魔獣を手なづけろ 02

「鞭、か。そういえばサーカスのライオンとか調教するのに使ってましたっけ?」

鞭を受け取り、皆に尋ねてみる。

「そうね、そういうイメージあるわよね」姐さんが頷く。

「そういえばぁ、体とかを叩いちゃだめじゃなかったかなぁ」

何かを思い出すような仕草をするポニテ姉さん。

「試しに、床を叩いてみるのはどうでしょう」そう提案するバリトンさん。


ダメ元で試しに鞭で床を叩いてみる。

 

ビシッ、ビシッ 思ったより大きな音が室内に響くな、これ。


魔獣が、こちらを向き「ガウッ」と戸惑ったような鳴き声を出す。


「ひゃ?!」姐さん、そんなにびっくりしなくても。


 ん? 巨躯な魔獣がブルブル震えてるように見えるな。


「あれぇ? 魔獣あの子ひょっとして怯えてるのかなぁ?」

「なんか、さっきと比べて大人しくなっている気がしますな」

「なんか、びっくりして損した気分」

「これでこのイベント、クリア出来れば楽勝なんだけどなぁ、どうなりますか」


本当に魔獣を手なづけるだけでいいのかな? なんか忘れてる気がするんだけど。


「ガルルルルッ」と、低い鳴き声が部屋に響く。


ん? 魔獣っていってもこいつ召喚獣だよな。 あ!


「バリトンさん、バリトンさん」

「どうした? 青年よ、顔が青いぞ」

「大変な事に気づきました」

「おトイレにでも行きたいの?」

「姐さんはだまってて!」

「むぅ、ひどい!」拗ねた顔もかわいいな。

「こいつってマッチョマンサモナーさんの召喚獣な訳ですよ」

「だから、どうし…… あ!」

「そういうことです。」

「ああ~!。 あのマッチョマンサモナーさんを探して彼と仲良くなれば即解決! なのねぇ」

「そうですけど…… ポニテ姉さん、その口調なんとかなりません?」

「これが私のぉ、インディヴィデュアルなのよぉ」

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