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生存報告

新作書いてます。

プロットから確り組み立て、
コツコツと準備を整えている段階ですが、
最近忙しいので連載開始は今のところ未定です。

そんなわけで、生存報告をかねてちょっとだけ、





 ――ドン!――

「ちょ、こんなところでボケっと突っ立ってんじゃねぇぞ!」

 裏路地の曲がり角で、見知らぬ兄ちゃんにぶつかる。派手さこそないが身なりは整っていて何より穏やかで優しい顔つきをしている。どこかの裕福な家庭のお坊ちゃんってところだろうか? 目元にはクマが浮かび、少し苦労している様にも見えるが……まぁ、寝てないだけだろう。

「ん? あぁ、すまない」
「ケッ! 気を付けろ!!」

 用は済んだので、さっさとその場を後にする。こういうのは考える時間を与えないのが秘訣だ。





「おい、"ルーク"。こんなところで何をしてるんだ?」
「チッ! ツケられていたか…」

 角を2つほど曲がったところで眼帯で片目を覆った薄汚いオッサンに声をかけられる。コイツの名はダイン。俺たちが暮らしている鉱山都市"ルード"の汚れ仕事を仕切っている悪党の一人で、なんと言ったらいいか……つまりはチンピラの親玉だ。

「ル~クよ~。俺に渡すもんが、あるんじゃね~のか?」
「さぁ、何のことか分からないな」
「チッチッチッ! ルードの裏路地は俺の庭だ。ここでシノギをする場合は、俺に所場代を払えって言ったよ……な!!」
「ぐふっ!?」

 突然蹴り飛ばされ、肺から漏れた息が声にならない声となる。

「ケッ! 毎回手間とらせんじゃねぇつ~の! 大人しく所場代を払いさえすれば、痛い目だけは見ずに済むっていうのによ! お? 結構重いじゃねぇか」

 俺の懐から先ほどスった財布を強引にブンどっていくダイン。

 また失敗だ。念入りに周囲は確認したのに……なぜだかダインは何処からともなく嗅ぎつけてきて、難癖付けて稼ぎを横取りしていく。俺も最初は所場代を払っていたが、結局難癖付けて稼ぎの殆どを横取りしていくのは変わらない。それなら、一か八かでも挑戦するまでだ。そうしないと、このクソみたいなやり取りは永遠と続いてしまう。

 そう、俺がダインのカラクリを暴かないと、次に食いものにされるのは、俺の弟分たちになるのだから……。



「おいおい、大の大人がそんな事をして、恥ずかしくないのか?」
「あぁ? なんだテメーは!?」

 そこに現れたのは、さっき俺がスリをした兄ちゃん。どうやらスラれたことに気が付いて財布を取り返しに来たようだ。

「なるほど、そういう仕組みか。なるほどなるほど……」
「はぁ!? いや、本当に何なんだよお前」

 しかし、肝心の兄ちゃんはダインの威圧もどこ吹く風。ヘタをしたら兄ちゃんもタダではすまない状況で、この呆けっぷり。やはり、世間知らずのボンボンなのだろうか?

「あぁ、お前に用はない。さっさと消えていいぞ。用事があるのは、ソッチのルークだから」
「チッ! まぁいい、そのガキは好きにしな!!」

 それだけ言い残して去っていくダイン。普段のダインなら、舐めた口をきいた相手を見過ごすことはしないのだが、早く財布の中身を確認したかったのだろう。結局、ダインにとっての1番はプライドではなく"金"なのだ。

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