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掌編小説:虞。美し、人しに草。/feat.ソウセイ系アイドル
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https://kakuyomu.jp/works/16818622170661590719📚️<おかげさまでKAC2025ランカー賞受賞! 読んでみてね!
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近況ノート『プロットのフレームワーク』リスト
第1回:
gemini壁打ち帳(58) 「起承転結」って何? プロットのフレームワーク(1)
https://kakuyomu.jp/users/Tuyuri_N/news/16818792439793825532第2回:
gemini壁打ち帳(59) 「序破急」って何? プロットのフレームワーク(2)
https://kakuyomu.jp/users/Tuyuri_N/news/16818792440027831674第3回
gemini壁打ち帳(60) 「三幕構成」って何? プロットのフレームワーク(3)
https://kakuyomu.jp/users/Tuyuri_N/news/16818792440250949804Q.今度は、「ヒーローズ・ジャーニー」について教えて。
✨️.承知いたしました。「ヒーローズ・ジャーニー」についてご説明します。
ヒーローズ・ジャーニー【The Hero's Journey】
ヒーローズ・ジャーニーは、神話学者ジョゼフ・キャンベルが提唱した、神話や伝説、そしてあらゆる物語に共通する普遍的な構造です。
主人公が日常の世界から旅立ち、試練を乗り越え、成長して帰還するまでの過程を、12の段階で体系的に示しています。
このフレームワークは、「三幕構成」や「起承転結」のようなプロットの骨組みだけでなく、主人公の心理的な変化や成長に焦点を当てている点が大きな特徴です。
◉3つの幕と12の段階
キャンベルの12ステージとも言う。【ここ重要!】
Ⅰ.出離
1.日常世界【The Ordinary World】
物語の始まり。
主人公の平穏な日常や、彼が抱えている潜在的な問題を提示します。
2.冒険への誘い【The Call to Adventure】
主人公の日常を揺るがす出来事が起こり、新しい世界への旅が始まります。
3.誘いの拒否【Refusal of the Call】
主人公は、未知の世界への恐怖や不安から、冒険への誘いを一度は拒否します。
4.賢者との出会い【Meeting the Mentor】
主人公は、旅の導き手となる師匠や助言者と出会います。
5.第一関門突破【Crossing the Threshold】
主人公はついに冒険を決意し、日常の世界を離れて、未知の世界へと足を踏み入れます。
Ⅱ.試練と勝利
6.試練、仲間、敵【Tests, Allies, and Enemies】
新しい世界で、主人公は様々な試練に直面し、仲間と出会い、敵と戦います。
7.最も危険な場所への接近【Approach to the Inmost Cave】
物語の核心、最も危険な場所(敵の本拠地など)へと向かいます。
8.最大の試練【The Ordeal】
主人公が死の淵をさまようほどの、最大で最も困難な試練に直面します。
ここで大きな変化を遂げます。
9.報酬【The Reward】
最大の試練を乗り越え、主人公は特別な力や知識、財宝などを手にします。
Ⅲ.帰還
10.帰路【The Road Back】
報酬を得た主人公は、日常世界へと戻る旅に出ます。しかし、まだ危険は残っています。
11.復活【The Resurrection】
帰還の直前、主人公は最後の、そして最大の試練に直面します。これは、死と再生の象徴です。
12.宝物を持っての帰還【Return with the Elixir】
試練を乗り越えた主人公は、宝物や新しい知識、そして内面の変化を携えて、日常の世界へと戻ります。
彼はもはや、旅に出る前と同じ人物ではありません。
ヒーローズ・ジャーニーは、フィクションだけでなく、人間の成長や変化を語る上でも非常に強力なモデルです。
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📚️<さて。
毎回、geminiにひとくさり解説してもらったあと、オマケ的にひと言つぶやいておりますが、今回はちょっと長いです。
ご紹介したフレームワーク、「ヒーローズ・ジャーニー」について補足します。
📚️<今回も「三つの幕」で構成されていますね。
ただ、その中身に違いがあることがわかるかと思います。
「三幕構成」とこれを比較した場合、ドラマ全体の組み方にフォーカスするか、キャラクターの変化にフォーカスするか、などがそうですね。
このシリーズで、いくつかプロットに使えそうなフレームワークを紹介してきました。
が、結局フレームワークによって着眼点や思想、想定するメディアがそれぞれ異なっていることがわかっていただけたかと思います。
出自が違うフレームなので、ただなんとなく知っているフレームワークをもとに自分の小説を考えたところで、そう単純にまとまらないのもムリのない話です。
やがてカタチになるころには、フレームワークなんて関係ない自分の我みたいなものが出来上がっていた。
そういうことも、書き手のみなさんにはあるあるかと。
ただ、今回紹介した「ヒーローズ・ジャーニー」は、冒険活劇のライトノベルや台本を書くと想定したときに、比較的向いているフレームワークだと思っています。
三つの幕の中身が具体的で、長編小説にも対応できそうな変化を取り入れており、かつ項目が多すぎないというところが、個人的に向いていそうだなと。
そして「三つの幕」でピンときた方もおられたかと思いますが、こちらもまたハリウッド映画制作の渦中で編まれたプロットのフレームワークです。
いや、「編み直された」と言ったほうが正しいかも。
ともあれ、知見は裾野が広いところの方が集まりやすいのですね。
📚️<ついでにもっと補足します。
今回紹介したヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)は、「キャンベルの12ステージ」とも言います。
これは、このヒーローズ・ジャーニーの理論を提唱したアメリカの神話学者ジョゼフ・キャンベルにちなんで名づけられたものです。
ただ、最初にキャンベルが提唱した「ジャーニー」は、古典神話を題材にした、物語の普遍的構造論から出発しているもので、厳密にいうと近現代の物語づくりに焦点をあてたものではありません。
さらに、当初は17ステージに別れていて、もっと細かく、あてられている日本語も古風です。
「召命感」とかね。
キリスト教圏ではよく見聞きするフレーズなのですが、日本語だと本当に大学で神学をやっている方や、キリスト教を信仰している方以外は馴染みのない言葉かと思います。
それもあり、また、より現代の作劇の話に寄せたいということで、今回はこの12ステージを紹介しています。
オリジナルの17ステージではなく、キャンベルの理論をハリウッド流にカスタマイズした方のヒーローズ・ジャーニーです。
📚️<ちなみに、ヒーローズ・ジャーニーを今回の12ステージに仕立てたのは、ハリウッドで脚本開発担当として知られ、ウォルト・ディズニーのストーリーアナリストでもあった、クリストファー・ヴォグラーです。
この12ステージを「キャンベルの12ステージ」と呼んだのも彼とのこと。
彼がキャンベルの著書『The Hero with a Thousand Faces(千の顔を持つ英雄)』に影響を受け、脚本の実務に落とし込んだ12ステージのノウハウは、90年代〜00年代に脚本執筆ガイド『The Writer's Journey』として出版されています。
それは最初、ハリウッドの脚本家たちに向けて書き連ねた7ページのアイデアメモでした。
それが大いに喜ばれ、映画製作の幹部間では必読メモとなっていたことから、ヴォグラーの意向により出版に至ったようです。
📚️<ということで、今回はヒーローズ・ジャーニーの内容とその背景についてひとくさり語ってみました。
オリジナル17とオリジナル12。
もちろん、どちらにも普遍性を追求した良さと味があるのですよ。
何を思って作られたかと、どのように使われてきたかが違うだけであって。