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#Twitter物語士 2018/04/06

●優勝者
にぽっくめいきんぐ 物語士


●ルール
・ワードをすべて使ってエンディングに結びつく無理がない物語を書く。
・1センテンスに1ワードしか使用できない。
・前ツィートにレスで3ツィート以内で記載。
・4/13 20時〆切
・独断と偏見の優秀作は【Guymの戯言】で発表。

●エンディング
そして彼らは身分を交換し、すべては普通におさまりました。

●ワード
【兄弟・姉妹】(どちらか)
【壊れる】
【本】
【遠くの】
【眠る】


――――――――


■水縹F42 物語士

昔々あるところ、【遠くの】異国のそのまた向こう。【眠る】龍を奉じる都がありました。都は龍が記した予言の【本】にて守られ、ある日記された宿命の双子が誕生します。しかし兄妹である筈の子らは【兄弟】として生まれました。
予言が【壊れる】事に恐れ戦く賢者たちは1つの決断をします。宿命の子たる弟子を隠匿し、代わりに卑しい身分の娘を妹として据えたのです。
そして彼らは身分を交換し、すべては普通におさまりました。
めでたしめでたし?



■秋空脱兎 物語士

昔とも未来とも取れる遠い遠い時間の彼方に、一組の姉妹がいました。
二人は本が好きで、家から歩いてすぐの場所にある図書館に毎日通っていました。
二人は仲も良く、眠るのも一緒でした。
そんなある日、知らない大人達が来たので。
大人達は、遠く離れた星から来た、妹の方を迎えに来たと言うのです。
姉は困惑しました。仮に大人達が遠くの星から来たとして、何故妹だけを迎えに来たのか、と。
大人が帰って、妹が言いました。
自分は遠くの星から来て、妹のフリをしていたと。姉との関係が壊れるのは嫌で、この星にいたいと。
姉は言いました。代わりに自分が行くと。額面通りに受け取りました。
妹は、渋々提案を受け入れました。
そして彼女らは身分を交換し、すべては普通に納まりました。



■hisa子。 物語士

戴冠式を翌日に控えた王子は、不安とともに眠る。
そして不思議な夢を見た。
本の中で文字としてのみ知っていた草原に、王子は一人立っていた。
遥か遠くの地平には、たどりつけそうもないと、ぼんやりと考えるほどに、草原はどこまでも広がっていた。
いつの間にか、王子の隣に少年がいた。

見知らぬ少年とは思えぬほど、王子は少年とよく話した。
互いの身の上のことから、夢中になって話した。
気がつけば王子は平民のその少年になりたいと思っていた。
『 』
何かが壊れる音がして、王子は夢からさめた。
不安と憂鬱な戴冠式の朝だ。
王子は、不安を押し殺し、戴冠式が行われる教会へと。

教会へと向かう馬上から、この日のための群衆が王子の目にどう映っただろうか。
「やぁ、兄弟!!」
不意に耳にした声。
王子は供をふりきって、群衆の中の少年と抱き合った。
夢で語り尽くした二人は、何をすべきかわかっていた。
そして彼らは身分を交換し、すべては普通におさまりました。



■にぽっくめいきんぐ 物語士

「ミブンイレブン」は個人経営のコンビニ。
 制度が独特で、身分がなんと11にも分かれていました。
 偉い順に、発注役、性別ボタン士、年齢ボタン士、店長、品出し係、フライヤー係、古い本の抜き係です。これらセブンのミブンの上に、経営者一族の「四天王」が居ます。
草木も眠る丑三つ時。男の娘が客として来たからさぁ大変。
 店番は、とある兄弟。
「男女どっちなんだ……あばば」
 判別つかずに壊れる、性別ボタン士の兄。
「ええいままよ!」
 年齢ボタン士の弟が、身分不相応にも、レジの「男ボタン」と「女ボタン」を同時押ししてその場を切り抜けました。
変な事ばかりでは客がつかない真理は、筆者の作風と同じです。
 大手コンビニに身売りすることに。
 遠くの本社から、エリアマネージャーが来て言いました。
「身分が特殊だと混乱するね。正社とかバイトとかの分類で良いんじゃね?」
 そして彼らは身分を交換し、すべては普通におさまりました。



■板野かも 物語士

「容疑者に双子の【兄弟】が居ただと!?」
「そうです、警部。それならば全ての推理の前提が【壊れる】。【遠くの】街に居ながらにして被害者を殺害できたのは、同じ顔の人間が二人居たからだったんですよ!」
そこまで読んで私は【本】を投げ捨てた。何だこの下らないトリックは。もう【眠る】。
翌朝、私はあの下らない小説を書いた兄に言ってやった。「こんなことなら私が作家になった方がまだマシだな」。
「弟よ、実は俺もそう思っていたのだ」
つまり、それ以降、兄の名義で世に出た小説は全て私が書いたものなのだ。「そして彼らは身分を交換し、全ては普通に収まりました」という訳なのさ。



■拾捨 物語士

その国の皇子は、ウルトラ兄弟の中ではエースが好きだった。
だから、毎日「鍛錬」と称して奴隷と真剣で立ち合っては首を斬り落としていた。
この日引き出された奴隷の青年は生まれてから今までの記憶がない哀れな男で。
いま、心の壊れた皇子の手で不幸な生涯を閉じようとしている。
皇子の刃が奴隷の首に迫る――その時、彼の中に眠る「記憶(ちから)」が目覚めた。
「レッドファイト!」
豹変した青年は、謎の掛け声と共に皇子の剣を払い落した。
「レッドナイフ!」
それは、遠い星に実在する、赤い殺獣鬼の力。
皇子は奴隷の刃に貫かれ、絶命した。
「勝者――皇子!」
主を目の前で殺されたにも関わらず、従者は予め準備された『本(ブック)』通りに決着を告げた。
そして、彼らは――死した皇子と殺した奴隷は――身分を交換し、すべては普通におさまった。



■板野かも 物語士

私にはただ一人の兄弟がいた。でも壊れてしまったわ。与えられたワードを短い文字数の本の中に詰め込む闇の遊戯に魅入られて。私がこんな遠くの街に来たのは兄の復讐のためよ。兄を殺した貴方を、兄の代わりに眠らせて、私が書くの。「そして彼らは身分を交換し、全ては普通に収まりました」――ってね。



■ヤミヲミルメ 物語士

地球には兄弟と呼べるほどそっくりな星があります。
でもその星には生命が存在しません。
その星は太陽よりもずっと遠くの宇宙に浮かんでいるからです。
二つの星は眠るたびに、夢の中で逢って話をしていました。
ある日、地球が言いました。
「何もかも放り出してどこかへ行きたい」
兄弟星は言いました。
「僕は世界を創って自分に乗っけてみたい」
「どんな世界を創るつもり?」
「異世界転生モノの本を参考にする」
地球の兄弟星の名前はトラックといいます。
トラックが祈ると、トラックの軌道がぶっ壊れて、地球に衝突してビリヤードのように地球を弾き飛ばしました。
そしてすべての地球生物は絶滅しました。
「僕の上に住んでいた生命は、全部トラック君の上に転生させるね」
「全員にチート能力を持たせるよ。あれ? でもこれじゃオレTUEEにはならないのかな?」
そして彼らは身分を交換し、すべては普通におさまりました。



■板野かも 物語士

秋葉原なんちゃらの【姉妹】グループ、なんとか坂のエースに15歳で抜擢されたユリナちゃん。彼女は歌のパフォーマンス中に【壊れる】演技を強制されすぎて本当に精神を病んでしまいました。最初は【本】(ホン)の通りに奇行を演じていただけでしたが、15歳にそのストレスは耐え切れなかったのです。
「随分と【遠くの】世界に来てしまったなぁ」……紅白出演後の楽屋でユリナちゃんは溜息をつきます。そこへ「センターが辛いなら代わってあげようか?」とナガハマ何某の声。「これでゆっくり【眠る】ことができるかな……」「ねるだけにね」。分かる人だけ分かればよろしい。
そして彼(女)らは身分を交換し、全ては普通におさまりました。なんとか坂の新センター、ナガハマねるの誕生です。

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