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目次
私はPoem
奇形の蠅を食べ損なった蛙の気持ち
夜天光がノイズにしかならないと知った時
さよならのリズムと愛するまばたきと新緑の透明さの相似
暁に生きる浮き世の永遠はおぞましい
からくりを聞けば苦悩と嫌悪がこだまする
ささやかな静寂に過ごすことで生を損なう
闘いが痴愚（ちぐ）とて尽きぬなら天に弔おう
涙の滲む温もりは熱病のような呪い
灰と日々の普遍性は変化せぬほころび
まだ見ぬ向こう側の明暗をもてあそぶ
落日の燐火（りんか）が瑠璃（るり）の霊感を朗詠する
安らかで揺るぎない喜びの湾曲線
尻尾を切ったつもりが愛に切り離されていました
嫉妬に克ったつもりで淫奔（いんぽん）を許していました
生糸（きいと）になったつもりであなたに沈みました
それは夢でしょうか／おそらくは
愛と呼ぶでしょうか／おそらくは
命はあるでしょうか／おそらくは
塵（ちり）になるのでしょうか／時と場合によっては
人が人を救うでしょうか／時と場合によっては
人が人を恋うことの功罪／少しだけ罪の方が重い
時と場合によっては
おそらくは
きっと
必ず
猫が横切っていった先には三日月型の十字路があって
そこでふと足を止めた猫は
月光が自分にだけ降り注いでいることを知る
ヒロインになるべきではない雑種は
けれど月光を恨むことしかできず
恨むにしたって
月光がなければ三日月型の十字路から先へ進めない
夜天光（やてんこう）だけではあまりにも心もとない
ああ私はノイズであったはずなのに
私の人生は私を脇役にしてはくれない
月光が眩しい
目をやられてしまう
ノイズでしかなく
三日月型の十字路で道を間違える段取りだったのに
こんなに明るくては
それすらかなわない
このまま月光を睨み続けて光を失わない限りは
ノイズのままにただよっていたかった
中途半端な素数でありたかった
そうやって生きてきたのに
私は私から逃げることができない
目を潰しても月を壊しても奇形の蠅を食べても淫奔を許しても
幸福な結末ではなく理不尽で不条理な三日月型の岐路
どちらへ向かったとしても
あなたはPoem
声を聞かせて欲しい
命であることからは逃げられない
人が人を救うことの功罪
生糸になったつもりで眠るのでしょうか
たとえ十字路は重ならなくても、もし聞こえているのなら
息を届けて
あなたであるがままに
人が人を想うことの功罪
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