テレビサイズの新宝島がユーチューブで流れてきたりするんです。間奏のないやつ。でも新宝島のすばらしさって間奏なんです。
このまま君を連れていくと丁寧丁寧に歌うんです。揺れたり震えたりした線で丁寧丁寧に描くんですよ。
何を?
バクマンから考えれば原作者から受け取った原稿を、作画が丁寧丁寧に描くんです。またはヒロインとの恋ですね。つまり大切な人との関係です。
漫画家なんて不安定でどうなるかわからん、たどり着けないかもしれない宝島を目指すような仕事してるんですよ。だから丁寧丁寧に歌うんです。
そこで間奏がやってきます。ここは歌詞がなくて嫌に尖ったギターが先頭に出てきます。キンキンに尖っててソロです。
歌う余裕もない孤独な嵐がやってくるんです。2人を引き裂く荒波が人生には押し寄せます。
でね、その嵐の後にまた歌い出すんです。苦しみを乗り越え、尖ったギターでお互い傷付いてなんて言うのか?巻き込んでしまった君に、大切な人になんて言うのか?
このまま君を連れていくと丁寧丁寧に歌うんです。揺れたり震えたりした線で丁寧丁寧に描くんですよ。
何一つ変わらない。だからすばらしいんですよね。
言葉にならない苦しみを、言葉もなく一緒に超えて変わらず同じように歌い出すからイイ!!んです。
歌詞はまったく同じなのに関係だけが深まってる。歌詞のない部分に本質を任せてる。言葉のない苦しみにも関係を見いだしてる。だからこの歌詞この曲の構成が最高なんですよね。
仕方ないです。テレビとか尺の決まった場所で流すならそれに合わせないといけない。ポップな曲でMVもキャッチーだから色んなところでどんどん使ってもらってたくさん聞きたい。
でもその時、この間奏を切る時には、すばらしさを削ってしまっている、未完のまま出してるという少しの悔しさを忘れないでほしいと思います。
私は間奏のない新宝島を聞くと、必ず間奏が頭の中で流れます。だからいい曲だと思います。よかったらどこかで聴いてみてください。