第7回富士見ノベル大賞 最終選考結果

2024年6月8日より発生しているKADOKAWAグループ各ウェブサイトでのシステム障害のため、第7回富士見ノベル大賞の最終選考結果は、カクヨムでの仮公開とさせていただきます。

ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申し上げます。

大賞

該当作なし


入選

男装姫は、鬼の頭領の執着愛に気づかない

日部 星花


日々に疲れたので、パンダと京町家暮らしを、始めます

麦野 ほなみ


佳作

該当作なし


審査員特別賞

該当作なし


総評

第7回富士見ノベル大賞へのご応募をありがとうございました。
応募総数297件にのぼるご応募をいただきましたこと、深く感謝を申し上げます。
今回もすべての作品について、1次選考から最終選考まで編集部員が拝読し、受賞作となる2作品を決定させていただきました。

今回の応募作から読み取れる全体の傾向として、“書き慣れている”と感じられる作品が多かったように思います。
それは書き手の皆様にL文庫というレーベルのイメージを知っていただけているということだったり、はたまた個々の作品を届けうる読者が見えているということであったりするものと思いますが、いずれの場合も“求められるものを書いていこうという意識がしっかりある”ということを示しているように思われました。
そこにある作品を読んでほしい・読ませたいという熱量の高さを、編集部としては嬉しく思うとともに、その選考には慎重を期して臨ませていただきました。

特に最終選考に残った作品たちは、題材の選択や文章力において、甲乙つけがたい素敵な作品ばかりでした。
そんな中で最終的に受賞の決め手となったのは、作品によって読者の情緒・読書体験をコントロールする力の高さであったと考えています。
端的には“演出力”と言い換えられるかもしれません。

入選作となった「男装姫は、鬼の頭領の執着愛に気づかない」は、人族と鬼族が争う舞台を背景に、宿敵同士だった主人公と敵国の頭領の関係性を軸として、共存への道を歩んでいくことになるヒストリカルファンタジーです。
敗北から始まる物語の導入のつかみ。物語を通じて見たかったと思わせる光景を堂々と出していくラスト。荒削りな部分はあっても細部を気にさせない展開の勢い・緩急。こういった演出において、スリリングな読書体験を得られた作品だったことが、受賞の決め手となりました。

もう一つの入選作である「日々に疲れたので、パンダと京町家暮らしを、始めます」は、会社を辞めて新天地での生活を始めた主人公の同居人がパンダ(喋る)だったというところから始まる、ファンタジーのある日常生活物語です。
突飛な設定ではあるものの、そうだったらいいなと思わせる題材の組み合わせがファンタジーとしての説得力を上げていること。また誰もが持つ悩みを一つずつ乗り越えていく展開の反復性が、心地よい読後感を体験させるものとして、受賞作に選出させていただきました。

総じて、今回選出した2作品は、読書満足度を満たす演出力において長じていました。
「導入のツカミ」「場面転換のヒキ」「展開のペース配分」「明確なオチ」
ストーリーをただ追うだけではなく、こういった演出を意識していただくことで、作品に読み続けたくなる吸引力や、最後まで読み切らせる勢いを生じさせると思います。
なお、今回の最終選考に残った5作品のうち、4作品が現代舞台の物語、さらに3作品が不思議要素のある現代ファンタジーでした。
応募作品として多くあった現代以外を舞台としたファンタジー作品をいかに読ませるかにおいても、上記の演出力の見直しはヒントになるのではないかと思います。
一次選考~二次選考突破を目指す皆さまの参考となれば幸いです。

現在募集中の第8回富士見ノベル大賞から、「カクヨム」を使ってのオープンな応募窓口が開かれました。
他方で、従来通りの応募フォームを用いたクローズドな投稿についても受け付けて、両立する予定だったのですが、弊社のシステム障害による復旧に時間を要しており、ご迷惑をおかけしますこと誠に申し訳ございません。
復旧次第改めてアナウンスはさせていただきますが、カクヨムにおける投稿は随時受付中ですので、ぜひともご活用いただけますと幸いです。

小説投稿サイトという、読者への意識がオープンとなる場を選考に導入することで、応募作品がどのような様相となっていくのか。
第8回もたくさんのすてきな作品に出会えることを楽しみにしています。

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一次選考・二次選考を含む、第7回富士見ノベル大賞の選考結果は、富士見L文庫のウェブサイト復旧後に改めて掲載いたします。 引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。