歯医者に、歯を抜くか、歯を二つに割るかという究極の選択を迫られ、一週間の苦悶の末に、抜歯を選択した。
 歯を抜く日は、その直前まで寝ていた。私は嫌なことがあると、とにかく眠くなるのだ。

 意を決して、歯医者に抜歯を選んだ旨を伝えると、医者はそれは止めておこうと言い出した。
 いまは痛みがないのだから、そのままにしておいて、様子を見よう。
 先週は、抜くか、二つに割るかの二者択一しかないと言っておきながら、私も密かに希望していた第三の選択肢、現状のままで様子を見るという案が提示され、私は欣喜雀躍して、医者に謝意を伝えた。
 おそらく、私に一週間悩ませることで、「ちゃんと歯のケアをしろよ」という忠告を私の骨髄にまで知らしめるために、二者択一を迫ったのだろう。