• 異世界ファンタジー
  • 現代ドラマ

姿なき墓標 あとがき

すべてはこの一閃のための旅路だった

 物語を作るときには逆算して作るタイプなので、物語の大まかな構成が決まった後は、この結末のこの瞬間のために物語を高め最高のカタルシスを演出しようと、それこそ常住坐臥この作品のことばかりを考えて過ごす日々でした。そしてかつて愛し合い濃密な関係を重ねた二人が一瞬の剣撃を交えた瞬間、自分の中でひと仕事が終えた感じにもなりました。フルラウンド戦ったボクサーにも似た疲労感があります。しばらくは執筆を避けたいと思うほどに精魂尽きている現状です。
 しかし何より、この文体から何まで独りよがりな今作に最後までお付き合いいただいた読者の方々には感謝してもしきれないものがあります。読んでいただいているという事実のみを燃料にして書き続けることができました。クロウの物語は一旦終了しますが、あくまで第1部が終了しただけなので、再び彼女が登場し活躍するのを今しばらくお待ちください。

人物紹介

クロウ

モデルになったのはチャンドラーの生み出したハードボイルド小説の金字塔『長いお別れ』、『大いなる眠り』に登場するフィリップ・マーロウと勝新太郎の代名詞ともいえる座頭市です。この二人を足して2で割ったのがクロウになります。そもそも、この物語自体が『長いお別れ』を下敷きにしてるところがあります。おそらく小説に精通している方はすぐにお気づきになられたかもしれません。そして彼女の話し方がやたら男口調だというところから察した方もおられるかもしれませんが、当初の構想ではクロウは男でした。しかし、母と子の関係がどうしてもウェットになるのと、男だとキャラクターとして鼻につくので途中で女性に変更になったわけです。そしてフィリップ・マーロウと座頭市をモデルにしたハードボイルドなクロウというキャラクターを登場させるためには、日本のみならず、世界のどの時代を舞台にしてもリアリティに欠けるので、ファンタジー世界という手法を取る必要がありました。転生者云々というあたりは、昨今の時流に乗ろうとした節があります。
外見のイメージは、三次元だと映画『キングスマン』で義足の女殺し屋を演じたソフィア・ブテラで、二次元だと『シュトヘル』(伊藤悠)の主人公・シュトヘルがイメージに近いです。当初の声のイメージは洋画の吹き替えで一世を風靡した広川太一郎でした。“でした”というか女で書いている時もこの人の声をイメージしていました。
彼女が使用する剣術に関しては、基本的には古き良き時代の時代劇を参考にしていますが、要所要所で新陰流や天真正伝香取神道流、弧刀影裡流居合術を参考にしています。
自分の行く手を阻むなら、白馬の王子様さえもぶった斬るような、そんな強烈で新鮮な、男のポケットに納まらないヒロインを描きたかったのですが、試みがどれほど上手くいったかはまだ自分でも分かりません。


ロラン(イヴ)

クロウが男性から女性に変更になったことから、彼女(彼)も女の心を持つ男から、男の心を持つ女へと変更になりました。ただその段階ではもっとこの物語は小規模で、ロランは試練の最中に命を落としてしまうというもので、クロウとの関係も奇妙な友情にとどまっていました。
モデルというかキャラクターのコンセプトは、成り上がろうとしている時は美しいけれど、成功してしまうとその信念が短所になってしまう人です。何といいますか、今は老害と言われている人でも、評伝を読むと過去の業績や生き方がすごく魅力的だという事があってそんな人間の業の難しさを持ったキャラクターにしようと思いました。
外見のモデルは三次元だと、ジェンダーレスモデルのエリカ・リンダーで、二次元のだとストリートファイター3のエレナが近いです。


ディアゴスティーノ・クライスラー

キャラクターのコンセプトはメキシコの麻薬カルテルのボスのような「聖人のように慕われ、悪魔のように殺す」男です。それ以外にも古い時代のヤクザの親分の要素が入っています。
人物造形としてのモデルは映画『3-4x10月』に出てた頃の北野武です。あの頃の北野武の殺気には艶すらあります。
機会があったら彼を主役にしたファンタジー世界の裏社会を描くノアールファンタジーのようなスピンオフを書きたいのですが、あくまで時間と機会があればということで。


バクスター・ダイアウルフ

キャラクターのコンセプトは最凶で最弱、弱いけど怖いものなしのテロリストのような、厄介な厄災のような存在にしようと思っていました。彼の最期は色々悩みましたが、こういった形にしないとやはりしっくりこなかったので泣く泣くああなりました。
人物造形や外見のモデルは思いっきりヒース・レジャー版のジョーカーです。喋り方も、日本語吹き替えを担当した藤原啓治をイメージしています。なので、彼の声を当てながら想像して読むとしっくりくると思います。


サマンサ・カイル

色々活躍していますが、実は急場しのぎのテコ入れキャラクターでした。彼女が初登場する霊廟は、元々トラップの多いダンジョンにあるという設定で、クロウとロランはそのトラップをかいくぐりながら老賢者のもとへ行く予定だったのですが、それがどう考えても面白くなりそうにないので彼女が登場したわけです。実は多重人格でタバサという妹は彼女の中に存在するという設定も考えてあって、中々に面白い設定で物語も膨らむとも思いましたが、私にそれを御する力がありませんでした……。
コンセプトは……私が好きなものを詰め込んだだけです。
外見のモデルはストリートファイター3の春麗です。


タバサ・カイル

モデルは『大いなる眠り』に登場したファムファタール、カルメン・スターンウッドです。


タイソン

彼は元々別シリーズでの登場を予定していましたが、バクスターが急遽切り札としてピースメーカーを使用したため、その説明のため吟遊詩人が、そしてその吟遊詩人を説明付けるためにこの物語を挿入するに至りました。もう少し活躍させたかったのですが、今回で退場となります。
人物造形のモデルは刑事コロンボです。それに時代劇テイストを加えました。外見上のモデルは『エイリアン2』でアンドロイド・ビショップを演じたランス・ヘンリクセンです。


ミラー

外見上のモデルは『ロードオブザリング』でアラゴルンを演じたヴィゴ・モーテンセンです。


ソニア

元々は老婆の姿のみの登場だったのですが、エンターテインメントとしてそれでは面白くないと、姿を変えるようにしました。年齢がちょくちょく変わるのは「忍たま乱太郎」のくのいちの先生から着想を得ました。
老婆姿の外見上のモデルは絵本作家のターシャ・テューダーです。

ジュウクロウ・マツシタ(ジュウク)

キャラクターコンセプトは、女から見ると寒い男ウケのする女の男版をやってみたくて、新條まゆの打ち切り漫画に登場する俺様王子様みたいなキャラクターを作ってみようとしたのですが、私にはその教養がありませんでした。しょうがないのでリメイク版のゴーストバスターズのケビンをイメージしました。なので外見上のモデルはクリス・ヘムズワーズです。


ロルフ

モデルは俳優のデイン・デハーンです。彼のノーブルでダークな感じが堪らんですね。※ノンケです


ウォレス

モデルは『ドントブリーズ』で盲目の老人を演じたスティーヴン・ラングです。どちらかというと、『アバター』の時の軍曹が近いですかね。


ヒム

イメージとしては、デスノートのリュークを美形にした(どうやって?)感じです。ディアゴスティーノとの抗争をスピンオフで描きたかったのですが、それはやはり機会があればということで。


フェレロ

モデルは若い頃のウィリアム・ボールドウィンです。


ギル・ダニエルズ

モデルは『スターゲイト』でティルクを演じたクリストファー・ジャッジです。


ネス・ダニエルズ

モデルは『クリード』でアポロ・クリードの息子を演じたマイケル・B・ジョーダンです。

カールス

モデルは昔読んだ実話モノの雑誌に出ていた、公営団地を売春宿にして主婦を働かせていたというオッサンです。文章だけの紹介だったのですが、やたらインパクトがあったので使いました。


ジェイティ

外見上のモデルはFateのライダーです。本当は京訛りにしたかったのですが、これに関しても私にはその教養がなかったので断念しました。次にクロウと彼女が邂逅するのはいつになるのか、その時は敵となるのか味方となるのか……そもそも書くのか。


伊雅源馬

いきなりの時代劇風で違和感のある方もいたと思います。取りあえず、エルフやフェルプールの住んでいるのはヨーロッパ系の文化圏がベースになっています。そして竜人が中華系で、彼らリザードマンは日系なわけです。彼の二人の弟子の双竜がいったいどうクロウと絡むのか、構想はありますがそこまでたどり着けるのか……。
モデルはあれですね、思いっきり『シグルイ』の岩本虎眼ですね。


他にも0話のポールがジーン・ハックマンだったりハルバードがブランコ・シカティックだったりとモブにもモデルはあるのですが、今回はこれまで。

ではまた次回作で。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する