「実体」を含む小説

別れた人は未来を考えてさえいた相手だったけれど、それが何の担保になるわけでもなかった。 女二十九歳。仕事にも困ってない。結婚って、恋人ってなんだろう。そういうものをぼんやりと考え…

　舞台は技術革新により、人類が地球から月へと生活の場を拡げ、それなりの年月が経過した時代。 　世間では『星霊(しょうれい)』と呼ばれる『星に宿る霊的存在』が、徐々に認知され始め…

記憶を失い、宝剣シュバルツに封印されてた悪魔。 協力関係であった国に攻め亡ぼされたアセント国の王子。 視点は悪魔側から始まり、豊かな国の描写から現在の王国を語る。 悪魔は地下の宝…

演算速度の飛躍的な向上によって文字空間での『語る主体』が力任せに実現可能となった未来。SNSには実体を持たない電子的ゾンビが溢れかえり、インターネットは白けた場所になっていた。 …

　二〇一〇年、Ｐ．Ｔ．Ａ．（サイキック・タクティクス・アソシエイツ）一期生である本郷恵は『麻薬密売組織ファンシャン』解体の任務を担っていた。二年に及ぶ長い諜報活動と潜入捜査ののち…