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「深層」世界とマロリー伝説(完結前緊急懺悔)

「あるいは深層に、遙かなる地平を夢見て」、本日朝6時に完結予定です。

 でも、完結前にどうしても書いておかなければならないことがあるのを思い出し、慌てて近況ノートを更新しております。

 先に告白しておきますと、これは懺悔文になります。

 ぼくは作中で大変なミスを犯しました。
 何の話かと思われるかもしれませんが、それは世界一有名な登山家、ジョージ・マロリーに関係します。

 ▽

 ジョージ・マロリーは、登山に興味のある人であればまずほとんど知っているであろう、伝説の登山家です。

 人類初のエベレスト登頂を目指した、いわば「山屋の神様」みたな人です。

 マロリーを知らなくとも、「そこに山があるからだ」という言葉くらいは聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
 いろんなところで引用されまくってますが、あれは登山家の心情を端的に表した名言とされています。

 マロリーはエベレスト登頂のためにかなり無理をしてたようです。
 失敗しても失敗してもまだ挑戦し続ける姿を見た人たちが「なぜそこまでして山に登るのか」と、同じ質問をし続けたところ、マロリーはうんざりして、

「山があるからだよ!」

 と答えた、というのが真相らしいです。(諸説あり)

 ぼくはこのエピソードが好きです。
 理由なんかいらない。登りたいから登るんだというマロリーの息遣いが、現代にまで届くような気がします。
 
 ▽

 さて、ここからが懺悔となります。

「あるいは深層に」には、ジョージ・アンカーという登山家が登場します。

 このキャラクターに「ジョージ」という名前をつけたことを、ぼくは非常に後悔しています。
 なぜなら、作中で幾度となく「あんな記録に意味はなかったのだ」といった言葉が出てくるからです。
 
 まるでマロリーの挑戦を軽んずるかのような表現です。
 完全に失敗しました。別の名前を使うべきでした。

 言い訳のように最終話で「あれはあれで偉大な記録だった」などとクラウディオに言わせたりしていますが、全然足りません。


 言うまでもなく、マロリーはジョージ・アンカーのモデルではありません。

 それより以前に「そこに迷宮があるからだ」と言った潜行者がいましたが、むしろそちらがマロリーのイメージでした。


 あとは、実はギルド長もマロリーのイメージです。
 彼も「もしマロリーが生きていて歳を取ったら」という妄想で生まれています。
 じゃあ気軽に大ルドヴィクと愛人関係にするな! という話もありますが、あくまでイメージなのでそれはぼく的にセーフです。
 

 何が言いたいかというと、つまりぼくはジョージ・マロリーが好きで、リスペクトしているということです。


 それだけに、ロブ・アンカーの弟の名前を考えるときに「L73 にチームで初到達するパーティのリーダーか。じゃあやっぱりジョージしかないな」と安直に決めてしまったことに、ずっと後悔が尽きません。
 というか「マロリーにはエベレストの頂上を踏んでいてほしい」という願望から選んでしまったのです。


 あのときのぼくにクリームパイでもぶつけてやりたい気分です。

 もしかするとそのうち名前をぜんぶ書き直すかもしれませんが、ここで表明しておきます。


 ジョージ・アンカーは、ジョージ・マロリーと一切関係ありません。
 もちろんモデルではありません。

 マロリーは歴史に残る最も偉大な登山家の一人であり、その功績を汚すような意図は一切ございません。 


 ああ、言葉って難しいなぁ……。
 もっともっと精進させていただきます。

4件のコメント

  • むしろアンカーと言う名の方に注目していました。
    ・大勢のメンバーで繋いで、最後に決める人
    ・確固たる記録として杭打つ人
    のような意味合いで。

    でも気になり始めたら止まらない気持ちもお察しします。
    というわけで、どうぞ心のゆくままに。
    (クリームパイにラズベリーソースを添えて。エイッ)

    P.S.
    8100Depthの誤字指摘コメントを消しておりますので、よろしければカイエさんも。ご確認くださいませ。
  • > 蒼翠琥珀さま

    アンカーはそのまま碇のイメージでした。
    そこまで深く考えていたわけではないのですが、仕事でもよく使う単語だったので、ちょうどいいかな、と。

    そのうち「ジョージ」の部分は「太郎」とかに変えるかもしれません。
    よろしくお願いいたします。

    ところでクリームパイって美味しそうですよね。
    アメリカの映画とかで出てくると「ぼくも一度ぶつけてもらいたい」と思うんですが、食べ物で遊んじゃいけないと言われて育ったので、なかなか勇気が……(もぐもぐ

    誤字指摘、ありがとうございました!
    しかもこんなに気を遣ってもらって……助かります。
    ぼくのコメントのほうも修正しました。

    今後ともよろしくお願いいたします。
  • 好きな分野に切り込んだからこその苦悩ですね。
    この小説を山岳系の入り口として触れた私にとっては、「外国ジョージ=日本の太郎」というくらいありふれた名前だなと思っております。

    だけど、そこは作者様の心持ちですので、新しいお名前になったら、その名で呼ばせていただきますよ!
  • > 月子さま

    はいー……でも自分の中にあるリスペクトを自分で汚してしまったような悲しみがあります。
    そのうち名前を「太郎」に書き直すと思います。
    よろしくお願いいたします。
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