第15話 「中国人の生存本能」を使って、中国を分析してみよう。

 中国人は、「二つに割れると全滅する」と本能の部分で信じています。

 これは「外国から見て変なところ」である、「中国共産党」と「無くならないコピー商品」。それと中国の特徴である「広すぎる国土」と「多すぎる国民」から推測することができます。

 中国人が中国共産党に従っているのは、この「二つに割れると全滅する」という中国人の生存本能があるからです。

 実際に勢力が二つに割れた場合、中国では内戦になり、全滅する可能性が高いと、中国人の誰もが本能で知っています。

 二つに割れたら必ず内戦になるほど、中国の国土は広く、中国の国民は多いというのが、中国の特徴なのです。

 ですから、最初にやった者を認めるというのが、中国の生存戦略になります。

 分かりやすく変換すると、

「二つに割れたら全滅する」=「最初にやったもの、最初に勝った者を認める」=「やったもの勝ち」という風になります。

 すべて「二つに割れたら全滅する」の意味をとらえて、言い方を変えただけのものなので、意味は同じです。

 これで、中国人の不思議な行動や考え方のほとんどを説明できるはずです。

 では、この中国の生存本能が見えると、どんなことが分かるのか、実例を挙げて解説してみましょう。



「国民からみた中国共産党」

 中国人が中国共産党を認めているのは、「やったもの勝ち」と「二つに割れたら内戦になって全滅する」の生存本能が、中国人の中にあるからです。

 万が一、国内の勢力が二つに割れると、内戦になって自分たちが死ぬと、本気で思っているのです。

 これに対応して「政府が食わせてくれているうちは、中国人は政府に従う」という、中国人の我慢強さを表した分析があります。

 これを、先に挙げた「勢力が割れたら必ず内戦になって死ぬ」というものとあわせて考えるとさらに分かりやすくなります。

「政府に反抗する」ことは、「国内勢力が二つに割れて、内戦になってみんな死んでしまう」ことを意味する。

「政府に国民を食わせていく力がなくなる」ことは、「自分たちが飢え死にする」ことを意味する。

 つまり、「政府が食わせてくれているうちは政府に従う」という言葉の真の意味は、飢え死にするくらいなら、内戦で戦って死ぬ方がマシという意味です。

 飢え死にだと確実に死にますが、内戦だと今の政府を倒して生き残れる可能性はわずかにあります。

 中国人は現実問題に直面した場合、生存確率の高い方を選択するという話でもあります。


 だからといって、中国人が中国共産党や中国政府を信用しているのかというと違います。

 中国人は中国共産党や中国政府も、自分たちと同じ「やったもの勝ち」の生存本能で出来ていると、本能の部分で知っているので、まったく信用していません。

 自分たちと同じように、隙があれば誰かを騙して、得しようしていると信じています。

 つまり、中国共産党や中国政府を世界一信用していないのが、中国人ということになります。



「組織としての中国共産党」

 中国共産党は、党員八千万人の巨大な組織です。

 なぜこれほど巨大になったのかというと、これだけ巨大な組織でないと、十二億人もの「好き勝手にやる国民」を制御できないからです。

 そして、中国共産党というシステムも、かなりしっかりしているはずです。

 なぜなら、しっかりしていないと好き勝手にやる党員を制御できなくなるからです。

 つまり裏を返すと、これほどの巨大なシステムがないと、国民や党員全員が好き勝手なことをやって、国や党が制御できなるということを表しています。

 それくらい、中国国民の「やったもの勝ち」は制御不能ということです。

 その制御不能さが、裏返すと中国共産党を支える支柱になっているのですから、変な話ですね。


 あと、中国共産党に汚職していない党員なんていない、なんて話を聞きますが、「やったもの勝ち」の本能を持っているのが中国国民なのですから、当然汚職可能な立場にいる党員は、全員汚職に手を染めているはずです。

 また中国国民も、当然汚職可能な立場にいる党員は、全員汚職に手を染めていると思っています。

 国民や党員全員が盗賊や海賊、またはその予備軍と思っても、あまり間違いはないと思います。

 ただし、善悪の判断の前に行動してしまう人がほとんどでしょうから、全員が悪人というわけではありません。ただ、本能に素直に従うと、やってしまうというだけで。

 一方、善悪の判断をして、悪の道に走る本物の悪人もいますので、そこは注意が必要です。

 そして、悪人は好き勝手にする中国国民にも嫌われているはずです。


 中国共産党も中国の生存本能を持った存在ですから、当然「やったもの勝ち」の精神で出来ています。

 具体的に言うと、中国共産党は憲法や歴史や国際条約よりも上にあります。

 歴史の書き換えは、天安門事件で見ました。中国ではすでに、天安門事件は無かったこととして処理されています。

 事故列車を土に埋めたときのように、天安門事件を歴史から消したのです。

 こんなに簡単に歴史を修正できるのは、中国共産党が「やったもの勝ち」の生存本能を持ち、歴史よりも上に存在しているからです。

 同じように、国際条約を修正した場面も、我々は目にしました。

 あの2014年4月に起こった、中国当局による商船三井の鉄鉱石輸送船差し押さえ事件です。 

 あれは地方の裁判所が解釈を変えたのではなく、やったもの勝ちの精神で、国際条約そのものを勝手に修正したと見るべきです。

 なぜ差し押さえが止まったかというと、損が出たからです。

 差し押さえ行動によって、中国の日本企業すべてが震え、撤退行動を考え出したから。

 そこにいたって、ようやく中国政府が許容できる損害の範囲を、大幅に越えてしまった。

 だから、方針を百八十度変更して、差し押さえた鉄鉱石輸送船を解放せざるえなかったということです。


 つまりここで分かったことは、やったもの勝ちの中国共産党は「損で止まる」ということです。

 2014年に起こった香港反政府デモでも、中国側に大きな損が出ていれば、中国政府の排除行動は止まっていた可能性があります。ですが実際には、中国側は巧妙に損を回避し、行動しました。そして大きな損が出る前に、道路上のバリケード撤去することに成功しました。



「無くならないコピー商品」

 これは単純に「やったもの勝ち」の精神です。

 コピーされる側にしてみればたまったものではありませんが、「やったもの勝ち」は中国人の生存本能であり、生存本能は善悪の判断の前に来るものなので、中国人の大半は悪いことだと思っていない可能性があります。

 日本人の側から見ると、悪人だけがコピーすると思ってしまいがちですが、そうではないのだということを覚えておいてください。 



「中国人から見た日本製品」

 ほぼ百パーセントの確率で、商品に関して悪さをしない日本。そして高品質の商品が多い日本の商品は、中国から見ると、奇跡なのです。

 中国でも日本の商品は買えますが、それでも日本で買った方が価値が高いと中国人が思ってしまうのは、やはり一度でも中国人が間に入ってしまうと、「やったもの勝ち」で偽物にすり替えられてしまう可能性があるからです。

 つまり、中国人や中国製を一番信用していないのは、中国人でもあるわけです。

 それほど中国の商品に対する「やったもの勝ち」は、中国の社会に暗い影を落としています。



「中国の日常」

 やったもの勝ちの精神を持った人々の中で生きるというのは、盗賊の中で生きるくらい難しい行為です。

 やったもの勝ちの人たちは、基本的に集まると好き勝手に行動しますから、日本のような整列や秩序は生まれません。

 好き勝手と混乱の中で、好き勝手やる人々をなぎ倒して、自己の責任でたくましく生きるのが中国人の日常ということになります。



「中国人の生存本能を作動させない方法」

 中国人を海賊や盗賊にさせない方法は、隙を作らないことです。

 好き勝手に出来る隙がなければ、中国人の本能は発動しませんので、無防備状態よりはまだ安全です。



「中国に秩序が生まれないのは」

 生存本能が発揮される場面であればあるほど、人々は自分勝手になっていき、無秩序化していきます。

 つまり、我先にという状況であれば、整列できなくなり、ズルをしたくなるのです。

 勝つために、あるいは生き残るために中国人が獲得した生存本能ですから、そう簡単には変えることは出来ません。

 これが中国人の、社会性動物として習性なのです。



「尖閣諸島について、日本はどう対応すべきか?」

 尖閣諸島問題では、絶対に中国側を信じてはいけません。

 現在の担当者が、どんなに誠実でも、今の行われた約束や条約は、必ず次の時代の担当者に破られます。

 中国共産党は歴史や憲法や国際条約よりも上に存在しますし、中国人は「やったもの勝ち」によって、さも当然のように昔のことを無かったことにしますから。

 しかも、生存本能は善悪の判断の前に働くので、何の罪悪感もありません。

 この中国人の本性を見誤ると、いくら真剣にやっても、日本は大損してしまいます。

 目の前の担当者を信じても、後の担当者や上の者が無かったことに出来るので、何の意味もない、または約束を破られる日本側が、一方的に損をするだけということを、肝に銘じておいてください。


 中国と約束していいのは、「破られても損をしないこと」だけです。

 そして、中国に勝つためには、中国が損するものを前もって溜めておくべきです。

 それが勝つための、または中国を止めるための切り札になるはずです。


 具体的には、尖閣諸島の周辺を永久に平和にするから、紛争があることを認めろと中国に言われて、それに応じてしまうと、日本はあとで一方的に大損害を負うことになります。

 その後担当となった中国人は、中国に都合の悪い部分はさっさと忘れて、自分たちにとって都合のいい部分だけ肥大化させるでしょう。

 それが、中国の普通の対応なのです。



「中国マクドナルド、チキン加工問題」

 中国では、やったもの勝ちがあるので、任せてしまうのは危険です。

 隙があれば、いつでも手を抜きますし、ズルもします。それも「やったもの勝ち」で罪悪感もなく、自然に出来てしまいますので、かなりやっかいです。

 工場の中に入って、常に監視・監督しておかないと、自分勝手なことをいろいろと始めてしまうのが、一般的な中国人ということになります。



「中国の、周辺国への対応」

「二つに割れたら全滅する」という生存本能は、「征服しないと全滅する」と言い換えることができます。すべてを征服することで一つにし、内戦を終わらせるということです。

 周辺国に対しても、この中国人の生存本能は働きますから、中国人は周辺を侵略したくなります。

 なぜなら、他国と中国が国境によって分かれていることで、勢力が二つに割れている状態と認識できるからです。そして、勢力が二つに割れている状態は、常に内線と全滅を中国人にイメージさせます。

 だから、周辺諸国を侵略することが、生存本能による欲求でやめられないのです。

 また、侵略がない場所は、損得勘定から見て、行くと損する場所か、強すぎて侵略できない国のどちらかになります。



「損と得から見た、中国共産党の未来」

 全体として、まだ経済的な得が多いのが中国という国です。

 そして得が多ければ、国民の不満は少なくなります。

 ですが、いつかこの中国モデルは破綻し、損が得を上回る日が来るはずです。

 その時、損得勘定に厳しい中国国民の不満は、爆発します。

 当然、中国共産党内部にも多くの損を抱える者が現れ、共産党内部にもほころびが出てきます。

 好き勝手にやる国民を押さえつけていた、得という力が無くなることは、中国共産党体制の崩壊を意味します。

 つまり「中国は損で終わる」だろうというのが、今まで語ってきた中国人の本能から見える未来ということです。


 どんな損で中国共産党が終わるのか、終わったあとで何が起きるのかは分かりませんが、損と得が中国を語る上で重要なキーワードになるのは間違いありません。

 なにせ、好き勝手にやる人々の世界には、最終的に「これは、損か得か?」しか残りませんから。

 中国人は現実問題に直面した場合、より損の少ない方を選択するという話でもあります。

 やったもの勝ちの世界では、誰もが「損と得」に敏感にならざるえないのです。



「中国共産党は腐敗で滅びる」

 中国人の生存本能は「やったもの勝ち」なので、汚職できる立場にいる者は、どんどん汚職をします。

 つまり中国共産党に所属している人は、ほぼ全員と言っていいほど汚職していることになります。

 実際すでに、中国のトップにいる人達の汚職が報道されていますから、その下にいる者は全員汚職していると考えていいでしょう。

 汚職金額の大小は、単純に権力の大小に比例しているだけなので、自制心や正義とは関係ありません。



「中国人向けの透明な福袋」

 人を騙すのが当たり前だと思っている中国人にとって、買い物は細心の注意を払うべきことになります。

 つまり、売る側は常に買う側を騙そうとしているという理論です。

 残念ながら、「やったもの勝ち」の中国では、これは日常的にあることで、騙される方が悪いということが中国人の常識になっています。

 なので、「中身が見えない福袋」=「自分を騙そうとして、中身が見えないようにしているもの」と自動的に思ってしまうのです。だから、日本に来た中国人向けには、透明で中身の見える福袋が必要になるのです。

「私達は、あなたを騙そうとはしていませんよ」ということを、言葉ではなく、態度で明確に証明するために。

 透明な福袋は、やり過ぎではありません。

 中国人客に対しては、赤ちゃんに分かるくらいの明確さが、ちょうど良いくらい誠実さになるはずです。

 それくらい中国人は、中国の買い物で騙されているのだと理解してください。

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