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死なないの八甲田さん完結によせて

 いやはや、まさか一週間くらいで遊んで終わるつもりだったこの作品を、半年も続けることになるとは思っておりませんでした。
 また、ここまで人がついて来てくれるとも思っていませんでした。
 最後まで読んでくださったかた、どうもありがとうございました。

 これにて、八甲田は終わりにございます。
 追記も、スピンオフもありません。終わりといったら終わりです。
 あぁ、もちろん編集者さんがおもろいやんけ、出版するべ、などと言ったらその限りではないですがね!!

 しかしながら彼らの――児島の望んだ普通の生活、八甲田との人生はこれからも続いていくのでしょう。
 あとは自由に想像してやってください。

 死ぬべき宿命の人間が、ひょんなことから生き延びてしまったら。

 巷に広がる死ぬ死ぬ小説へのアンチテーゼとして、そんな状況に陥ってしまった少女を、元気いっぱいに日常ラブコメさせてやろう。
 とまぁ、ただただそういう意図で始めたこの作品が、ここまで長きに渡って愛していただけたのは、本当になんというか作者の意図を超えておりました。作者が書くのを投げるように、読者も読むのを投げたっていいじゃない、というのが私のスタンスなのですが――うぅん、ここまで追っかけていただけたのは、本当にうれしいです。

 147話ですよ。30万字(文庫三冊分)ですよ。
 なかなか付き合えるものじゃない。いや、私がすごいというより、読者さんの根気がすごい。おみそれいたしました。
 重ねて重ねてありがとうございます。

 ただまぁ、終わらせるにあたって、いろいろと考えたことはあります。

 やはり死ぬべき宿命だった八甲田というヒロインに対して、どういう終わりを用意するのかというのは一つの大きなテーマとしてありました。
 最初の頃の方針としては、まぁ、生きるのって楽しい、生きていればこんなに楽しい世界が待っているんだよ、と、そういうことを言って、終わらせてやろうとそう思っていたのですが――まさか壁をぶち破って主人公助けにくるラストになろうとは、私も書いてみて予想外でした。

 けれども、そういう「生きる希望」みたいな重たいテーマに縛られず、最後の最後までもすっとぼけて、普通にふたりは恋人になって終わり、これからも一緒に生きていくんですというのも、ある意味では「死に別れの悲劇」を否定しているわけになるのかなと。
 という訳で、こんなエンドにしてみました。
 ショッキングな別れが待っているわけでも、真実が待っているわけでもない、物語としてはダメなのかもしれませんが、まぁ、そのダメなこと(悲劇の否定)がそもそもこの話の出発点であるのだから、こう帰着するのは作品として当然だったのかもしれません。
 もちろんこの作品の系譜として悲劇そのものである「柚原さん小爆発」や「あなたのお父様が悪いのですよ」「女騎士はあやまらない」などがある訳なので、そういうのを期待してた方には、今回はこんなことになってしまって申し訳ないというほかありません。いや、申し訳ない。

 次、サブヒロインとして登場させた「高梨立花」をどこまで描くのか。これもなかなか悩みました。ある意味、そういう立ち位置で登場させたのであれば、当然、児島のアホ(ひどい言いぐさ)との関係性に決着をつけさせるべきであろうとは思っていたのです。しかしながら、こちらはなんだかそれをやるのも野暮かな、むしろ、やっても仕方ないのかなとそういう思いで、結局手をつけることはなくなってしまいました。
 モブモブどうしの恋愛なんてーのは、私もかなり好きなのですが、「田辺洋太」の存在がやはり大きかったように思います。もう完全に周りから勘違いされて、本人はひいてるのに勝手に周りが盛り上がる、という状況ができあがったあたりで、「わざわざ児島との関係を清算する物語」をかくまでもなく、彼女はまた違う幸せを見つけたのかなと思った次第です。
 はい。面倒くさかったといえば、そうなるのですが、まぁ、こういうのもよいのではないでしょうか。
 というか、それやるとなると、絶対お通夜になっちゃうしね。楽しくいこう楽しく。

 そして、最後が「洋太」と「立花」の関係性。
 むしろこれをはっきりさせないまま、この物語を終わらせるのが、なんだか一番読者に対しての裏切りになるような気がするのですが――まぁ、それはそれ。これは「児島」と「八甲田」の物語であり、それについて語るのはまた別の話だなと判断しました。
 いや、ここまで割り込ませといて(ときどきそれメインの話しておいて)なにを言うんだという感じですが。

 まぁ、ここまでいちゃついてくっつかなかったら、もうどうにもなりませんよ。(笑)

 という訳で、まぁ、いろいろと思うところも吐き出しつつ、いい感じの文章量になってしまったわけですが、本当にここまでのおつきあい&ご声援ありがとうございました。
 結局、Webコンの一次選考には残れず、トップページに乗ることもなく、平穏無事に終わった本作ですが、個人的にはみなさまを最後ここまで導くことができただけで、よかったのかなと思っております。
 金曜の夜、ひとつの物語の終わりを味わって、しんみりと過ごしていただければ、なんというか書き手としては冥利に尽きる次第です。

 ではでは、また、次回作、あるいは、ほかの連載作でお会いしましょう。またそのうち、この手のテイストの小説は、そう遠からず書く予定ですので、割と再会は早いかもしれません。

 そのときは、本作と同様にどうぞ応援よろしくお願いいたします。

P.S.

 どこのレーベルでもよいので編集者さん、書籍化の打診待っております。よろしくお願いいたします。

純粋な追記)
bb_tomatoさん レビュー本文でのねぎらいありがとうございます。
とても嬉しいです。最後までおつきあいありがとうございます。

2件のコメント

  • 大団円、おめでとうございます。
    そして大変愉快で爽やかな物語をありがとうございました。
  • @scarehead01さん
    完結お祝いのコメントありがとうございます。
    いやぁ、世の中はどうかは知らないけれど、自分の好きなラブコメはやれたと思ってます。
    それが爽やかに貴方(読者さん)の心に届いてくれたなら、書いた甲斐があったというものですね。

    どうもおつきあいありがとうございました!!
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