「眺めた」を含む小説

５限が終わる５分前の午後２時４５分。階段の踊り場に光が美しく差し込むのを、古びた校舎の幽霊である『私』はいつも眺めている。だけどあと数ヵ月後には、この校舎は取り壊されてしまうのだ…

世の中には自分ではどうにもならない変えられないものがある、それは自分の出生だ。 人によって自分の出生や肉親を誇ったり貶したり隠したりするだろう。 生き方として、そこから目を背ける…

　死神ヒュプノスのティコは全ての任を終え、死を迎えるのみだった。 　しかし『休暇を消化しなければ他の死神に示しがつかない』とホムンクルスのパンドラに極東の南端の島へ送られる。 　…

鎮守の山の神が消えるとき 鬼との邂逅　変わりゆく人の言葉に 心揺れる山神　五十鈴（いすず）の物語 * * * 　月夜の空を、薄い雲が幾つも流れていく。黄身色の光は温かく、山…

私は喫茶店で小説を綴りながら、先日出したばかりの自分の最新作の本を見て、ほくほく顔で微笑んでいた。自分が出した本を眺めていると、嬉しくて何度も原稿用紙に走らせるペンを止めてしまう…

僕は久しぶりの休日に、美術館へと足を運んだ。それは穏やかな川の流れを見つめているような、ひっそりとした時間だった。僕は考え事をしながらゆっくりと絵を順番に眺めていき、そっと建物か…

怪人と呼ばれる存在が日本に出現してから10年の月日が流れ、当時は都市伝説に過ぎなかったそれらも今となっては「社会問題」と化していた。 突如、街中に現れる「怪人」。 拉致され、改…

クリスマスの夜、『私』は廃ビルから街を眺めていた。 時刻は深夜二時。憂鬱な感情を抱えつつ、『私』は恋人に送った手紙を思い出す――。 愛と哀れみと執着について。 書簡体小説（手紙…

　先輩と僕しかいない美術部の部室。他の部員は全員幽霊部員だ。 　この一年、僕は一切絵を描かなかった。そもそも、絵の心得なんてこれっぽっちもない。 　そんな僕がどうして美術部に入部…

惑わされた者は誰かを惑わせ、盗まれた者はまた誰かから盗む。“原初の声”をめぐり“言葉”を探す十色の人間たち。彼らはやがて《闇》との駆け引きに取り込まれていく。僅かな光を掲げながら…

不器用でまっすぐな男の子と、ちょっとぼんやりの先輩の女の子。 いろいろ可愛い二人のお話、４回目を。 ちょっと眺めてみましょうか。 シリーズ過去作を読んでおきますと、少し味わ…

　独身でアラサーのＯＬ、神田美和。彼女は年末進行で日々残業をこなし、毎晩くたくたになっていた。そんな美和を癒やしてくれるのは帰り道で見上げる星空くらい。 　最近よく流れ星を目に…

ブログ「小書会 presents "ライタホリック"」で不定期で公開しているショートショート作品をまとめています。 ここにはめっちゃ少ないですけどローカル線がテーマのやつ乗っけて…

　だいぶ前にけものフレンズが終ったときに、書いた短編。 2人が好き好きしてるだけで、満足……。

ボクの名前はルイ。彗星に乗って、いろいろな世界を旅してるんだよ。 今日は君の空にやってくるかもしれないよ。 じっと空を眺めていたら、ちらっとボクと彗星の姿を見るかもしれないね。

　ミュージック・ビデオについて書く。 　書くにあたって、いくつかのルールを定めた。 　１．ビデオ自体を原稿中に埋め込まない。 　２．各話タイトルの書法は、〈原稿タイトル――ミュ…

自主企画「１シーンから連想して物語を書く」コンテストを受けて書いた小説。 至って普通のおじさんの習慣、知らない駅で降りて知らない街を散策中のおじさんが出会った不思議な寸劇。おじさ…

自主企画『必ずよまれるリレー小説！』の５話目です。短め。 ストーリーなどの修正の要望は受け付けます。誰か修正の要望出してください。 第1話 https://kakuyomu.…

『もう、幕は引いたというのに。困ったお客様だ。それでも席を離れない？　……演目の無い舞台を眺め続けられるのも心苦しい。ですからどうか、お立ちになって。……少しだけ裏側へご案内いた…

　学校の裏山に重機が入っていく。あの山は木を倒され、土を崩されて、住宅街になるのだという。六年生になったぼくは、教室の窓からそれを眺めていた。 　真冬の山道、プレハブ小屋、セーラ…