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8月まとめ、平成最後の夏

8月は死ぬ程暑かった。
8月の初めは、7月にキタハラさんにレビューを戴いたのを祝して、自分の中で祝賀会として普段なら行かない飲み会にたくさん出掛けた。とても楽しかった。
僕の小説【空気の中に変なものを】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885018536/episodes/1177354054885018653
レビューしていただいた方、本当に本当にありがとうございました。感謝しかございません。

そこからカクヨムからツイッターで知り合ったりして、実り多い月となった。睡蓮たしぎさんから、DMで【文字数が足りない】と教えていただいたのが8月5日で(本当にありがとうございました)、慌てて完結済から連載中に切り替えた。

でも僕はその時、眼鏡を掛けたど素人の女子高校生が時間を止めて、鉄山靠をズゴーン!打って、白いスーツの男が足を組んでピザを食べて、その執事が真っ白い名刺をシコシコ切り分ける(なんちゅう紹介だ)小説を結構楽しく書いていたので、もう【空気の中に変なものを】の所まで気持ちを持っていけなかった。落差が激し過ぎた。アニメトップを狙え!で例えると(例えがもっと分かり難いパターン)、圧縮木星爆弾の中心部みたいなところに潜るのに似てた。無理だ、二日酔いもひどいし。職場で棚卸しもあるし。

とは言うものの、初めて最後まで書き終わった僕の小説【空気の中に変なものを】に、思いを全て詰め込めたかって言うとそうでもなかった。もっと長くなる予定だったけども、これ以上、今まで見た事も触った事も舐めた事もない、自分の中から出て書いたものを抱えるには精神的に限界だったので、終わった事にしたのだった。(なんか、カッコいい事みたいに書いてすいません。脳内で好きに僕像を描いていただいて。声だけ竹野内豊に似てるって言われた事あるんで、そこらへんでお願いします。実物は人生が上手くいかない佐野史郎のはとこぐらいです)

なので、出した後は一回も書き直してなかった。誤字脱字もあったのかも知れんけど、そのままにしておいた。そんなの知った事かと。100回読み返しても見つからなかったのは、ある意味そうなる必然性があったのだと。後は物語を信じるしかない。短編とか旅行記を書いた。それでも【空気の中に変なものを】への反応は薄く、こらぁもうあかん、と思った。失敗だったのだ。小説が、カクヨムが、時期が、運が、何か知らんけどそのどれかが、いつも通りしくじったのだ。僕はいつもそうだ。何かが上手くいかない。限界を感じた時の関西弁は気持ちがよく伝わりますね。「あかん!」(迫真)

そこに、キタハラさんのレビューからPVが増えて、たしぎさんに文字数の件を教えて貰えるという幸運を得た。こりゃあ、やるしかねえよおっかさん。連載中に切り替えた瞬間から、この小説に書くのを諦めていた、込められなかったものや気持ちを思い出して、集めていった。元気玉みたいに。ドラゴンボール最後まで読んだ事ないけど。

【空気の中に変なものを】は、1995年のおっさんが、1985年の女の子を救う話だ。昭和の空気感を褒めていただいて、すごく嬉しかった。だが暗く重い。きちんとあの時、その場で行動に移せなかった後悔の代償を男が支払う事になる話を、歌って踊れる風にどんつくアレンジなんか出来ない。小室哲哉じゃないんだから。

その暗く重い雰囲気を際立たせる為に、ノーテンキな青春モノが書きたかった。少年が様々な儀式を経て大人になっていって、その成長を促したり、見つめてる女の子がいて、という風な。特に、本編に出てくる、教師の両親を持つヤリマンと噂される気の毒な女の子については気になっていた。ここでっせ、と僕の中のマレー熊が短い指を指していた。「ここやねん」。マレー熊は本当にかわいい。なぜ関西弁。

よし書こう、と言ってちゃんと思った通りに書けるのなら最高だ(今、大きく頷きましたね、ここまで読んでくれてる人)。何も苦労なんかしない。いわゆる毎日がエブリデイだ。そもそもノーテンキな青春って何だ。そんな、学研的キラキラな青春を送れてたらこんな文章書いてないっちゅーの。

僕はピザ屋でバイトする素人女子高校生が格闘技をやる話を書いていたし、文章をちょっと変えていた。「てゆーかー」みたいな。軽い感じだ。姉歯建設みたいに鉄筋を抜いて、でも頑丈な建物をこしらえるような。濃厚チョコというか、ポッキーみたいな。ポッキーはずっと食べられるけど、濃厚チョコはそうはいかない。鼻血もでるし、胸焼けもする。でも【空気の中に変なものを】が求める文章はそっちだ。うんと濃いやつ。姉歯って懐かしい過ぎる。

下書きのままの「闘うJK」は続きを書かれるのを待ってるし(書く人だったらわかってくれる感覚だと思う)、一方で締めが明確に決まっている【空中】(略した)もある。浮かぶ文章はどうしても「闘うJK」風になってしまう。何が違うかって言っても、微妙な違いでしかないのだけど、明らかに違う。なので、JKを一回ざっと推敲して出しちゃう事にした。それでも二、三日は気になってこちょこちょ直したりしてしまった。【空中】の続きを書くのが怖いというのもあった。

締めは8月26日日曜日の23時59分で、僕は前日の25日に早く就寝した。まだその2の、お姉さんに誘われるところ(エロい箇所がある)を書く前だった。ここはガツンとフルスイングで書かなきゃいけないから、体力を蓄えておこうと思って早く布団に入った。26日午前2時にタイマーを合わせて。でもマレー熊が起こしに来たのは、午前9時だった。寝坊だ。仕事は休みだけど。

そこからずっと書いた。奥さんが仕事に出てから。
書いて書いて書きまくった。食事も取らなかった。2リットルのペットボトルの水とマグカップをテーブルに置いて、クッキーを齧って(クラッカーだったら村上春樹だったけど)、午後4時に1時間程仮眠して、ずーっと書いた。26日は暑かった。天候的に灼熱だった。僕は雨戸を締めて、クーラーと扇風機を回して作業してるのだけど、それでも暑かった。もうパンイチだった。ギリ履いてた。水をガブガブ飲んで書いた。音楽もテレビも掛けなかった。奥さんがあっという間に帰ってきて、ほとんど裸で出迎えた。すごい驚かれた。当然だ。こちとら、自慢じゃないけど、頭がおかしいのだ。さっき静かに気が狂ったのだ。

それで、いつもならテレビを観ながら優雅に食事をしたりしながら会話をするのだけど(やっぱり日本の政治は出川哲朗に任せるしかないな、とか言いながら)、奥さんにすまんけど書いてるから一人にしてくれ、とお願いして、部屋に篭って水を飲みながらずっと書いた。土曜日は友達と食事の約束の日なのだが、日曜日に延期してもらって、それでも間に合いそうもなかったので、辛うじてiMessageで謝罪しキャンセルした。社会人。

夜九時くらいに「何故花火は打ち上がったか4」まで書き終わって、一度読み返して推敲した。いらない所を削るより、足す方が多かった。姉歯の呪いが掛かっていたのかも知れない。それは仕方がない事だ。推敲が終わった端から公開していった。それから「花火の終わり」を書いた。ちゃんと繋がらないと意味がない。奥さんはもう眠っていた。風呂がどうとか、食事がどうとか言われた気がするが、何も覚えてない。申し訳ないと思う。夜十時くらいに書き終わって、また頭から書き直して、それで公開して「完結済み」にチェックした。ツイッターでも公開した。涙も出なかった。超クールに、竹野内豊みたいに押してやった。最初に公開した時は、まじで涙出たけど。二回目だからね、仕方ないね。

まったく食欲が湧かなくて、シャワーを浴びて寝ようと思ったけど、それも億劫で、めちゃくちゃ寝た。何も考えず泥みたいになった。それから、ついさっき、「あ! そういえば平成最後の夏じゃん!」って思い立った。僕の平成最後の夏は、灼熱の8月26日日曜日に尽きる。カクヨムとコンテストと、色々と力を貸していただいた方々に感謝の気持ちしかない。特に、可能であればキタハラさんと、たしぎさんに特別美味しいヨックモックを贈らせていただきたい。あれマジで美味いから。本当にありがとうございました。

食事、音楽、YOUTUBEなしの1日なんて今まで一度もなかったし、この先も無いだろう。俺の平成最後の夏は、こういうのだったぜ!、っていう近況ノートでした。長い文章、ここまで読んでいただいてありがとうございました。これで受賞して、いい加減iMacとかいう都市伝説なラップトップを購入するのが僕の夢です。映画化してもらって三千万円くらい手元にぽーんきたら嬉しいです。ゲヘヘ(下衆く終わる)。

7件のコメント

  • 菖蒲あやめ様
    あわわ、ありがとうございますー!
    最優秀賞受賞者の方から恐れ多いお言葉を……。
    近況ノートも長いのに読んでいただいてうれしいです、ありがとうございますー! 平成最後の夏が僕にもあったと思い付いたら長くなっちゃいました。カクヨムって素晴らしい。読む人がもっと増えたらもっと素晴らしい(図々しい)

    どうぞこれからも、よろしくお願い申し上げますー!
  • 江戸川さんのTwitterアイコンのピングーはもしかして「空気の中にへんなものを」のぺんぎんずですか……? 
  • 阿瀬みち様
    はずかしー
    そうです。
    参考にしたペンギンのヌイグルミでございます。
    今回、イワシ五尾と三尾のギャラでご出演いただきました。
    床に直接置くと怒ります。
    とても大切なものであります。
  • パペ野内豊さん、お疲れ様でした。
    やっぱりすごい。
    魂込もってるはずですね。

    「あかん」のわかりみが深すぎる…


  • ぴおに様
    「あかん!」ってなりますよね。
    僕は関東の人なのですが、
    「いけね!」って言うより
    「あかん!」(迫真)
    の方が1億倍状況が伝わると思います。
    お褒めありがとうございますー!
  • やはり。めちゃくちゃかわいー!
    マジックアイコンを燃やしてしまうことで、「願い事は一度切り」っていうのが強調されてて、焼却炉のシーンすごくすきでした。

    加筆分も読みました! 圧巻でした。面白かったです。
  • 阿瀬みち様
    ありがとうございますー!
    まさに仰る通りのつもりで書きました。大事なものを燃やすのは本当に辛い。丁寧に読み取っていただき、嬉しいです。ありがとうございます! レビューまでいただきまして、大大感謝です!
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