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【詩人の螺旋階段】



 ぼくは以前とおなじように詩を書いている

 ひとりこの屋根裏部屋で

 窓から見える空と森もおなじだけど

 色味がなくなってしまった

 きみがいなくなって



 うるむ目をふせて言ったね

「あなたの書くものが もうわからない」

 階段をおりていった きみの足音

 おりていった 現実 と呼ばれる世界へ



「あなたの詩がとても好き」きみは言ってくれた

 出逢った森の木陰でね

 見なれた景色 きらきらきらきらまわった

 こころの奥まで差し込んだ

 あかるい陽のひかり



 ずっとひとりきりのぼくさ

 平気だよ またひとりに戻るだけ

 気をつけて行ってね からだ こころ 守って

 きみの帰るのは残酷な場所だから



 屋根裏部屋から見える 色味の消えた空

 ふたり出逢った森の木陰

 きみが去っていく いとしい背なか見せながら

 森の向こう 大きな街へ

 激しい 渦のなか



 季節が何度もめぐり

 ぼくはおなじように詩を書いている

 きみの透き通った声を思い出す

 清らな笑顔 「あなたの詩が とても好き」