シティ・ダイアリー

山ノ辺赤人

第1話 朝の香り

休日の朝、二度寝のまどろみ。

コーヒーの薫りとトーストに溶けるバターの風味が優しく起こしてくれる。

キッチンに立つ妻の後ろから、細い肩に手を置きながら「おはよう」と声をかけた。

妻は肩に乗った私の手に柔らかな頬をあてながら「お・は・よ・う」。

肩から離れた私の手の温もりを愛しむかの様に妻はハミングをはじめた。

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