迷宮をクリアせよ 二層目 (3/10改稿)

「ほえぇぇ…… 二層目は森かぁ。 どれだけ広いんだ、ここ?」

 MAP的には、一層目と同じ正方形スクエアだと思うけど。 目の前には、青々と茂る葉が光を浴びて揺れ動いている。 太陽? なんて明るいんだ。 昼間みたいじゃないか。


明るい木々の間に道が開けている。 MAP画面を出してみると、取り敢えず一本道らしい。 相変わらず、グレーの部分があるから進んでみるしかないな。

時間は、っと 1:09:56 と見えた。


 そよそよとたなびく風が心地よい。 ここがダンジョン迷宮ってやっと実感が湧いてきた。 下の階は、見渡す限り全部石造りだった。 やっぱり夢なんだ、と思い始めている自分につい苦笑いする。


 ふと、前を見ると何かが近づいてくるようだ。 おっと、「ハインド隠れる」  これで様子見だな。


「グルルルル」 え? 魔狼ワーウルフ? でかいじゃん。 へぇ、サモナーの召喚モンスターだといい感じのタイプだな。 へっ、こっち来る?


「フンフンフン」 あれ、匂い嗅いでる? まさか?


あれ? 目があった? 「ガオンッ」


ハインド隠れるが効いてないみたいだな。 今より先に進みたいんだが。

そうなるとアイツの反対側に行くしかない。 

急に魔狼ワーウルフを飛び越してその先に行けるイメージが湧く。


 でかい奴に近づくなんて俺も気が変になったか?


 「グルルルル、ガウゥ」


 俺の姿は見えてはいないようだが、近づく気配は感じるのか俺の方を向いている。

対象を探して戸惑っているようにも見える。 これなら行けるか?


狼の手前まで全速で走ってつぶやいていた。 「ステルス隠密

そして、続けて「ハイジャンプ高跳び


狼を飛び越えて俺の体の3倍強の所に着地。 距離、約7メートルってとこか、を取ることが出来た。おいおい、素敵すぎるぜ、魔法さんよ。


魔狼ワーウルフはどうした? と振り返るとウロウロして俺を探しているようだが、匂いも感じないのかその場で威嚇している。 ここにいるだけ無駄、と俺は一本道を走りだしていた。


***


「被験者 No000125、第一ポイント通過しました」


「まさかのダブルスペルか」


「今までの被験者ではこの対応はなかったですね」


「RPG経験者とはいえ、ここまでの判断力と適応力は素晴らしい」


「竹刀を選択しているせいか戦闘回避しようというのが見て取れます。 信じられません」


「もういいだろう、試験は終了とする」


「え、まだ時間が残っていますが」


「おいおい、試験の趣旨を理解していないのか?」


「せっかくですし、この後どう対応するかも見てみたいんですが」


「やめておけ、被験者にはこれは夢だと信じさせる事を忘れるな」

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