握って考え込んでいる。
やがて、左手の鉄製の剣を捨てた。

俺は思わず声を出してしまった。

「あっ!」

「あー? なんだよ! 文句あるのか! こいつは、俺が倒したんだ! この剣は俺のモノだぞ!」

リザードマンの首領は、俺を警戒し右手に持った銅剣を構えた。
どうやら鉄製と青銅製の見分けがつかないらしい。

「今、捨てた剣の方が良い剣だ。捨てたのは鉄製の剣だよ」

「鉄製……?」

リザードマンは、俺の言うことがよくわからないらしく首をひねっている。

「今、右手で握っている剣は青銅製だ。さっき捨てた剣は鉄製で、青銅製より丈夫だ」

「なに~? ウソつけ! こっちの剣の方がデカイだろう!」

大きさの問題ではなく、素材の問題なのだが、リザードマンの首領は理解出来ないらしい。

「ウソだと思うなら、二つの剣を打ち合わせてみろよ」

「よーし! 分かった!」

リザードマンの首領は、小ぶりな鉄剣を左手で拾い上げて、右手で握る青銅の剣と思い切り打ち合わせた。

すると、青銅製の剣は大きく欠けてしまった。

「ああっ!」

リザードマンの首領は驚き、鉄剣を凝視している。

「なっ! 鉄製の武器は丈夫なんだ。買うと、かなり高い。どうせ沢山は持って帰れない。鉄製品を中心に集めろよ。その方が得だろう?」

「おお! そうだな! よし! 手下に探させよう!」

リザードマンの首領は大喜びで、鉄製品を探し始めた。

このやり取りは、周りにいた他の部族も見ていて、鉄製品を探し始めた。
良かった。
これでバルバル傭兵軍の戦力アップだ!

誤算だったのは、鉄製品と青銅製品の見分けをつけられないヤツが、俺のところに剣やナイフを山ほど抱えてやって来たことだ。

俺は叔父上と、分別に追われることになった。


■第七話 終戦

初戦から二ヶ月で戦いは終った。
帝国軍とマケドル王国軍で、講和が結ばれたのだ。

俺たちが戦ったのは、別働隊らしく、あまり敵は強くなかったが、本体同士の戦いは激戦でかなりの死傷者が出たらしい。

バルバル傭兵軍は、死者十五名を出したが、これは戦死者が少ない方らしい。

「鉄製の武器や防具を補充したのが大きい!」

「△△のおかげだ!」

と、各部族から俺の評価が上がった。

今回はついていた。
別働隊に配属されて、敵があまり強くなかった。

この辺りは鉄鋼石を産出するのだろう。
スキルで確認すると、あちらこちらに鉄のアイコンが出ている。
それで、敵兵に鉄装備が多かったのだろう。

南の国は豊からしい。
俺たちは鹵獲した荷車に鉄製品、珍しい食べ物、中古の服など、戦利品を山積みにして故郷に凱旋した。

この話が来た時に、叔父○○が喜んでいたわけがわかった。
勝てば、戦利品がっぽり、雇い主の帝国からも報酬がっぽりで、非常に美味しいのだ。

「叔父上。いつもこんなに儲かるのですか?」

「いや、ここまで良いのは初めてだ! オマエの差配も良かったのだ!」

叔父上によれば、勝ち戦なら儲かるが、負け戦だと目も当てられないらしい。

仲間は死ぬ。
戦利品はない。
雇い主が死んでしまえば、報酬も支払われない。

「叔父上。それでは傭兵は、かなり不安定な産業ですね?」

「そうだな……。だが、我らには、交易品がないのだ。血の対価として報酬を得るほかないのだ……」