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文学の未来のために(AI補助利用について)

 このごろ話題のAIについてです。まったくもう。
 私の全てのSF作品は「AI補助利用」です。詩歌以外はそう。全部読ませたうえで修正してるのと、時々テーマの掘り下げのために議論してます。
 これから表示するようにしますね。本文利用はひとつもしてません。

 ついでに。
 小説の執筆意図を著者が口にするなんて、本来は良くないことですが、今回はせっかくなので、ハッキリ私見を言っちゃいたくなりました。夜だから。

 言及してる作品は『クロニクル・イン・ザ・バット』です。まったくもう、まったくもう。
https://kakuyomu.jp/works/822139839436562371/episodes/822139839436572768
 そう言えば、古い作品で『文学の未来のために』という作品もありました。半年前から思ってたんですよってことで、ぜひぜひ。
https://kakuyomu.jp/works/16818622172279034916/episodes/16818622173111611697


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【ここからはAIが怖い人は読まないでね!!】

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 AI小説家の出現を受けて、カクヨムが大量投稿の規制方針を打ち出しましたね。
 みなさん、どう思いましたか? 私は、「web文芸では、人間は近いうちにAIに敗戦するだろう」と確信しました。
 だって、問題の本質は投稿頻度ではないから。web小説稼業に興味をもつ全ての人間が、苦労なく作品を量産できるようになった――それが本質です。投稿頻度は倍率に過ぎない。
 手作りweb小説の時代は終わったんです。残念ですけどね。だいたい10年、遅くとも20年のうちに、なろう系小説が個人の趣味で執筆される余地は、ほとんど完全に消滅するでしょう。

 AIは本質的に、人間の既存のデータを回収して最適化することで、任意の入力に対して最適な出力を考案するツールです。
「ChatGPTは小説が書けない」という言説を、皆さんは必死に信じてきましたよね。でも、きっとAIは小説が書けます。ChatGPTはChat(おしゃべり)に最適化されてるから、小説は書けない、それだけです。カウンセラーと小説家は違うから。
 いつか誰かが、web小説に最適化したAIを作るでしょう。もちろん私も、そんな未来じゃなければ都合が良いなとは思いますが。

 なぜか?
 儲かるからです。みんなでweb小説が儲かる仕組みを作ったでしょう? 資本主義の原理に従って、商業の自動化は迅速に達成されるんです。
 それから一呼吸おいて、文書作成ソフトウェアそのものが変わるでしょう。wordやpowerpointに、標準で「次文予測機能」が追加されます。
 AIで物を書く時代が来ます。来るんです。それは誰かを殺すかもしれないが、人類全体にとっては明るい未来であり続ける。

 で、真っ先にAI使いに奪われるのは、たぶんweb小説ですね。悔しいけど。
「なろう系小説」にはテンプレが溢れています。模倣可能性を追求したからです。
 3人称を拒み、プロローグを拒み、群像劇を拒み、世界観や設定を徹底してテンプレ化して、莫大な文字数の作品群を、評価付きでネットに流しましたよね。
 それだけ作品に制約を課したら、模倣は最も簡単でしょう。しかも現状、最も儲かる小説ジャンルのひとつです。
 近いうちにweb小説は、AI執筆のための商業的ノウハウで溢れるでしょう。どれだけ公式が規制しても、小説は今よりずっと手軽に量産される。それは読み手にとっては天国かもしれませんが、書き手にとっては筆の折りどきです。
 模倣は標準化を生み、標準化は自動化を生みます。人力車が自動車にとって代わられたとき、車夫は失職に苦しんだでしょうね。で、あなたは彼らのために人力車に乗りますか?

 辛いですね。それでも創作をしたい人間は、新しいものを作るしかないと思います。
 今のところAIは、これまで良いとされなかったアイデアの創出には、非常に弱い。彼らは知識豊富な多数決装置のようなものであって、論理性と新規性には乏しい傾向があります。で、ありがたいことに、「新しいものを作る」ってのは、芸術の本質なんですよね。
 だから、少数派になったほうが、まだ生き残れる可能性がある。ヘンなものを作るといい。私はそう信じて、SFだけを書いてきました。
 嘘だと思ったら、ChatGPTに聞いてみるといい。「web小説をAIで書こうと思うんだけど、どのジャンルが売れると思う?」って。それが最初に死ぬジャンルですから。

 余談ですが、私はChatGPT4.5を見たときに、web小説の新時代を予感して、SF創作に本腰を入れ始めたんです。去年の冬のことでした。
 これは勝利宣言であり、敗北宣言でもあります。商業web小説で一獲千金の夢は、ほとんどの凡人にとって、終わったと言ってよいでしょう。思ったより遅かったですね。
 私自身がこのあと創作を続けるかは知りませんが、一緒に頑張りましょうね。文学の未来のために。

8件のコメント

  • こんばんは。
    まったくもう~、ほぼ百パーセントおっしゃる通りだと思います。
    それで私は『AIディストピアの退屈』を書きました。企画に出させていただいたやつです。(あれ、少し改稿したんですよ。お暇があったらご覧ください)
    小説はもちろんのこと、いずれ人間の精神活動のすべてをAIが奪う(支配する)と私は思ってます。
    ディストピアそのものです。

    ということで、夜なので変なことを書き込んでしまいました‥‥‥スミマセン
    それではまた。
  • お美しい分析です。

    勝利宣言であり敗北宣言、というのがいいですねとても。

    ──常時OL(全検査IQ84)は言った。

    戦争は平和なり。
    勝利は敗北なり。

    ところでこういう議論の時、やたらとAIに負けたがる者が多い気がするのは、気のせいでしょうか。

    AIによる作品群に人間たる自作を混ぜ込んだ時に、「こいつおもろいな」と読者に思わせさえすれば、それでよくないか、と思います。

    「人間はAIに、こういう面では勝てなくて〜」というような敗北の言い訳の列挙ばかりを好むなら、少なくとも言えるのはその者はAIに勝てないし勝とうという意思もないのでしょうから、なんというかつまんねーです。

    私はデウスエクスマキナに直談判しに行くネオみたいな創作者が好きです。

    AIにはない愛を、我々は持っていますので、そこを誇りにすればいいと思います。

    愛というものの、自己認識に基づく臨場性と、経験のグラデーション的連続性って、数値化、言語化、記号化、定量化、できるんでしょうか。

    世界の曖昧さを無理やり現象レベルに引き摺り下ろして解像度を下げるマン、がAIだ(人間もそうだが常にではない)と思っていますが、AIが「そんな細かいことはどうでもいいんだよ考えるな感じろ」となったら嫌ですね。

    そもそも勝ち負けの二元論に嵌まる時点で、0101100110110101001001101……AI側の土俵に引き摺り込まれているとはつゆ知らず──

    まぁ、こんな議論が起こる時点で、人間もAIも相互的バーター、共依存です。そういう意味では究極的には優劣がありません。

    意味無し!
    停戦!

    日々アンチ!
    ジンテーゼ!

    ※大変失礼いたしました。
  • そうか〜、皆、もう、AI使い熟しているのかあ。自分なんて、Googleで検索した時に勝手にAI翻訳されるので、それくらいですねえ。どうやらこれくらいならAI利用には当たらないようなのでまずは一安心です。

    AIが出てくる作品は幾つも書いていますが、全くAIが使えない。とほほ。まあ、今後は量産されるでしょうねえ。

    今やAIがプログラムのプロンプトを組める時代ですから、なんて想起していたら、AIがAIを作って、AI間で相互に作品作りまくって、人間たちよりも先んじて著作権を奪う作品書いたなあ。なんて思い出して、振り返ったら、どうやら2023年の6月に投稿していました。『シンギュラリティ2028』なんて題名でした。自分が思うよりもシンギュラリティは早くやって来たようです。

    SFに光があるかは分かりませんが、ホラーもAIは苦手そうと思います。人間が思う『怖い』という心理にどれだけ近づけるか分かりませんから。そう考えると、現状、ホラージャンルが俄に盛り上がっている背景も納得出来ますかね。

    自分が思う次のシンギュラリティは、AIによって世界的傑作が生まれた時ですかね。それはそれで純粋に、見て、読んで、興奮したいです。
  • 私はAIを使いません
    と言うか、AIが普及し出してから新作を書いていません
    どんな秀作を書いても「どうせAIに書かせたんだろう」と言われるのが嫌だからです

    幸いカクヨムでも小説家になろうでも公開日を明示してくれているので
    昔書いた作品はAIを使っていない100%自作と証明できるので助かります

    ただ改訂しても改訂日は更新されないので、昔書いた作品もAIに読ませて
    「夏目漱石風に直して」と指示できるかも
  • 文鳥さん

    読みかえしましたよ! わりと現代的な寓話を意識されていたんですね。むしろ脳が飛んでるのがシュールで、完成されたディストピアとして楽しんでいました。
    9月の未知の短編はレベルが高かったな……。(ひとりごと)
  • 加賀倉さん

    笑ってしまいました。これ確かにビッグブラザーですね。
    まあ私たち、蒸気機関にパワーで勝てないまま幸せに生きてますからね。AIかて完全に従える未来も大いにあると思います。
  • 西さん

    私や西さんの書くSF短編は、もともと売れ筋じゃないからなあ。。ホラーは確かに、AIの弱点かもしれないですね。
    まあ、SFもAI肯定派が多くて、進化圧は高いとは思います。頑張りましょうね。。
  • ツジセイゴウさん

    私も高校生時代の執筆を、なつかしく思い返すことがあります。ただ、次にAIが使えなくなるのは三次大戦後でしょうからね……。難しいところです。
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