銀河で一番ブラックな企業のSF社畜苦労譚

利益のためならばどんな違法行為でも平然とまかり通るのが主人公のセン・ペルが働く汎銀河企業体メロンスター社の実態だ。
自社製品の故障やシステムトラブルは当たり前、顧客からのクレームは大量の申請書類で煙に巻き、納税を巡って税務署と宇宙戦争を繰り広げる。

底辺社員であるセンが上司の命令に振り回され、毎度のごとく危機的状況に巻き込まれる姿が滑稽で不謹慎ながらも笑いがおさえきれない。
ブラック企業を越えたダークマター企業ぶりにドン引きだが、さらに宇宙規模でも常軌を逸した文化や風習が偏在する独特な世界観を構築していて、物語全体に星屑のごとく散りばめられたブラックユーモアの数々に腹筋が重力崩壊する。

社会人として働くということは理不尽というロケットに乗り込んで未知なる銀河へと旅立つようなものだ。
今春、新社会人になった方々に是非オススメしたい。
うち会社はまだマシだった!と職場と上司に感謝の念がわくことだろう。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=愛咲優詩)

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