2026年6月15日に富士見L文庫より刊行された『黒医の公爵と死に戻りの聖女 その愛は運命の円環を解く』。
第8回富士見ノベル大賞で〈優秀賞〉を受賞した作品です。
本作の発売を記念して、著者の干野ワニさんにお話をうかがいました。
裏側を知ることで、いっそう作品が楽しめること間違いなしです。
最後には、富士見ノベル大賞の応募を考えている皆さんへのメッセージも!
作家デビューを目ざす方にとっても必見の内容となっておりますので、ぜひ最後までお楽しみください。

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――刊行される作品はどんなお話ですか。
聖女が国防の要を担っている国を舞台に、次期聖女候補の一人に選ばれた主人公ファウスティナが、聖女候補連続殺人事件の犯人として絶望の中で死ぬところから物語が始まります。
そこから女神の力で時が巻き戻り、悲劇を回避するために奔走するのですが、何度ループを繰り返してもなかなか上手くいきません。
とうとう最後の一回だと気づいたところで、訳アリの第一王子であるヒーローのフィデンツィオに助けを求めます。二人で協力して捜査することで真相へ迫ってゆき、ラストには全ての悲劇を覆してハッピーエンドを迎える――そんなゴシックミステリー要素のある恋愛ファンタジー作品となっています。
中盤ではハラハラする展開が続きますが、終盤で状況が一気に好転するカタルシスを、ぜひお楽しみいただけたらと思います!
――どんなきっかけで作品を思いつきましたか。
以前読んだ編集部へのインタビュー記事で、富士見L文庫さんの主要購買層がまさに自分と同じ世代だと知りまして。そのため「現在の流行で自分が好きな要素」に「過去の流行で自分が好きだった要素」を掛け合わせたら、読者の方にも刺さるのではないかと考えました。
そこで学生時代に周囲で流行った要素を考えてみると、少年探偵漫画が大人気だったな、と思い至りました。自分もその作品がきっかけでホームズやポワロをはじめとした推理小説を読んで大好きになったので、トリック作りに挑戦してみることにしました。
また、私はゴシック建築や声楽が好きなので、現在の流行からは大聖堂を話の舞台にできる「聖女」の要素を選びました。特に、殺人事件を扱いつつも結末は必ずハッピーエンドにしたかったので、聖女ならばラストの展開に説得力を持たせられるところもポイントでした。
――作品内のお気に入りのキャラクターとその理由を教えてください。
やはり主人公ファウスティナとヒーローのフィデンツィオの関係性がお気に入りなのですが、その他では真犯人が一番気に入っているキャラクターです。
実は初稿が完成した時点では、主人公を狙って罪を被せた動機はかなり単純なものでした。ただそれではラストの展開に説得力が薄い気がして、かなり時間をかけて動機を練り直しました。
その結果とてもお気に入りのキャラクターになったのですが、どんな動機かは、ぜひ書籍で確かめてみてください!

――富士見ノベル大賞に応募したきっかけを教えてください。
前述したインタビュー記事で富士見L文庫さんの来歴や主要購買層を知って、ファンタジア文庫と少女小説で育った大人である自分はターゲットど真ん中なのでは?と感じ、書店で棚を眺めて気になったタイトルをまず三冊買ってみました。その三冊がどれもすごく面白くて、夢中になって読みました。ならば自分の好きな話を書けば、L文庫読者の方にも届くんじゃないかな?と考えたのが、興味を持ったきっかけです。
ただ自分はWeb出身なので、レーベル新人賞はハードルが高く感じていました。そこで富士見L文庫さんも参加しているカクヨムコンに向けて書き始めたのですが、トリック作りに予想以上に時間がかかってしまいまして……。しかも全体的に初稿の完成度が低かったのでカクヨムコンへの応募を断念して改稿を続けていたところ、富士見ノベル大賞が第8回からカクヨム応募も可能になっていたと知りました。
それで今回のご縁をいただけたので、とても幸運だったと思います。
――応募が完了したときや受賞の連絡を受けたときのお気持ちを教えてください。
これまでいくつものコンテストで落選してきたので、次の希望がない状態で落ちると特に辛いのが身に染みて分かっていました。そのため応募が完了したときには、すでにL文庫さんがお題を提供している次のコンテストに向けた作品作りを始めていました。
テイストの違う作品を近い時期に応募することで、「こんなお話も書けますよ!」とアピールしたい下心もあったと思います。実際、編集者さんには次作も把握していただいていたようでした。
受賞の連絡については、過去の受賞者の方のインタビューから「受賞者には電話で連絡が来る」と思い込んでおりまして……。最終選考の確認をいただいた際に「選考結果はメールで知らせる」と伺った時点で、落選したんだと思って落ち込みました。
そこからようやく立ち直ってきたところに受賞の連絡をいただいたので、喜びよりも先に信じられない気持ちでした。一晩寝て翌朝もう一度メールが消えていないことを確認し、ようやく実感がわきました。
――改稿の過程や編集との打ち合わせの中で印象に残っていることはありますか。
応募時の原稿では、重要なターニングポイントなのにお話の都合でかなり強引に展開させている部分がありました。その違和感を誤魔化すために残機が見えるループというギミックを上手く取り入れたと思っていたのですが、編集者さんにはしっかりとバレていました。それも最終選考会では複数の方から同じ指摘が上がったようで、僭越ながらやはりプロなんだなと驚きました。
さらに指摘しっぱなしではなく、良い改稿方針の提案も同時にいただけました。その改稿で展開の強引さが抑えられた上に、さらにヒーローが活躍する場面も増やすことができて、とても勉強になりました。
実は改稿提案の中では、やろうとしたけど出来なかったことの伏線も、未回収だとばっちり指摘されていました。もったいないから活かした方がいいというお話でしたが、そこは正直に「考えたけど難しかった」と相談したところ、無理に追加せず伏線が投げっぱなしにならない程度に回収する方針になりました。
他にも改稿の際にはたくさん相談に乗っていただいたり褒めてくださったりして、担当編集者の方には本当に感謝しています。
――これからどんな作品を書いてみたいですか。
私は好きなジャンルが多いのでつい目移りしがちなのですが、それを活かして幅広く挑戦していきたいです!
そして一人でも多くの方にワクワクしてもらえたら、何より嬉しく思います。
――これから富士見ノベル大賞に応募しようとしている方へのメッセージをお願いいたします。
カクヨム応募ならタグを付けるだけなので、公募はハードルが高いと感じている方も、ぜひ応募してみてください。小説の受賞は、運とタイミングとめぐり合わせの部分がとても大きいと思います。でも応募しなければ、めぐり合うこともできません。
正直にいうと、「小説なんて書かなければ、こんなに悩むこともないのに……」と思うことも多々あります。書いているときの悩みは言わずもがなですが、発表した後に思うような評価を得られないという悩みも常についてくるためです。
それでも好きで書きたくなってしまうものはもう仕方がないので、とにかく気楽に「次のはもっと面白いからよろしく!」と考えるように心がけています。私もまだまだ未熟で日々反省することばかりですが、一緒にがんばりましょう!
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気になった方はぜひ書籍を手に取ってみてください!
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