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文玲堂の宿題 史実のハールレム 資料その他

nanyunさんより最終話にて宿題をいただいていまして、そろそろ、それをやらないと落ち着かなくなりました。

(参考資料:オランダ)
「繁栄と衰退と ~オランダ史に日本が見える~」 岡崎久彦著
「オランダ共和国の興隆」 ジョン・L・モトリー

ハールレムに言及する書籍について、日本で手に入るのは上記の二冊くらいです。モトリーの本は、電子化されて(英語版)自由に見れた筈ですが、見つからなくなりました……。

あとがきにも出しましたが、繁栄と衰退とのたった4Pだけが、この戦いの手掛かりに近いと思ってください。ちなみに岡崎さんはハールレムを「ハーレム」で表記しますが、ここではハールレムに統一します。

これ以外に、オラニエ公の書籍は割と集まりやすいのですが、ハールレムにオラニエ公が絡んでいないので、ハールレム、ナールデンは紹介程度しかないです。

(参考資料:スペイン)
「異端審問 ~大国スペインを蝕んだ恐怖支配~」 トビー・グリーン
異端審問の内容を見る為に使いましたが、ハールレム、ナールデンに関する記述はありません。しかし、異端諮問が何のために行われていたのかは理解できます。恐怖政治の恐怖の対象を「神」にすることです。
あまりにも宗教観が強いので、作品の中では、ぼかしました。

その他、フェリペ2世についての書籍も買いましたが、ハールレムの記述はなく、性格や状況の確認に使用していますが、ほとんど使っていません。

アルバ公については、Wikiからの情報が多いですが、昔、アルバ公の話を別で読んだことがあり、そこのイメージも含まれています。

(参考資料:中世の戦い)
「中世ヨーロッパの城塞」 J.E.カウフマン他
一番使い勝手がよかったのが、これ。これともう一つ、城攻めの本があったのですが、どこかに隠れてしまい……。

(追記)見つけました。「中世ヨーロッパ攻城戦歴史百科」(クリス・マクナブ)でした。

ただし、中世なので、ハールレムのような「カーテンウォール形式」の城しか出てきません。

(参考資料:経済関連)
「お金は歴史で儲けなさい」 加谷珪一
「経済は世界史から学べ」 茂木誠
「読むだけですっきりわかる世界史」 後藤武士
何故、スペインが没落し、オランダと英国の時代になっていくのかを、ざっくりと掴むために利用しました。「繫栄と衰退と」の裏付けです。

(参考URL)
動画でこの戦いを紹介しているものがあります。(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=BZh8XPIvAlQ

日本語でこの戦いを紹介しているものの中で最も詳しいです。
https://orange-white.blue/battles/first_stage/beleg-van-haarlem-1573/

これにはあまり沿った進行はしていませんが……。

その他は、登場人物名から海外サイトを調べてたどり着いたものを、搔き集めています。戦いの開始は11月説と12月説がありますが、終戦の日は全て同じ7月12日でした。

当時のハールレム周辺の古地図もどこかにあったので、思い出し次第上げ直します。

(史実との本編との明確な違い)
・ハールレムの出城は塔ではなく、もっと大きくしっかりとしている。
・ハールレムの門は西側にもあるらしいが、便宜上、ないものとした。
・ハールレムの壁は薄いことは知られているが、当時の城門や石橋などは残っていないので、どのようなものかは分からない。
・ハールレムは怒りに任せたスペイン兵捕虜の処刑もしている。
・ハールレム側の登場人物の大半が架空人物(後述)。
・女性の戦いの直接の参加者は500人。だが残りの女性も戦いの手伝いをしていたので、特に本編では分けなかった。
・スペイン側は、マスキアランとパラシオスは架空人物。
・ロメロは参戦しており、地位も高かったが、どれくらいの権限があったかは分からない。フェデリコの比較対象として連隊長とした。
・最後は大夜襲ではなく、昼間の総攻撃でスペインは城の中の城を発見して、退却する。
・弩や投石器はない。銃と大砲しかない。

んー。これくらいかなぁ。
アルバ家とロメロの関係もほぼ似たような感じです。
戦いの回数は、資料によってさまざまで、ハールレム側からすると4回程度ですが、ハールレム周辺の戦い全体となると、8回くらいの戦いがあります。

・砲撃戦(33話~35話)
・序盤の外壁攻防(40~42話)
・地下戦(46~48話)
・総攻撃(50~52話)
・兵糧攻め(それ以降)

がハールレムの主な戦いで、その間にオラニエの援軍が来ては全滅するを繰り返します。城の中に城を作ったのも、女性が参加したのも、史実です。城内が病気で降伏したのも、最後の人捜しもモトリーの著作にあったようです。


【実在の人物】
ウィグボルト・リッパーダ:ハールレム市長。
ケナウ・ハセリア:女性のフォークヒロイン。ハールレムの英雄。
ピーテル・ハセリア:ケナウのいとこ。酒造会社を経営。後の東インド会社の株主。

です。この三人だけが実在です。
なんかすごいたくさん、人がいたように感じましたが……架空の人物です。

そして、この三人の人物名にたどりつた方法は、QAサイトで、ハールレムの戦いについて、誰か知らないか聞いたところ、ハールレム駅の銅像の二人を教えてくださった方がいて、そこから、名前が判明したという次第です。
写真はその時に添付されたものです。

で、リッペルダ男爵という名前とケナウが分かって、後は、海外サイトへ行って調べるという流れです。

この中で、ピーテル・ハセリアは、ハールレムで皆と一緒に籠城したかどうかは分かりません。創作です。ケナウのいとこであることは正しいですが、アムステルダムの商人だったようです。

アムステルダムと言えば、ペイラントは同名の商人がアムステルダムにいます。「ペイラントの自由」という言葉で知られたその商人は、自由と資本主義は何かを考えさせるものです。「貿易は万人にとって自由でなければならず、戦争によって妨げられてはならない」という一見、正しくも見える行為で、敵国に利する貿易すらも認めさせた「独立商人の気概」であり、ユダヤ人という背景です。第16話に影を残しました。

調べれば調べるほど、本編とリンクしていく味のあるおっさんです。

アッケルマンや、ブルクハウゼン、またアニカも実在しませんが、アニカは聖ニコラスの伝説に出てくる三姉妹をモチーフにしています。聖ニコラスに助けてもらえなかった場合……という想定です。
ゼーマンは、このオランダが、機械工業化していく前触れの職人の街を象徴させました。

本編ではあまり使わなかったのですが、ハールレムは印刷の街であり、漂白の街でもあります。その後、軽工業の中心地になっていきます。

ちなみに、僕の大好きなアッケルマン氏は「夏の魔術(田中芳樹)」に出てくる執事です。かなり昔に読んだ作品の彼が頭から離れません。

その他、ナールデン事件の内容も、ハールレムの処刑方法も実話です。

兵数ですが、双方、ほぼ実話です。
ハールレムの処刑人数は1500人説と50人説があり、ぼかしましたが、1500人説には、「ハールレム市民3000人の半数を処刑した」の記述から、5000人が3000人になっていることに気付き、トンネルトリックを生み出しました。いま、そのURLを探していますがすぐに出てきません。

トンネルが繋がる理由ですが、よくわかっていません。

他、不思議な箇所や、気になる箇所ってありましたでしょうか?

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