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読書メモ52

『緋い空の下で(上/下)』マーク・サリヴァン(扶桑社海外文庫)

かなり面白かったです。もう、続きが気になって気になって。
で、読み終わった今、ちょっと言葉が出てきません。
実話を元にした物語で、補足のような後日談がいちばんずっしりきちゃって。

第二次世界大戦下のイタリア。主人公ピノは疎開先のアルプスでスイスへと逃げ込むユダヤ人の案内人として活躍する。その後ミラノに戻って入隊、たまたまナチス高官の運転手に抜擢されたことからスパイとして活動することに……
というお話なので、いついかなるシーンでも、この後どんな悲劇が訪れるのかと、ものすごい緊張感があって。どんなときでも信仰を支えに勇敢に立ち向かうピノ青年の成長物語の側面もあってぐいぐい入り込んじゃいます。
映画化が決まってるようで、映像映えしそうなシーンが盛りだくさんなのも納得です。

日本でも戦争体験者の方々の多くが鬼籍に入り、戦争体験をどうやって受け継いでゆくかが課題となっています。
こういった衝撃的な物語が数々目に触れられることになるといいなと思います。



『捕り物に姉が口を出してきます 』神楽坂 淳(ポプラ文庫)

タイトルのままです。見習い同心の榊が主人公だけど、姉と姉の親友と幼馴染が強すぎる。ラノベならば最強のラブコメ布陣といったところだけど、奉行所関係の小物や岡っ引きたちもいい味出してます。
それにあの大物が登場!ってのがドリーム感があっていいですねー。
グルメものかってくらい江戸の町の美味しい食べ物があれこれ登場するのでお腹が空きました。

どっちの方面から見ても薄味がすぎる……よく言えばさくっと楽しめる。面白くなくはないです。とにかく読みやすいし特に会話が楽しくて。
もっとぞんざいな話し方をしなさいとたしなめられてばかりの榊だけど、育ちの良いぼっちゃんぼっちゃんしたところがライト文芸を読む層にウケが良いのではって気がします。



『流転の貴妃 或いは塞外の女王 』喜咲 冬子(集英社オレンジ文庫)

食べるのが大好きでふくよかな貴妃さまが最高。緊迫感のある背景のシリアスなお話なのに、ヒロインの食べ物への情熱がすごくてくすくすってなります。
ほんと、痩せてるとか肥えてるとか美しいとか醜いとか、もう言われたくない! です。こういうヒロインがもっと増えるといいのに。

伝統にのっとったやり方で慣れない場所で一人前の働きができないよりは自分の力を活かせる場所で存分に働きたい、夫婦が離れて暮らすことになってもって素敵な考えだと私は思ったけど、ヒロインはわがままって感じる読者もいるようで。そうかー、そうなのかなー、ムズカシイですね。

大国の思惑とか陰謀とか、すかっと解決できる問題じゃなかっただけに複雑で難しくて、こういう要素はなくても良かったんじゃーなんてちょっと思いました。そういうのなくても充分面白いので。
うう、また月餅が食べたくなった……

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