星織サイ

卒業を機に別々の道を歩むはずだった私と咲希。 最後の思い出作りに、私たちは学校の怪異「千影様」を真似た。 それが、二人の「永遠」の始まりだった。 （本作は8月に投稿した『千影さま…

冬が2年続く国で、生贄に選ばれた少女・レニ。魔導士たちのある計画のために、レニの身体に冬の女神が降りてきたまま、出ていかない。女神さまと円満に離れて、自分の時間を取り戻すには、「…

なにもかもが色褪せて、つまらない。 生きている実感のない明日香が、出会ったのは悠久の時を彷徨った吸血鬼。 この出会いを運命と言えば良いのだろうか。 夜の帳に隠れて逢瀬を重ねる。…

夏になると決まって田舎に訪れる主人公。 この時間だけが主人公の心休まる場所だった。 この場所に来ると、主人公を出迎えてくれる少女がいるが…… 少し不思議なお話で、少しだけ前を…

優秀すぎる家族の元に生まれてしまった凡人の青年、佐伯修吾。 彼は周囲の上がりに上がったハードルに応えられるわけもなく、精神を病んでしまう。 気が付くと彼は自ら首を吊って死んで…

バーソルの森に住む者で、リークルロッズの詩を知らぬ者はない。生まれてすぐから子守歌代わりに聞かされる。それは、バーソルの森が生まれた理由であり、バーソルの森ができる前に何があった…

ローマ帝国の時代。孤児は奴隷として売られ、少年剣闘士になった。やがて、自由を得るために、帝国の皇太子と試合をすることになる。

寂れた村に、一人の武芸者が流れ着く。 村長の家で歓待を受けた彼は、翌晩に村長のただ一人の娘を「大蜘蛛」に捧げねばならないと聞かされる。 娘を救うべく夜の山へ向かった男は、そこで待…

調理師学校に通う真希が、紹介されて訪ねたのは、丘の上に佇むかつてのオーベルジュ。静かな海、風に揺れる木陰、そして一皿の料理。——それは、言葉では届かない何かを、確かに伝えてくれた…

ビジネスホテルに、エイリアンが現れた。2メートルを超える体、口から漏れ出る溶解液。そんなエイリアンが懐から出したものは以外な物で―― とらきち氏の大喜利を、許可を頂いたうえで小…

雨の日、泣いていた女性に声をかけたのは、とても優しいおばけ傘だった。

焦げた卵焼きの匂いが、ふと記憶をほどいた。 言葉にできなかった想いは、弁当箱の中に残っていたのかもしれない。 ひとつの家族が、静かにすれ違い、やがてつながるまでの物語。

冬に浮かんだ歌をつれづれと書き残しました。 ・俳句(575) ・短歌(57577/TAN1NKA)

ホラー短編です。 ある女性の手料理が三つ星を得る。 しかし、そのレシピは公開されなかった。 そこから少しずつ綻びが生じる世界。 人々を笑顔にしていた料理を、笑顔を絶やす元凶にし…

高校生の姫島詩織はキッチンカーのクリームソーダ専門店の宮島 真に一目惚れをした。 彼には妻も子供もいることを知り叶わない恋だと思っていたが、真の義理の弟がクラスメイトの小川充がい…

音大に通うために上京した愛佳は、偶然入った喫茶店で感動的においしいコーヒーを淹れるバリスタの青年と出会う。 ところが後日、その青年が【呪いのバリスタ】と噂されていることを知る。な…

私の世界は全部水。ぱくぱくと酸素を体に取り入れる。生きるために。

主人公は、高校生活を送る中でクラスの「完璧な優等生」である真理を、自分の人生の救い主として密かに依存していた。しかし、ある日、真理から「もう私に頼らないで！」と怒りを込めた拒絶の…

僕は、いじめられて死んだ。 幽霊として目覚めた僕が見たのは、自身の葬儀で涙を流す両親の裏切り、そして僕を追い詰めた加害者たちの残酷な日常。感情が希薄になっていく中で、僕は自身の死…

普段は創作小説を書いていますが、 今回だけはどうしても“自分のこと”を 話させてください。 誰にも言えない痛みに押しつぶされそうだった日々と、そこから少しずつ光を見つけていくま…

太古の昔、王国は光に満ちていた。 女王によって祝福され、人びとは幸福を謳歌していた。 母なる太陽の光は、國にひと欠片の影を作らない程であった。 外界の人間は女王の王国を、影のない…

毎日、自宅ドアの前にある不自然なもの。 日常に起きた小さな違和感の真実を知るとき、自分自身の醜悪な側面も知る。 人の死により、平凡なはずの自身にある狂気に気づくある人間の話。

感情を読み取れ、メンタルケアができて、人間に限りなく近い第五世代ＡＩ達が普及している時代。 少女あいの家にいるのは、祖母の形見として残された、感情を持たない少し古びた第三世代ＡＩ…

洋食舗「赤煉瓦」に店主ひとり。 甘いハヤシライスの香り漂う午後、常連より早く現れた客。 柔らかな笑みの裏に潜む微かな違和感――。 日常の片隅で交わる視線と、静かな影のひととき。

国旗損壊罪の施行により、国民の「国旗に対する敬意」が問われる社会。 主人公の高橋 健太は、家族との何気ない外食の際、幼い娘のお子様ランチに添えられた日の丸の旗がケチャップで汚れ…

その世界には、一人のヒーローがいた。正義を助け悪を挫く。誰もがその姿を称賛し、彼を正義だと認めていた。人々は信じていた、彼がいる限りこの世界は平和であり続けるのだと。 これは、…

忌々しい蛇が現れた。 ジャメ教の天使様と悪魔の目的とは？ そして、現れる「正義の勇者」とは？

王道ファンタジー『ドラグ・ロガーは嘘を斬るー不器用木こりとひきこもり姫に世界は救えるかー』の短編集です。 本編をご存知ない方も楽しめるお話となっておりますが、多少のネタバレ（重…

季節の変わり目、頭痛で眠りに就くことができなかった夜に書いた物語を書く理由を自分なりに考えて書いたエッセイ、いや雑文かもしれない。たわいもない文ですが、下書きに埋もれるくらいなら…

雨の帰り道、花は“黒い何か”に遭遇し、魂を食べる怪異ロニカと出会う。 ロニカは花に強い興味を示し、人間を知るほどその姿を花好みの「人間の少年」に近づけていく。 雨宿りした空き家…

自主企画に参加したうみたたんです。余韻が残るような短編になったかと。読んでもらえると嬉しいです！ story…… 真夜中、ニールは相談室を訪れる。そこには眼鏡を外したジャンユが…

人類が造り出したアンドロイドは長い寿命を得て、いつしか長命種として、人間という短命種を見守り続けてきた。 アンドロイドのリリーは、大切な人の遺言を胸にし、愛を見つける物語。

ある日、ぼくはとある洋館に招かれる。 閉ざされた純白の部屋にあったのは、この世界のどこにも属さない、無垢すぎる少女の姿。 孤独の楽園で、ぼくは取り返しのつかない扉を開けてしまう…

新卒OL、念願の一人暮らし——のはずが。 隣に住んでいたのは自称魔王！ 長髪イケメン、真顔で真面目、で、魔力は使えません！？ 役所では記憶喪失扱い、現在カラオケボックスの店員。 …

海辺の小さな喫茶店「夕暮れ」で、軽やかなジャズが流れる穏やかな午後。女主人トワコの店に、突然の喧騒が訪れる。二人の若いマリンパーク職員が、激しい取っ組み合いの末に明かす秘密――そ…

一月三十一日、大晦日の夜。東京の老舗蕎麦屋「いっぱち」に、かつて金を盗んで逃げた男・小松が仲間を引き連れて戻ってきた。年越し蕎麦で賑わう店の売上を狙った強盗は、店主佐吉の抵抗によ…

二次大戦の最中、疎開先で鬱屈とした気持ちを抱いていた少年がいた。 少年、雨照央は喧嘩に明け暮れる日々。そんなおり、箏を弾く少女、詩音と出会う。

父が亡くなった夜。 飼い猫の“ぶち”は、遺体ではなく―― 誰もいない部屋の隅に向かって静かに頷いた。 それ以来、ぶちは変わってしまった。 過干渉とも思えるほど私たちの生活を見張…

母さんは月に二回、機嫌のいい日がある。朝から鼻歌を奏でて、父さんの好きなビーフストロガノフを仕込む。野菜は無農薬で肉はステーキ用、気合の入り方は他の家では見たことのないものだ。二…

椿は、八代家で生まれた。八代家は、代々あやかしを従えるで有名な一族だった。 その一族の次女として生まれた椿は、あやかしをうまく従えることができなかった。 私の才能の無さに、両親…

たねありけ 先生 主催の自主企画「月の清掃隊」用に書き下ろした短編です！ 拙作『永遠に咲く花を』の水月と義秀の、ちょっぴり甘い物語＿＿＿＿ 本作はこちら⬇ 『永遠に咲く花を』…

勇者リュシオンと刺し違えて散った“魔王”が、次に目を覚ましたのは――人々から「悪女」とささやかれる公爵令嬢エイリスの身体の中だった。 混乱しながらも周囲を観察するうち、巻き戻り前…

一年前、母が再婚したことでできた義妹・菜季（なき）の塩対応っぷりに悩む真弥沙（まやさ）。 とある日、ひょんなことで見てしまった菜季の検索履歴は……ヘンタイなことになっていた！ 義…

『厄災』、『天変地異』。 海に沈む世界で目覚めた僕と、数人の人間たち。 段々尽きていく食料、自分たち以外居ないという孤独。 それでも生きる希望はどこかにある―――――そう信じて僕…

ある日突然、自分の愛するフィギュアが動き出したら――そんな『コレクターの夢』をかなえた男の体験する幸福から恐怖への転落。 微笑む彼女は何も語らず、ただ――他の“愛”を許さなかった。

海辺の家で二十歳になった朝、 私は兄の部屋で十年前に自分が書いた手紙を見つける。 兄は二十歳のとき、ふいに家を出て戻らなかった。 晴れた日にだけ頭の靄が晴れる私のそばで、 兄は…

※過去に書いた作品を修正したものです。 「ミステリーを考えた。聞いてくれるかい？」 12年もの間、小さな世界に閉じ込められ、外を知らずに生きてきた少年の物語を、空想好きな男は彼女…