こちらはTwitterアカウント @Abikawa9ma で2018/09/01に垂れ流していた、『自作語りで興味を惹こうキャンペーン』をざっくりまとめたものです。
『稲妻マネージャーと悠然ノベリストガール( https://kakuyomu.jp/works/1177354054886331507 )』の軽微なネタバレを含む語りとなっているので、その辺りを踏まえてご笑覧ください。














◆『序:5月13日、午後5時42分、運命の相手』
作品の始まりです。
今回、いわゆる所の作家モノ(物書きを題材にした物語)を考えるにあたって一番最初に決めたのは『プロ級はやめよう』ということでした。その第一の理由は、私の知る限り作家モノがみんなプロ級の腕前を持つ人間をメインに置いているからです。

ま、正直この辺は全然勉強不足なので、プロ未満級を取り扱ってで面白い作品とかいくらでもあると思うんですけど! 少なくとも私の知る範囲ではそうだったので、逆行しました。
第二の理由はこのエピソードで書いてある通り。『ベストセラーなら面白い』は違うと私が信じているからです。

小説の主体は読者です。文章というのは表現技法としてあんまりに貧弱で、どうしても読者に依存せずにはいられません。だから恐らく他の媒体よりもことさらに、『面白いと感じる作品』は個人個人で異なると思います。だから作家モノで取り上げるメインキャラクターも、まあプロである必要はないよな、と

この作品の序文は短いですが、そういう私の思想が詰まっています。もっと言えばこれは『全体のため』ではなく『個人のため』という、作品を通したテーマにもなっている訳です。AIとかその辺の深掘りを期待した方にはごめんなさい!


◆『1st process / 母校に恥を飾る』
プロセス内容は『作品を見つけ、知り合い、連絡手段を確立する』。何よりまずそこから始めなければ。

主要人物四名はここで全員出揃います(一人、緑岡だけは顔出し程度になりますが)。どいつもこいつも結構分かりやすいキャラで、今後も『ああ、そういう面があるんだな』という発見こそあれど、第一印象は可能な限り裏切らないよう意識しました。今回はね、基本平穏なストーリーなので……流血もないし

この章で出た(出した)単語で気に入っているのは信念(オリジナリティ)です。登場人物の発言・思考と私の思想は必ずしも一致しませんが、私が『オリジナリティはどこから来るのだろうか……』と考えた時に思いついたのが、信念の二文字だったのは間違いないです。

ところで、結局ここ『なんで稲妻(人名)が母校の文化祭にやってきたのか』は紙幅がなかったため触れられてないままなんですよね。文芸部部誌を手に取ったのは本人の趣味でも、それが目的ではないので……決めてはいるんですけど、折角なので空白にしておきます。


◆『2nd process / 進捗どうですか?』
進捗……どうですか? 恐怖の言葉としておなじみですが、これが恐怖の言葉になってしまうような進捗スタイルにこそ問題があるのでは?(突然の正論)

この話の中で主人公が自分の職業として語っているPMO(進捗管理)ですが、まあわかりやすく作者の私自身もこれで給料を貰って日々を生きています。彼ほど有能でもないですし成果を出している訳でもないですが、割とマジで(これ自分らいなかったら誰か死ぬのでは……?)と思うことはあります。

そもそも作家モノ(作家を題材にした小説)を書こうとしたキッカケが、このTwitterのTL上で締め切りに苦しんでいるプロの作家を見ていたからなんですよね。締め切りに苦しんでるけど私が仕事みたいに管理すれば苦しまず計画的に終わるのかな……?というのが着想の発端でありました。

いや実際、書きながら「うわあこうして欲しい~」「こういうときそういうことして欲しい~」と思いながら書いているフシはありましたね……理想の女の子をヒロインにするのではなく、理想のマネージャーを主人公にしたのが本作だという所はまったく否めません。私のこともマネジメントしてくれ!

あ、ちなみにプロセス内容は『製作者の進捗を把握し、管理できるようにする』です。これちゃんと毎話、『小説を書かせるプロセス』の一部になってるんですよ、全部! まあ全部読めば小説書けるようになるなんて保証は全然ないけど……面白いのは間違いない!


◆『3rd process / 焙香に甘く溶けるのは』
プロセス内容は『作業方法を決定する』です。小説をスケジュール通りに書く方法ですよ。必見! なお私はスケジュール通り書けていません。

今回はあんまり作品内容に触れず、キャラクターの紹介をしていこうと思います。第一回は『弓張侑実』! 名前にゆみが二つある彼女ですが、その性質は弓というよりナイフに近いですね。物語を前進させる強いエネルギーを持ち、メリハリをつけることのできる力強さがあります。

ツンデレっぽい性格ですが、その先にデレはあまりありません。彼女の根底には成人男性への嫌悪感・警戒心があります。だから彼女が苦手とするのは(たとえば文化祭の時に現れた警備員のような)『間違いなく味方の成人男性』で、稲妻のように怪しい相手にはむしろ等身大に振る舞えます。

そんなスタート地点から築き上げた信用は、むしろ他人とのそれに比べて強固なものとなっているでしょう。実は他にも稲妻に対してデレる要素(設定)は結構仕込んであり、ボタンを掛け違えていたら稲妻と弓張が付き合っていたという未来は十二分に存在しています。

なんだか話が逸れましたが、ifのないこの物語において、弓張侑実という少女はどんな風に稲妻を警戒し、突き刺し、タカり、見直し、タカり、励まし、タカるのか! ぜひご確認ください。時代が時代なら絶対あの細い長いツインテールだったんだよなー!


◆『4th process / 「2ピース」』
プロセス内容は『相手の意欲に合わせた、作品へのフィードバックを行う』です。批評・論評は相手のためにするもの。相手の表情を見ることを忘れずに!

今回もあんまり作品内容に触れず、キャラクターの紹介をしていこうと思います。第二回は『稲妻光』! それなりにデキる26歳男性です。高校・大学と文芸部/文芸サークルに所属しており、プロになるとかそういう考えは微塵もないにせよ、創作に対しては色々と思う所があります。

彼の来歴は結構細かく設定しています。就活では研修万全を謳うIT企業の開発職として採用され、しかし出社初日に『名前にインパクトがある』という理由で営業に転属、性に合わない業務で心を削り減らし死ぬか辞めるかの瀬戸際に追い詰められた所、自分を採用した人事に開発の進捗管理へ回されたという経緯があります。

もちろんそれまでの間に同期たちは研修を終えているので自分は研修を受けられませんでしたし、だからこそ技術がなくてもギリギリついていける進捗管理に回されたのですが、ここで稲妻は奮起して、研修を受けた同期に負けず劣らずの知識を独学で取得。一度は開発現場も経験した上で、自分の意志で進捗管理に戻りました。

そんな経緯を踏んだ稲妻は、人間の弱さも強さも身をもって理解しています。強くあるには自らの意志が必要で、それを失えば弱くなる。弱った人間に負荷をかければ、折れてしまう――そういうことを理解した男です。そんな彼は、女子高生の物書きに小説を書かせるべく、どう望む?


◆『5th process / 作家は歌う』
プロセス内容は『成果に報酬を与え、次に繋げる』です。客観的価値は問わず、ただ相手が受け取って嬉しい報酬を与えるべし。もちろん相手を見て!

今回もあんまり作品内容に触れず、キャラクターの紹介をしていこうと思います。第三回は『江風つくし』! 押しも押されぬメインヒロイン女子高生16歳。後天的に唯一無二の感覚野を開いた彼女の書き出す文体は、読む者を否応なく彼女の情景に引き込む。その魔才で稲妻の心を貫きました。

もともと小説を書くことも代替行為でしかなかった訳ですが、次第に彼女は本気になっていった――というより、生来の『熱』をそこに託せるようになった訳ですね。大人しく控えめに見えて、その意志は非常に強い。その強さが発露する4-2全体と7-1ラストは、私の渾身の一筆です。是非……!

彼女の来歴については作中でかなり触れられているのでノータッチ。敢えて付け加えるなら『SOUL CATCHER(S)』を読め、ですかね……少なくともSOUL CATCHER(S)がなければ彼女は生まれませんでした。あ、SOUL CATHER(S)の前にこちらの作品をよろしくお願いします!


◆『6th process / 視線』
『相互の適切な距離を検討する』です。友達のように仲良くすれば上手く行くケースもあるし、適度に離れていた方が良いこともある!

作品内容に触れず、キャラクターの紹介をする最終回、『緑岡柚子子』! 奇妙な名前は、姓名判断占いで『緑岡柚子』が最悪だったため、子を一個付け足したという設定があります。結構重要な役回りなんですけど、実は書き始めた当初のプロットには存在してませんでした。

ただ警備員と顧問を第一話で出した段で「あ、この顧問はキャラにした方が何かと便利そうだな……」と直感したので、しっかりキャラ立てしたのが緑岡です。その結果は……この6thをご覧になっての通り。彼女ももはや、この物語になくてはならない存在です。

しかしまあ、悪人ではないのに作中で都合よく損を背負わされた感があったのでちょっと申し訳ない気もしたり。将来苦労するだろうなあ……


◆『7th process / 今の、今だけの情熱』
プロセス内容は『同じ意志を持つ』。それがどれほど困難な道だとしても、意志を同じくする二人であれば、必ず目的とする所へ到達することができる。小説だって? 書けますとも!

……正直、私はこの作品で読者の皆さんを裏切ったんじゃないか、という思いがあります。だって作家モノなのに、最後の展開は小説、全然関係ないですもんね。いつの間にか扱う題材が変わってしまっている。これが小説でなくても、成り立つような話になってしまっている。

プロット段階からその危惧はあったんですが、結局私が書きたかったので、私はこれを書きました。そして最後の展開を書いている内に、ようやく気付いたのです。たとえ扱っている題材が小説でなくなったとしても、この作品には確かに一つ筋が通っていると。

結局のところ、テーマは『情熱』です。情熱の前と後、と言っても良い。情熱なきものと、情熱を持つもの。大人と、子供。AIと、人間。これは多分、一番最初、『読者が求めているのは、「ベストセラー」なんかじゃない』と私が書いた瞬間に決まっていたことなのでしょう。

生きるために仕事をしている私ではなく、大した実利もなく小説を書く私という人間が、情熱に駆られた不合理で非効率な選択の結実、ただ書きたいと思って書いたものが、この小説です。読んでいただきたい。すべての、特別で、特別でないあなたたちに。