これが、僕の、翼だ。

翼を持つ種族トゥトゥの少年エトゥリオルは、生まれつきの障害で空を飛ぶことができなかった。
彼は、遥か遠い地球からやってきたテラ人の飛行機を目にし、いつかあれに乗って空を飛びたいと夢見るようになる。

舞台となるマルゴ・トアフの風景、そこに暮らすトゥトゥの生態や文化、他の星から来たテラ人との交流や齟齬——そういった背景が一切の手抜かりなく緻密に描き込まれ、見たこともない架空の世界が鮮明に脳裏に浮かび上がりました。

トゥトゥとして健常であるか否かということや、トゥトゥでありながらテラ人の文化で生きるということ。主人公のエトゥリオルが抱える問題の本質は、現代社会の中にも存在するものであり、とてもリアルに感じました。
エトゥリオルの上司であるジンをはじめ、彼を取り巻く登場人物たちの心情も丁寧に描かれており、誰も彼もが非常に魅力的です。(個人的なお気に入りは、ちょっとひねくれ者のエイッティオ=ルル=ウィンニイです)

エトゥリオルがテスト機のパイロットとなり、初めて空を飛ぶシーンでは思わず涙が溢れ、その後のラストまでちょっと訳わからないくらい泣き続けながら読みました。
本当に素晴らしい物語でした。もうすごい。本当に素敵。感動しすぎて語彙力が低下し、この作品の魅力をうまくお伝えできないことをお許しください。

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