企画期間が終了しました。参加者の皆さんには改めてお礼申し上げます。
わたしにとっては初の書き下ろし推奨系企画。どんなもんかと長めに企画期間を設けていたのですが、ふたを開けてみれば、いつもと変わらず、最初の数日で参加が途絶える結果になりました。企画自体がよっぽど盛り上がらないと後発の参加は難しいのかもしれません。
決して、書き下ろし作が多かったわけではないのですが、数日と言わず一日、二日で書き上げ参加してくださった方もおられて、遅筆のわたしは感心しきりでした。特にいまは文章書ける脳の状態じゃないので、これ書くだけでもかなり苦しんでます。コンスタントに書ける方は本当にすごい。
さて、構成の意識を養おうという趣旨ではありましたが、どの程度お役に立てたでしょうか。参加者の方にとって何かしら得るものがあれば幸いです。
構成、と一口に言っても考え方は様々で、これという答えがあるわけではないのですが、今回は一つ告白体・書簡体という縛りを設けることで方法論を絞り込ませていただきました。言ってみれば、これってミステリ的なプロットの技法なんですよね。謎かけと回答が混然一体となっているのがこの語り口の特性だと思います。
早い話が、オチとツカミを意識して書こうってことです。小説に必ずしもそれらの要素が必要なわけではないのですが、エンタメの書き手ならこの技法を身に着けておいて損はありません。みんな好きでしょう、どんでん返し。
しばしば指摘されるように、ネット小説は連載漫画のようなライブ感が大きな売りとなりうる媒体です。中には読者の反応を見てストーリーを考える、あるいは考え直すという書き手の方もいらっしゃるでしょう。それはそれで一つのやり方だと思うのですが、個人的にはやはり構成がしっかりした作品が読みたい。
これはたぶん、ミステリ読みの性なんでしょうけど(笑)。キャラクター偏重、ストーリー偏重の方法論ってどうしても肌に合わないんですよね。まず最初にプロットがあり、そこから逆算してストーリーやキャラクターが導き出される形が美しいと思ってしまう。エンタメ、それも短編の場合は特にそうですね。
ミステリっていうのはそういうジャンルなんですよ。そして、トリックありき、プロットありきであればこそ、普通に考えたら絶対出てこないようなキャラクターやテーマが生まれうる。それが美しいんです。
ですから、構成と言ってもオチとツカミという二進法的な次元に留まっていてはダメなんですね。そこだけに意識が向いてると、間延びした小噺のようなものにしかならない。小説である以上は描写が必要であり、そこの充実が求められる。
オチとツカミ。そこから逆算されたテーマ、キャラクター。それをいかに魅力的に描けるか。突き詰められるか。ここが勝負だと思います。そこからさらに逆算して構成にもフィードバックしていく。その繰り返しが、作品の緊密さにつながっていくと思います。よく「叙述トリックの必然性」が問題にされますが、ここを突き詰めればたとえ叙述ありきでも、そんなことは言わせない作品作りができるはずです。