「若いうちは自由に生きて、40歳を過ぎたら社会に還元する。そういう1つの生き方が、クレイジージャーニーで紹介されていたよ」
「……だから?」
「だからって、俺がなぜ小説を書いているのか? その理由がそこにはあったんだ」
「へー。で、あなたは小説を通して、いったい何を社会に還元しているの?」
「そんなのいっぱいあるじゃないか」
「たとえば?」
「笑いとか……」
「…………」
「ギャグとか……」
「…………」
「パロディとか……」
「って、全部ジャンルが一緒! しかも、あなたが提供してるのは『失笑』『寒さ』『鳥肌』よ! 還元どころか迷惑+介護を強要してる! あなたの歳なら、他にもっと還元すべきものがあるでしょ?」
「いや、俺がどんな形で小説を提供しようと、その受け止め方は受け手次第。俺の意図せぬところで思いもよらない発見があって、結果としてそれが社会の役に立つこともあるんじゃないかと――」
「って、他人任せ!? 意図して! あなたがそれを自らの意志で主導しなさい!」
「いや、でもさ。何か今の時代って、押しつける感じを敬遠しがちじゃん? もっとこう緩くてフリーな感じが――」
「あなたが1番、緩くてフリーでしょうっ!」
「…………」
「ちゃっかりそこだけ取り入れて、若者ぶらないで! 私はこれを懸念していたの! あなたを自由にして、近況ノートがめちゃくちゃになるのを警戒してたのよ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「……?」
(どうしたのかしら? さっきから私の言葉に何の反応も返して来ない。それにうっすらと浮かべる怪しげな笑み。ナーバスを突き抜けて少しおかしくなった?
いいえ、それはないわ。だって、この人は最初からおかしかったから。おかしいどころか変人だったから。だとしたら、何? これはいったい何を示唆しているの? 次回予告をまた天丼するようなオチなら少し寒い。でも、この感覚はおそらく違う。もっと大きくて、もっとまがまがしい何か……まさか!? 近況ノートではなく、次話投稿分の予告をここでしているの!?
そういえば、直前に投稿された『嵐の前』というエピソード名が、既に何かを暗示していた。それに続く話がいったいどんなものになるのか。予断を許さないわね)