『1巻の顛末をまとめたあらすじ』スタートからエンディングまで(短縮版)
※現存する場所を舞台にしている都合上、地名などの名称を変えています。
※長尺の半分。976文字程度で説明するとこうなるよ、の例。
舞台は長野県待本市。雄大な山々が周囲を囲う田舎の片隅に、主人公――御剣零次はいた。彼には今、頭を悩ませる問題が二つある。
一つ目は『相続争い』だ。御剣家には満十五歳にして家督を継ぐ権利を与えるという家訓がある。しかし、それは跡継ぎとなる人物が一人しかいなければ、の話だ。そう、零次には自分よりも優れた兄、御剣零一がいる。零一は人材派遣会社の社長にして、学生時代も兄の方が優秀な成績を残していた。このままでは零次に勝ち目はない状態だ。
二つ目はメイドたちの『雇用問題』についてだ。御剣家には、お給仕をしているメイドたちが多数在籍している。当然お給仕をすることが生計を立てる手段である。しかし、その雇用契約がこの相続争いを機に見直される恐れがあったのだ。
時は経ち、満十五歳。高校進学という新たな門出を前にして、零次は現当主である祖父、御剣零雄から告げられる――家督は兄である零一が継ぐことになった。当然の結果だ。しかし今の日本は不景気。人手不足で若者も減少傾向の只中である。このまま古い価値観で物事を決めてしまうのは良くないと零雄の温情により再考の機会を与えられる。
その条件とは『地元に蔓延る寂しさの解消』をすることであった。
この難解な問いかけに対して零次は、個性を生かしたビジネスを展開すること――本場のメイドたちで作るメイド喫茶の立ち上げを思いつく。これならば人としての駄目な部分も個性として活用することができる。若者たち(主に女子)も働ける場所が作れると画策した零次は、東京の地で出会ったビジネスメイドたちを拉致(雇用)し、駄メイドたちを再教育。潰れかけの小料理屋をキャッシュで回収し、更には店主たちもコックとして雇うなど自分の立場を存分に使い倒す。
あまりの暴挙ぶりに、最初こそ学園の教師たちからは辞めるよう促されるが、パンデミック渦で鬱憤が溜まっていた生徒たちは皆、零次の行いに賛同。ついには賛成多数で経営(部活動)の認可を勝ち取ることに成功する。そうして満を持して初日の開店日。学生主体の運営にトラブルはつきもの。一時は苦境に立たされるが、仲間の協力、そして兄である零一の助力を得たことで、事なきを得たのだった。これはうら若き少女たちを悪用(活用)せんとする敏腕学生社長とメイドたちで往くドタバタ駄メイドコメディである。