今、自分が主宰している読書会用の本として澁澤龍彦の「高丘親王航海記」を読んでいる。
寝る前にコツコツ読んでみると、やはり言うまでもなく名作中の名作で、未読の人は買ってでも読むべきと断言したいレベルで面白い。
87年の本なので、かれこれ30年も経つ本なのに少しも古びていない。
で、自作で一年ほど前に「コロンブスの帰還」というふざけたショートショートを書いていて、その途中、面倒くさいので、
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数年がかりで太平洋を漂流し、原稿用紙換算で七千五百枚分もの悲惨な過程を経て、コロンブスを乗せた船は命からがら、やっと三角海域まで戻ってきた。
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などと省略的な表現を入れている。この「原稿用紙換算で七千五百枚分もの悲惨な過程」とは何であるのか、どのようなエピソードがあったのかを埋めるようにポツポツ書いていけば、それは立派な「コロンブス航海記」になりそうである。これは結末を考えなくてよいので楽といえば楽で、気が楽でいい。
考えてみると「ナルニア国シリーズ」も航海するエピソードが一番好きだし、いくら空想的でふざけたことを書いてもOKなので、自分に向いているかもしれない。