パートナーが見つからん・・・
私は長い間、映画脚本家を目指していた。だから、映画の脚本の勉強のために優れた脚本家のチェックは常にしてきた。面白い映画脚本を書くというのは容易ではなく、優れた脚本を何本も残している脚本家は非常に珍しいと言える。そして、そういう作家はほとんど全員が監督になって有名になっている。ただ、彼らがたくさん良い作品を取ったといっても、そのすべてがアクションというわけではない。地味な文芸作品も多いのだ。例えば黒沢明にしても。「酔いどれ天使」「羅生門」「生きる」「どん底」とかは文芸作品。黒澤がさすがだと思うのはシェークスピアのマクベスを主題にした「蜘蛛のの城」・・見事なアクション作品になっている点とか。文芸作品の「日々平安」が三船敏郎主演の最高のエンターテイメントになっている点かな。
その黒澤明は常に2人3人の脚本家を使っている。
その他の優れたエンターテイメント作家というと、ジャッキーチェンの作品を手掛けたエドワード・タンという人がいる。彼の脚本パートナーはジャッキーチェンその人だ。そのように考えると、一人で優れたアクション映画、脚本を何本も書いたという人は、映画の歴史上、宮崎駿一人しかいない。その宮崎駿にしても高畑勲にプロットの段階でチェックはしてもらっていた。そうしてみると、ひとりで面白いアクション脚本を何本もものにしたっていう人は映画史上にはいない。
また小説史上を見直してみても、私は一人も知らない。(シリーズものでなら池波正太郎とかいる)
ということを考えてみると。自分ひとりで面白いアクション作品を何本も仕上げようとかいうのは土台無理な話なのであって、目標設定として間違っているのではないかと思うのだ。一人で書くのは発想から全体構成のところまでで。誰かがそれを見て白くなりそうだと思ったら、その人と2人、あるいはもうひとり加えて3人書くというのが本当は優れたアクション作品執筆の最適な方法ではないかと思う。世界一の脚本家とも言える橋本忍が「複眼の映像」という著書の中でそう言ってるしね。
ですから、皆さんもいつか、素敵なパートナー・・せめてアドバイザーを見つけてくださいね。