さて、楽しんでいただけたのでしょうか。
例によって、ぜんぶ読んだという前提で書いていきます。
ただ、この物語、語るの無粋そうなんですよね。
物語としては序盤の入りに対して、中盤の変化が著しく大きいですね。
メインの視点としては、斜陽の妃である瑛麗です。
が、主軸はどう考えても、月華。
なんなら、瑛麗については深く語られているから、いらないのかも?
聞きたいことがあるなら、聞いてね。
【月華の状態】
月華は、養父の元に辿り着くまででも、色々なことがあったのだと思います。それはもう、本当に筆舌に尽くしがたいことが。
彼女が患っている精神状態は、サバイバーズ・ギルト。
戦争、災害、事件などに遭いながら、生還を遂げた人が、自分だけが助かったことに対して、覚える罪悪感のことです。『生き残ったことに対する罪の意識』ですね。
だからこそ、月華は「何かせねばならないのではないか」と思ってしまいます。
その上、なまじ能力もあり、教育も受けて来た身だからこそ、見え過ぎてしまうわけですね。
罪悪感、フラッシュバック、モチベーション低下、信頼心の低下、懐疑的、組織への忠誠心の減少など、サバイバー症候群に見られるものです。
まさしく月華は、未だに国を滅ぼされた渦中に心がいるのです。だから、奥底では誰も信じられない。
ただ、手を差し伸べてくれた瑛麗だけには、違う。そう思いたい。瑛麗が特別であるというより、一方的に特別視しようとしている状態ですね。
【暁勇について】
勇猛果敢で真っすぐな武将、暁勇。あるべき時代によっては英雄の器。
婚約まで至らなかった関係と言うことで、かなり物語に影響を与えていましたが……はい、すべて月華の策略です。なら、どこからか?
婚約の話が持ち上がったことも、成立しなかったことも、です。
役人からの発見が渡りに船だったのは確かですが、月華は自分が王宮に入った後に使える駒が欲しかったのですね。
欲しかった役割は、王と敵対する『正当なる革命家』です。民衆に支持を得ている人物がいれば有難かった。次点で、呂布のような反逆者でも良かったでしょうね。煽って殺し合ってくれそうな人物。
だから、ほぼ完全に利用された状態です。
月華はかなりうまく立ち回って、義父をも誘導しました。
とはいえ。そう、とはいえなんですね。暁勇に対して、全く好意がなかったかと言えば、そうでは決してない。ただ優先順位が、心にある地獄の日々がそうさせてくれない。
【ハッピーエンドの可能性】
ありますね。愛の逃避行した可能性もあるし。
ちょっとね、瑛麗が覚悟を決めれば、いくらでもなんとでもなる。
月華が罪よりも愛に目覚めて、生きることへの意欲がより強くなれば。
なので、2週目プレイ時には別の選択肢を試してみてくださいね(マテ
【使わなかったネタ】
①月華の本名ですね。今の名前は、身分を隠すためのものなので。
瑛麗と逃避行エンド、あるいは愛を貫けるエンドの場合は、「本当の名前で呼んで欲しい」と告げる場面が出ます。
それは復讐を達成したなり、諦めるなりして、過去に見切りを付けようとすることにもつながりますが。
いや、あの王様殺さないと自由にはなれないでしょ。だから、サックリやっちゃいましょうね。
②王様の過去については語らなかったですね、あまり。
まあ、いらんでしょ。あの人が何を考えていたかなんて。ただ、あえていえば、王様なりに瑛麗のことを愛していました。
この辺にしておきましょうかね、読んでくれてありがとう。
それでは裃左右でした。
