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RPGツクールで作りたいゲームのあらすじ⑩

僕はおよそ四百年前にエルフが悪い人間に酷いことをされて生まれた。生まれた瞬間に母親からも嫌われてエルフからも人間からも一度たりとて愛されずに育った。自然と悪の道に染まった訳さ。人殺し、強盗、詐欺、恐喝…。ほとんどの悪事はやったかな。そして僕はついに捕まえられた。でも処刑方法が良くなかったんだ。僕を『神』に食わせようとしたから。『神』…この星に人間達が『方舟』でやって来るときに一緒に連れてきた『神』。『神』は僕に取引を持ちかけた。それは『生贄』を集める代わりに僕に不老不死を与えるというもの。僕は何も考えずに不老不死って素晴らしいと思って取引に乗った。それがどれほどおぞましいかあの時は全く知らなかったんだ。『生贄』、否、『人の血肉』を集めること。『神』はね、人体を食べているんだよ。特に大好きなのは子供の体だった…。逃げたくても、死にたくても、僕は自殺すらできなかった。だって不老不死なんだもの。そしておよそ三百年が過ぎたあの日、『姫』が『神』の所にやって来た。アマルナイの王族達が不老不死の研究を行っている際に誕生した忌み子『姫』。『神』と自由に意思疎通ができる力を持った化物。『姫』は『神』と手を組んだ。不老不死の研究に協力させる代わりに、いくらでも生贄を捧げさせることを条件に。僕は『姫』の手下として、アマルナイの村々から子供達を何百人もさらった。僕は、考えることをもう止めていたんだ。そして『夜のレプティアの惨劇』が起きる。帝国が王国に宣戦布告するきっかけになった事件だ。帝国内の北方都市レプティアが、夜の内に姫の率いるアマルナイ王国軍に襲われた事件。あれはね、実は『神の子』がやったんだ。不老不死の研究の最高傑作『神の子』。神は不老不死を与えることはできても、不老不死じゃなかった。体がバラバラにされれば動けなくなってしまうし、最悪死にも至る。だから不老不死の体を欲しがった、その要求に『姫』が応えたのさ。夜のレプティアの街で、神の子は暴虐の限りを尽くした…。人を魔物にしては面白半分に殺した…。それで20年前の戦争は起きた。不謹慎だけれど、僕は戦争が起きたことで一時救われた。多大な犠牲は払ったけれど、帝国軍が『神』を殺してくれたから…。でも、何も知らない竜族が事態を逆転させてしまった。竜族は騒がしい人間が嫌いな事で有名だったし、何より閉鎖的な種族だったから、本当に何も事情を知らなかったんだ。特に帝国が領土を広げる時に、竜族の土地を奪ったからね。そこに亡国の『姫』が駆け込んで涙ながらの演技をすれば…。そして僕はまた何も考えなくなった。死にたいのに、死ななければならないのに死ねないって罰なんだ。でも僕はヨルデリア達に会った。会って、やっと考えたんだ。罪人の僕にこれから何ができるか、を。答えは思った以上に簡単だった。『姫』を倒す。それから僕は受けるべき罰を受ける。後はどうなったって構わない。僕はそれだけのことをしてきたからね。だから…。
ヨルデリア:なるほど。『姫』のところに私達を確実に連れて行くには捕まえて移送するふりをすれば最も疑われず、最も安全だな。リトール:『姫』の弱点は何なんだよ?ハルーン:『姫』は化物じみた生命力を持っているけれど、『コア』を破壊してしまえば死ぬんだ。コアは姫の額で禍々しく輝いているから一目で分かる。タイガス:…だが竜はどうするのであるか?ハルーン:竜はね、『姫』に人質を取られているんだよ。竜族の皇子が『姫』と結婚したのは知っているね?だけど彼は騙されて初夜の晩に地下牢に投獄された。彼を解放したその足で王城アマルナイアの玉座にいる『姫』を倒せば…。タイガス:なるほどである。ヨルデリア、どうするであるのか?ヨルデリア:断る。リトール:おい、アンタ何を言っているんだ!?ヨルデリア:断ると言ったんだ。ハルーンの言葉に、たら、ればが多くて話にならないからな。ハルーン:…ヨルデリア…。ヨルデリア:結局ハルーンは死にたくないんだよ。罰を受けるだのどうなっても構わないだのと馬鹿馬鹿しいくらいに甘ったるい言葉が並んでいて信用にすら足らない。タイガス:では行こうであるぞ。ハルーン:……。ヨルデリア:さて、それでは何故今になって『姫』が動き出した動機を、潜入調査しようか。ハルーン:…僕は、死にたくない、のか。ヨルデリア:本当に死にたかったら『神』や『姫』に抗うなり、抗う術を探すなり、必死になって生きようとするはずだ。ハルーンは中途半端に諦めてだらだらと日常に逆らわずに過ごしてきただけだ。ハルーン:ヨルデリアはシビアなこと、言うね。ヨルデリア:付いて来る、来ないは好き勝手にすれば良い。ではな。三人は旅立つ。

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