「短編 円城塔賞」を含む小説

　ときに西暦１８５３年、江戸湾に黒船が来航したが、征夷大将軍徳川家定は余裕綽々としていた。江戸城に幕閣を集め、「大和に迎撃させよ！」と命令した。 　アメリカ合衆国のペリー提督が…

三田さん。 フルネームを三田　聖(みた　ひじり)と言う。この名前から三田さんは『サンタさん』とか『セイント・サンタさん』と呼ばれいつの間にかクリスマスと言うものが嫌いになっていっ…

物理的距離がいくら近づいても二人は永遠に交わることはない。そんな二人の物語です。

理不尽だと口に出す事も許されない。そんな時代にもし生まれていたら。 戦時下での不幸は、その人その人誰もがあった事だと思います。同じ目にあった事のない私が、それを簡単に想像する事…

確かに『見ているだけの簡単なお仕事』だった。 ただ、見ているだけの。 ※小説家になろう、エブリスタにも掲載しております。

真夏の暑さと退屈な仕事に日々忙殺されている男は、ある日自宅のアパートの玄関で一足の靴を見つける。 なんの変哲もないただの靴。しかしそれはそこにあるはずのない、あってはいけない靴だ…

施設に入所中の父親が繰り返しミズキという名前を話すから、覚えてしまった。そのミズキという名前が、父親のタンスの奥に挟まる手紙。その差出人の名前だった。彼がボケる前にミズキという人…

友だちはみんな、あの先輩がかっこいいとかクラスの男子が気になるとか言っているけれど、私にとっては恋愛なんてお話の中の出来事としか思えない。私にもわかるときが来るのかな？ ※小説…

バスを待ちながら話す男女の話です。

溶けてしまいそうな熱さの中、大雨が降った。 そして、周りが賑やかになった。 ※小説家になろう、エブリスタにも掲載しております。

何者かに撃たれ、瀕死の主人公の前に謎の女が現れる。過去を変えれば死の運命を回避できるという女。半信半疑でその言葉に従った主人公は、目覚めるとその日の朝に戻っていた。果たして、死の…

　ピアニストの登竜門 「全国学生ピアニストコンクール」で二次予選敗退し、ピアニストになる夢を断念した、木崎真音（きざき まお）は、葉山楽器（はやまがっき）でピアノ講師として勤務し…

古代中国、春秋時代の魯国に麒麟を獲たという者が現れた。その者は君主哀公たちに麒麟の毛から紡いだ糸を献上して、こう言う。「真の君主、真の忠臣のみがこの糸を視ることができます。どうか…

宇宙船のパイロットをしている男は悩んでいた。 宇宙船の中が臭いのだ。 原因を探る男は一つの結論に辿り着く。どうやら臭いのは昨日乗せた異星人、「クッサ星人」のようだ。

「あたしはいつまでここにいればいいの？　もう、どこも悪くないのに！　体だって普通に動くのに！　歩けるのに！　なのに、どうして外に出ちゃ行けないの!?」 少女は言う。 けれど、彼女…

病は寿命というけれど、実際のところ、寿命よりも抗えるのだし、最期まで足掻いてみるのも一つの手でしょう。

三人の少女が、かつて一世を風靡したという禁断の味噌ラーメン「めそきん」を作るお話です。