最終話投稿です。
http://kakuyomu.jp/works/16818792436096812060長きに渡りお付き合い頂きありがとうございました。
あとがきですが、ネタバレも含むのでこれから読もうという方はご注意ください。
乙野四方字著の『僕が愛したすべての君へ』/『君を愛したひとりの僕へ』の憧れからSFは一作書いておきたいと思っていました。
SFと言っても科学という分野の広さから、何を題材にしようというところですね。
前提として、作品のモチーフは単純明快であるべきだと思っています。
前作のあとがきで時間を止めるという概念をはじめに考えた人はすごいと書いたと思いますが、単純な現象から多くのことを想像できるモチーフだと思うのです。
そんな中でバイオ3Dプリンタは単純明快という条件に合致だと思いました。
普通の樹脂を用いた3Dプリンタは、使ったことはないけどどういうものか知っている方が大半だと思います。
そしてiPS細胞を用いた再生医療も、原理は分からなくても目的は分かるというのが一般認識だと思われます。
故にその2つを組み合わせたバイオ3Dプリンタも名前を見ただけである程度見当がつくだろうと見込みがありました。
バイオ3Dプリンタというものを私が知ったのも、そういうものがあるんじゃないかと思って検索してみたからなんですよね。
この発想に至ったのも、私がまだ科学の専門家と名乗れない頃の話ですし、実に単純な発想だと言えるでしょう。ならば多くの人が受け入れることもできるだろうと思いました。
課題としては、本作をいかに他のバイオ系SFと差別化するか。
バイオ3Dプリンタを扱った作品は私の知る限りありません。しかしながらこの技術で人を作ろうという発想に至るのはごく自然なことだと思います。
クローン技術を題材にした作品は数多くありますよね。
至った結論としては現実よりかつ倫理に重きをおいた作品にしようということでした。
需要から考えても、バイオ3Dプリンタで作製した臓器の移植は、かなり高確率で現実のものになるだろうと考えています。
また人としては死んでいても、その個体からサンプリングした細胞を生かし続けることはできるし、生殖細胞を生み出すことも可能です。
クローン人間の作製は既に法律で禁じられていますが、新しい技術を使えば法の抜け穴をつくことも可能だと思います。
科学者の端くれとして、一度真剣に考えてみよう。
倫理に絶対的な答えはないけれど、個人の答えとしてどこまでも深く追求できるはずだ。それならば他の作品と差別化できる。
というコンセプトで書き進めることとなりました。
一方で科学者の傲慢のような作品にはしたくないとも思っていました。
あくまでエンターテイメントとして楽しめるように。
コミカルなシーンも多めに入れておいたつもりです。
一応ヒロインとなる伝田さんにその役割を託しました。マッドサイエンティストである彼女の好奇心と倫理との葛藤が、ある面倫理というテーマを強調してくれたのではないかと思っています。
多分喜歩と伝田さんは結婚するんじゃないでしょうか。
その前に喜歩は乙女座に浮気するんでハードなお仕置きを受けることにはなりますが。
伝田さんの師である五味先生ですが、時代から換算すると私の一回りぐらい下の年代になります。
アニメオタクの先生には、我々と同類という親近感を抱いて欲しかったです。
五味先生の家の地下室にはたくさんの漫画が保管されています。
医療漫画はほぼ取り揃えていますが、それだけじゃないです。お気に入りの作品は「ハードワーカー中田」らしいです。
本作の真の目的は、五味先生の蔵書になり、喜歩のような子が物事を考える手助けになることだったりします。
理想的には映画1本分ぐらいの容量の作品を生涯に渡って20作ぐらい書けたらなと思っています。
前作は長すぎたので本作ぐらいが丁度良いのです。
作品にメッセージも込められたし、ひとまず満足しています。
次回作についてですが、美税をテーマにした作品が半分ほど書いて崩壊したのでこちらは取り下げます。
現在鳥葬をモチーフにしたファンタジーを構想中です。結末は決めているのでなんとか形にはなるのではないかと。
完結させてから投稿したいので4ヶ月ほどかかるかな…。
来年の4月ぐらいを目標に執筆を進めます。
ここまでありがとうございました。
カクヨムコン参加される方は頑張ってください。
こちらのコメント欄に作品の宣伝をしても構いません。
読みに伺うことは約束できないのですが、通知ラッシュで埋もれて投稿開始を見逃した作品もあるかも知れませんので…。