KADOKAWAの決算資料はもうご覧になっただろうか?
出版・IP創出事業の営業利益が半減し、アニメや実写などの映像事業は赤字転落。ゲーム事業も減収減益。挙げ句の果てには、早期退職まで募ったそうだ。
これを受け、KADOKAWAはある方針転換を打ち出した。カクヨムユーザーにとっても重要な変更なので、まだ読んでいない方は一度目を通されるといいだろう。
読むのが面倒だという方のために、以下に注目ポイントを抜粋しておく。
まず、資料の現状認識という項目において、収益悪化の要因のひとつが次のように明記されている。
【既存の勝ちパターンへの過度な依存】
・なろう・異世界系などへの偏重
→市場飽和の状態となり収益性が悪化
・多様性の深化が不足し企画が類型化
→斬新な企画や新ジャンルへの挑戦が減少
これに対し、KADOKAWAは次のような策を講じると明言している。
【多種多様な作品の創出】
• ジャンル戦略の再構築と作品開発力の強化
• 企画提案・精査の強化、決裁基準の見直しによるヒット率向上とコンスタントなヒット作の創出
【選択と集中によるヒット作創出】
• より作品のクオリティを重視できる組織に再編成。ジャンル別戦略を徹底し、スピード感のある意思決定と実行力を備えた組織へと進化
• 分散していた宣伝・販促を見直し、戦略タイトルに集中的に投下することで、ヒットの最速化と最大化を図る
• 不採算事業の整理を断行
おわかりだろうか? 端的に言えば「これまでのなろう系偏重を改め、クオリティ重視の路線に変更する」という話である。
小説に欠かせない文章表現を二の次とし、メジャーな水準には不可欠な独自性を捨て去ってきた類似品大量消費の象徴たるなろう系が、ようやく淘汰される見込みが出てきたわけだ。
小説界隈の「失われた20年」とでも言うべきなろう系の台頭が終焉を迎え、ついに小説は本来あるべき媒体としての価値を取り戻すことになる。
重要なのは、文字媒体ゆえに必要不可欠な「文章表現」をきちんと再認識し、物語が多様化した時代に適合した「独自性」を打ち出すこと。さらには、これまでのように人口の0.1%にも満たないラノベマニア層だけに媚びず、残りの99.9%にも興味を示してもらえるような「メジャー水準のエンタメ性」に目を向ける努力が絶対条件と言えるだろう。
そのためには組織的・内部的な改革のみならず、対外的なアピールが必要不可欠。例えば、なろう系の代名詞であるラノベという呼び名を捨て、ポストラノベの旗印となる新たな名称を前面に押し出す。
それが難しければ、せめてなろう系を軸にしたジャンル名称を変更したり、投稿サイトの欠陥まみれで時代遅れな評価システムを変えるくらいのことは最低限やるべきだ。でなければ、口先だけと世間から失笑を買うことになる。
特に評価システムの改善については、クオリティ重視へと舵を切るために避けては通れない部分。「書き手同士の忖度」や「グレーゾーンの相互評価の呼び掛け企画」など無意味な評価稼ぎが横行する今の仕組みを、公正かつ公平なものに変える。とはいえ人の見る目は簡単には育たないわけで、スピード感を持って改革に取り組むにはひとまず「AI評価」を活用すべきだろう。
具体的には、AIを用いて「文章力」・「独自性」・「エンタメ性」の三要素を数値化し、総じて評価ポイントとする。ユーザー同士の交流を維持するためにコメントやレビュー機能を残すのは構わないが、それらを評価には結びつけない。そうすれば、今のような忖度評価や相互評価を排除できるはずだ。
長々と述べてきたが、残念ながら今のところ具体的な変化は感じられないというのが素直な感想。もし自分が部門のトップなら、決算発表に合わせて大々的な具体策を実行し、内外に本気度をアピールする。資料内で述べた改革意欲が本物だと言うなら、もっとビジネス感覚を駆使して張り切ってほしいものだ。有名な一流企業にしては、やや実行力やスキルが伴っていないのではないかと思わず疑いの目を向けてしまう。物言う株主による経営者の解任要求も出ているらしく、この先どうなることやら。
とにもかくにも、この企画では「KADOKAWA、なろう系やめるってよ」と題して「新たな小説の門出に相応しい作品」を募集する。読み合いではないので、読む読まないは各自の自由。物語であればジャンルは問わないが、なろう系の参加はご遠慮願う。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「KADOKAWA、なろう系やめるってよ」を選択してください。
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