先日、仕事に行く前にメガネのレンズを拭いていたところ、ちょっとしたトラブルがあり、右側のレンズにぐっと力が入り過ぎてフレームから外れるという事件が発生。
眼鏡族なのにスペアを持たない人間のため、「目が! 目がぁぁぁぁ!!」と人をゴミのように思っているラピュタ王家の分家の人間みたいな声を心の中に轟かせながら、ぐりぐりとフレームに嵌めようとしても全く入らず。
仕方ないので仕事に行く前、作ったとことは別の系列店へ行き、開店間もなくぐらいの時間に受付の機械を操作してたら、めちゃくちゃソフトな柔らか低音ボイスで「お聞きしましょうか」という声が……。
「なんやこの小野大輔みたいな声は!?」と思ったら、眼鏡屋さんの制服的な白衣の薄青色バージョンを着た茶髪+眼鏡の店員さんがいらっしゃいまして。事情を説明したらものの2分ぐらいで修繕してくれ、ホッとし過ぎて「あぁりがとぉございますぅぅぅ!」と朝イチでかい声が出た(笑)。
でも店員さんの何が凄いって、「修理代はおいくらですか?」と尋ねたら、「いえいえ、いただいておりませんので。またお困りの時はどうぞ」とふわっと物腰柔らかく笑って仰ったのです……!
流石に私もアホではないので(笑)、『うちの眼鏡をお使い下さるお客様へのアフターサービスですので』ということは百どころか万も承知しているのですけど、いやぁ、久々に素晴らしい店員さんに遭遇したなぁ。
私が執事喫茶を経営していたならぜひとも引き抜きたい逸材であった……!
とまぁ、そんなようなことを前振りとさせていただきつつ、ここからは本題をば。
去年9月に行った朗読会の第一回公演のシナリオを公開しようと思っています。
というのも、小説を朗読用のシナリオにする際、色々と意識したことがありまして。
そもそも情報の入り口が違う(小説は”目”から、朗読は”耳”から)という時点で、目で見た時の柔らかさを求めて漢字ではなく仮名で表現してるとことか、違和感を煽ったりキャラクターが動揺している様を表したりするために文字の配置を歪にしてるとことか、視覚に訴える効果みたいなものは全部無意味になるため、そういった箇所については全て『耳で聞いた時に一発で意味が分かる表現』に変更していかなくてはいけなくて。
勿論、読み手の方の素晴らしいテクニックだったり、物語へのアプローチのお陰で、文字という平面ではあくまで想像するしかなかったものが俄かに立体的になって温度を帯びるというのは本当に凄いことだと思っていますし、文章における未熟な部分もたくさんカバーしてくださって心の底からありがたいなと感謝しかないのですが、書き手としては出来るだけ聞き手の方、読み手の方、それぞれにとって丁寧な表現にしたいですし、理想はそうあるべきだと思ってます。
また、朗読会とひとくちに言っても動きが付いたり、音楽があったり、プロジェクターなど使って映像の補助が付いているものがあったりと本当に色々な演出方法があるのですが、我々が行った朗読会は基本的にキャスト陣に細かな動きを指示するような演出は行っておらず、音も場面転換のごく短いSE(サウンドエフェクト)が1種類と、次の物語へ移るためにキャスト陣を舞台から入れ替える時間を作る用のごく短いBGMぐらいしか使わなかったんです。
つまり、分かりづらい箇所をジェスチャーや映像で補うとか、そういうことをしないことにしたため、【小説⇒シナリオ】の変換は色々注意するようにはしてました。
声に出した時に生まれる文章のリズムを気にしたり、同じ言葉が近いところで複数回使われていると耳障りが悪くなるので別の言い方に変えたりと、小説を作る時とはまた違った脳を使ったような感覚でしたが、これがなかなか、やってて面白かったんですよね。
そんな訳で、シナリオの公開は当時の自分を振り返るという意味も含みつつ、小説版と比較して「『醸造酒よりも蒸留酒』は確かに言いにくいから『日本酒よりも焼酎』に変えたのか」など、間違い探しじゃないですが、変更点を見付ける遊びを楽しんでもらえたらと思っています。
「あの箇所、バサッとカットしたのか」とか「ここの表現がねちっこくなってる」とか、お気付きの方は気楽にコメント欄にどうぞ~。
シナリオの公開はイベントタイトルの『金曜奇譚』にちなんで、今週27日(金)の19時です。プロローグと幕間はイベント用に書き下ろしたため、カクヨムさんでは初出しとなります!
私のXの方でもこの件についてちょこちょこ呟いておりますので、良ければそちらもお気軽に……。