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徒然雑記——『誓いの砂時計』(砂伝第三部「約束の星夜」までのネタバレ含)

私のキャラの中で、唯一、転生という設定を負っているのが、アスラをはじめとした時の司竜です。(エレナーゼ世界は、異なる時間軸と理で成り立っているので、ここでは触れません)

小説の形になった物語中に登場したのはオリア(ジュラの前世、砂伝では名前の明記はなし)が最初ですが、設定そのものはリースと言う一過キャラが最初らしいですね。
当時から、命が尽きると砂となり消滅すること、記憶を保って転生することは確定していた模様。その意味は、小説「砂の伝説」にて明かされてゆくことになります。

竜族というのは、人族より強靭な身体と魔法力を持つ種族です。生命力・回復力が強い上、空間転移と癒しの魔法はほぼ標準能力なので、滅多なことで命を失ったりはしません。
まして司竜ともなれば、属する元素の魔法をほぼ制限なく扱えます。……逆に言えばそれゆえに、生命力が強い器でなければ強大過ぎる魔力により自らの寿命を縮めてしまう、とも言い換えられるのですが。

竜族の中で最も強い魔力は『精神』に関わるものと『時』に関わるものだと言われています。前者はクォーム、後者が時の司竜になりますね。
クォームは物理的法則に依存しない特殊な身体を持っており、世界の始まりから在り世界の終わりになお存在する者。イメージワードが『無限の螺旋』です。
一方、時の司竜は竜族というより人族に近い身体に、世界で最も強大な魔力を抱えている状態になります。
そのため非常に存在力が不安定で、短命だったり、災禍に巻き込まれて命を失うことが多いのです。

初代のアスラは普通に普通の竜族でした。
彼が生きたライデア国で起きた、人と竜とのすれ違いと衝突。義兄の死と、その後の葛藤。一年ののち、彼が選んだのは転生の永遠。二重の意味を持つ誓いが、それには含まれていました。

転生をするという事は、同じ魂を抱いて定めない未来まで時の司竜で在り続けること。つまり、たとえ命を終えても、他の司竜の場合のような次代が現れないということです。そうして、自分の知ってる真実の過去を、いつか巡り来る再会の日まで憶えていようとしたのです。
そしてもう一つは、本当の意味で人間を理解しよう、との決意。
感情に任せて人族を憎んでしまうこともできたはずですが、竜族の感情は憎悪には向いていないのでしょう。彼は人に近い存在となり、人に近しい場所で彼らを見守ることを決めたのでした。

初代のアスラ。二代目がリファール。小説だけでいうなら、その間に未設定期間(一過キャラではリースとロン)が入ってオリア、そしてジュラと続きます。彼らは同じ魂を持ち、同じでない命を生きる者たち。
イメージワードは『銀の砂時計』です。砂が落ち切って時間が区切られ、くるりと返して新たに時を計る、砂時計。百巡りの星刻が満ちるまで、終わりと始まりを繰り返して時を計り、数え待つ――。

百度目の星の日、彼(ら)は誓いを果たし、義兄と再会するわけですが。
それまでの千七百年の時間に、彼らは本当に人族を理解することができたのでしょうか?

……その答えは。ジュラが、知ってるはずです。

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