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煽り運転

とは言っても、車を止められて中の人が降りてきてっていう怖いのではなくて、「早く行けよ‪💢‬」みたいな感じで後ろにピッタリとくっついてくるタイプの運転についてですけど……。


この間友人たち三人と遊んだ日の帰り道のことでした。

私が運転をしてたのですが、やけに後ろの車が近いな〜って思ってメーターを見てみたら、法定速度より1、2キロほど速かったくらいで、私の運転が遅かったわけではないと分かってからは、そのままの速度で走り続けました。

わざわざそれに合わせてスピード上げたくはなかったので……それで速度違反になって捕まっても嫌ですし……。

私の前にも車はいないし、対向車線もちょうど車列が切れていました。けれど、追い越し禁止になっていたので、それで詰めてきたんでしょうね。

友人たちも後ろの車がかなり近いところまで来ていることに気づいたようで、車内では後ろの車の運転を皮切りに、煽り運転の話になっていきました。

「後ろ近くね?おれらで振り向いて変顔しとく?」

「やめてよ、ただでさえ後ろの運転手さん怖い顔になってるんだから( ˊᵕˋ ;)」

「てかさ〜煽っても追い越してもあんま変わんないのになんで煽るかね?」

「あれだよ、もうトイレ行きたくてしかたないんだよ」


そんな感じで、どうして煽り運転をしているのかという理由を考察……というよりも、煽られてる時にそれをどのように捉えればこちらの心が安定するかみたいな話になりました。

友人の一人であるAくんは先程言ったように、トイレに行きたくて、もう漏らしてしまいそうで緊急事態に陥っているのだろうというものでした。

「確かに早くトイレ行きたい時って、焦っちゃうもんね……でもそれなら尚更運転気を付けてもらえると……」

「それで事故ってもしゃーないし、事故ったらその瞬間に結局漏らしそうだもんな!」

「Bくんはどう思うようにしてんの?」

「病院から子どもが産まれるって連絡が来たから早く行かなきゃって思ってんだろうなって」

「それこそちゃんと無事に病院つかなきゃいけないんだから、安全運転してよねって思っちゃう」

「そういうCさんはどう思うようにしてんの?」

「私はそもそもそういう運転するやつは車乗っちゃいけないやつだと思ってるから、静かにミラーで睨み返してる」

Cさん、普段大人しそうに見えるけど案外闘志燃やすタイプで話してて面白いんですよね。

「そういえばさ、緋翠は怖い人を前にするとだいたい蛇に睨まれた蛙みたいになっちゃうけど、ああいうのは怖くないの?なんとも思ってなさそうに運転続けてるけど」

Aくん言い方……確かに私はビビりなので、何も間違えてはいないんですけど。

でも、私は今後ろにくっついてきてるような煽り方をする人に関しては、怖いというかなんというか……

「なんか、餌を前にして『待て』が出来てそうで出来てない犬みたいで可愛く見えるというか」

「どういうこと?」

「ワンちゃんの動画とか見てるとさ、お皿にドッグフードが盛られて、今すぐにでも食べたいんだけど、飼い主が『待て』っていうから待ってるのに、足はバタバタ動いてて、どんどんお皿に迫ってきちゃって、ヨダレもどんどん垂れてきて……最終的に飼い主さんが笑っちゃってヨシ!って言うんだけど」

「それと似てるって?」

「うん。早く行きたいよー!早く行きたいよー!って迫ってきてるでしょ?まだかな!まだかな!って右寄りになってきてる。あ、あと少しで追い越し禁止終わるね。私が左に少し寄ればすぐにでも追い越してくんじゃないかな?」

そしてちょうどオレンジの線から、白い点線に変わる少し手前、変わりきる前にオレンジの線を踏みながら追い越していく車を見送りました。

「ね!あと少しだったのに我慢できずに行っちゃうでしょ?元気に走ってって、ほら。もう見えなくなっちゃった」

そうやって友人たちと笑いながら話していたことで、慌てることなく無事に後ろの車をやり過ごすことが出来た部分もあるんですけどね。

ちなみに、Aくんからは「ワンちゃんに失礼でしょうが!一緒にしないで」と冗談交じりに怒られました。それにまた笑っていると、さっき私たちを追い越していった車が覆面パトカーに捕まって止められているのを見て、車内はまた盛り上がりました。

ふと思い出してしまったもので、日記のような感覚で書いてしまいました。

自分の心を落ち着かせる方法や考え方を持っておくと、少し楽になりますね。

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