乙女の“生き様”が波に揺蕩う

正直に言ってしまうと、キャラクターの自己主張が強いと感じてしまう小説を読むことはまずありません。

しかしながら、当該作は気が付けば一気に読み終えておりました。

それは、上に挙げた部分を一蹴してしまうほどに強い群像劇としての側面と戦記としての側面――――そして、それらを活かす躍動感が物語の中にあるからだと思います。
多数登場する海軍乙女たち個々の個性を、ただ語尾が特徴的だとかそんなレベルで終わらせず、“生き様”とも言える領域へ昇華している文章にただただ引き込まれていくこと必至です。
これに加え、観測者たる主人公も絶妙に読んでいる側の気持ちをくすぐってくれる。
最高のエンターテインメント小説を見せていただきました。

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