実験的生命体

この白蛇、[蛇孔じゃこう]

目は鋭い三白眼で髪の毛は短い銀髪 、筋骨粒々の体つき、手に持った剣の他に腰に二本の剣を帯刀している。

[二刀流の蛇孔]という一騎当千の豪傑である。ちなみに過去にガーゴイル隊に所属していた。


蛇孔「ん?なんだ貴様?俺を知ってるのか?」

蛇孔はマカラを睨みつける。

マカラ「ガーゴイル隊って言えば、解らねぇか?」

蛇孔「(笑)なんだ貴様ガーゴイル隊か?そのわりには俺の記憶にねぇなぁ」

マカラ「ぐっ(。>д<)そ、そりゃあ遊歴に出されるぐらい、まだまだ俺は弱い下っぱだからな…」

蛇孔はマカラの剣を弾き、言う。

蛇孔「今回はここまでだ、退くぞ蛇句羅…」

蛇句羅「………!!ちっ(。>д<)」

蛇孔「寝てる蛇どもも、とっとと帰るぞ?」

マカラ「待て!蛇孔!去る前に質問に答えろ!」

蛇孔「あ?」

マカラ「何故ガーゴイル隊を裏切った?」

蛇孔「(笑)決まってんだろ、金以外にあるか?」

マカラ「金で簡単に仲間を裏切ったのか?」

蛇孔「…ハハハッ!(笑)仲間もなにも、俺達は傭兵だろ?金が全てじゃないのか?おまえも」

マカラ「………」

蛇孔「もういいだろ?通るぞ!邪魔すると死ぬぞ?(笑)」「ほら、いくぞ蛇句羅!」

蛇句羅はヤケ気味に言う。

蛇句羅「どこにいくんだ?帰れねぇだろ?城攻め失敗してんだし…」

蛇孔は小さく舌打ちした。

蛇孔「パスカルトにじゃねえよ……」


外へ出ようと窓へ向かう蛇孔達の前をパライソが塞ぐ。

パライソ「…………行けると思ってるのか?おまえ達。なんだな。」

蛇孔「ん〜〜?…………ッ!!!おまえは!!パライソ!!死んだはずだろ!!ちぃっ!!」

パライソ「ゾンビとして甦ったんだな」

一瞬、間を空けて蛇孔が聞き返す。

蛇孔「ゾンビだぁ?」

蛇句羅「ゾンビがそんな顔色いいわけねえだろ?だいたいゾンビは喋らねぇだろ(笑)」


離れた場所でそのセリフを聞いたミントは不思議そうにアーシアに言った。

ミント「…………へ?そうなの?」「みんなふつうに喋るし、ご飯もたべるよね?」

アーシア「うん(*´ω`*)」デイジー「ね♪(*´ω`*)」

デイジーはすっかり泣き止んでいた

倒れていた魔力の強い蛇が苦しそうに言う。

「そ、ソイツ……パライソの言ってることは本当だ……パライソだけじゃない、そいつらみんな、強者のオーラは放っているが、い…生命の灯火のような、生きてる気の様なものを感じない……」


蛇句羅「じゃ、なにか?こいつらみんなゾンビだって言うのか?」「元気満々じゃねぇか」

蛇孔はその場にいるミント達を見回す。

蛇孔「……ならば、ネクロマンサーは………ん?どうやらあのメスガキみたいだな……」

蛇孔が見ているのを察知してアーシアはミントを抱き締め、蛇孔を睨みつける!

蛇孔「んん?暗黒魔法使いが纏う、特有の禍々しい気配がない……な」

「(ほぅ……おもしろい…こいつは収穫があったな)」「(ネクロマンサーの可能性か…)」


蛇孔はポケットから鈴を取り出した。

蛇孔「パライソ…勝負はまた今度な(笑)」

パライソ「行かせないんだな!」

蛇孔は鈴を鳴らして言う。

蛇孔「(笑)出てこい[ファング]!!」

蛇孔がそう言った次の瞬間、城の崖側の壁がドガァッ!!!っと壊れる。


マカラ「!!なんだ!?」

もくもくとあがる砂煙が徐々に晴れてくると、3メートル近い巨大な四本腕の怪物のシルエットが見えてきた。


ファング「グガァァァァァッ!!!」

まさに凶獣咆哮である。


ルドラ「モンスターだと!!!?」

蛇孔「ただのモンスターじゃないぜ(笑)ある国の[実験的生命体]だよ(笑)ここはこいつに任せるわ!やり過ぎるなよ?ファング!!」

蛇孔が言うやいなや、ファングがパライソめがけて突っ込んでいく!

その凄まじい圧力にパライソごとマカラ、ルドラ、リンシュウは吹き飛ばされる!

ミント「み、みんな!!」

ファングの四本腕のそれぞれが魔法発動準備にはいる!狙いはミント達だ!


ファング「ガァァァァァッ!!!」

ミント「きゃあぁ!!こっち狙ってる!!」

ソレイユ王「デイジー逃げろーーッ!!!」

城の入口でパスカルト兵士たちを一掃したニヒロが城の奥で高まる魔力に気づく。

ニヒロ「な、なんだ!?4種類の魔法を同時に発動させているのか?(バカな!しかも、属性が変化している?)」

ライ「行きましょう!俺にも嫌な感じがします!」

ニヒロ「ダイキリさんはどうします?」

ダイキリ「……一緒にいきます…」

ニヒロ「え?なんですか?」

ダイキリ「……一緒にいきますぅ(つд;*)」


ファングの魔力が際限なく高まっていく。

ニヒロは城の奥へと走る!!

ニヒロ「ライさん、ダイキリさんはやっぱりここにいて‼危険だから!」「なんだこの魔力は!?」

ライ「わかった!!ここでシールドを張って待ってる!!」


ダイキリ「……(チャ〜〜ンス♪)」

ダイキリは落ちている短刀を掴んだ。


ファングの攻撃魔法がミント達に向かって放たれたその刹那、ニヒロが間に合いミント、アーシア、デイジーの前で強力なシールド魔法を張った。

ニヒロ「ハァァァーーッ!!!」

ニヒロの姿を見て蛇孔が驚く。

蛇孔「!!!イクス・ナイハイロだと!?」


ズドォォォーーーーン!!!

大爆発で城の一階のほとんどが吹き飛んだ!


しばらく上がっていた砂煙が晴れると、強力なシールド魔法の中にニヒロ達がいた。


ニヒロ「…………!なんて魔力だ……ん?いない…か。逃げたか。」

蛇孔と蛇句羅、[ファング]、他の生きていた蛇達の姿が消えていた。


マカラ「いやいや、参ったね…」

吹き飛ばされたマカラ達がミントのもとへ集まってきてソレイユ王達の無事を確認し、デイジーは家族との再会をとても喜んだ。



ソレイユ国王「……すると、ダイキリ大臣がデイジー誘拐の首謀者だったのか……許せんな」

デイジー「はい。父上。ダイキリ大臣と五人の蛇達に連れ去られて、隣国のマジョルカ王国にて、このマカラさんに助けられました♪」

マカラ「正確には、色々あったけど(笑)」

ソレイユ国王「ふむ、君はかなりの強者つわものな剣士なのだな。あらためて礼を言わせてもらう。娘を救ってくれた事に感謝する。」

ソレイユ国王はマカラに深く頭を下げた後、ミント達にも頭を下げた。

ソレイユ国王「ではダイキリをここへ」

ニヒロ「…………!はっ‼いかん!」

城の入口まで急いで様子を見に戻ると、ライが殺害されており、ダイキリの姿が消えていた。

ニヒロ「くっ!!ダイキリめ!!」

戻って来ないニヒロが気になり、ミント達が城の入口までやってきて、ライの死を知った。

マカラ「…………!ちくしょうッ!!!」

ルドラ「なぁ、マスター!ライさん、ゾンビ化できないかな?」

リンシュウ「かわいそすぎるよね(つд;*)」

パライソ「完全に巻き込んだから、死んだんだな…」

ミントは泣いていた。

ミント「うん(つд;*)やってみるね?ぐすっ、」ミントは泣きながら魔法の詠唱を始めた。すると、リンシュウ以降、いくら詠唱しても成功しなかった魔法が成功し、ライがゾンビとして甦った。マカラ達とは違って、魔力を持ったゾンビ、強力な[リッチ]の誕生である。

ライ「あ、あれ?俺……え?腹に傷が……いててて!!」

ミント「よかった!成功した♪ライさんあたしのゾンビとして、よろしくね(*´ω`*)」

ライ「……!!!え?ゾンビ?………………あ、あぁ!思い出してきた!ダイキリ!!」

マカラ「ダイキリはなんか言ってた?」

ライ「俺の事刺した後、絨毯に乗って……魔法貝に向かって[……デルタ]って言ってたような……」

パライソ「……デルタ…?ナオンデルタの事かな?」

アーシア「デルタってつくのは、ナオンデルタだけね!」

ニヒロ「…………あの、ちょっと厄介な場所か。追いかけて引っ捕らえるかな!」

ミント達は、ダイキリの後を追って[ナオンデルタ]を目指す事にした。

そのむねをデイジーは父王に伝える。

デイジー「父上♪あたしまた行くね(*´ω`*)」

ソレイユ国王「……うむ。ダイキリだけは、許せんからな!デイジー!!愛しているぞ!」


こうしてパスカルト国のソレイユ公国侵攻は、ひとまず失敗に終わったのだった。

だが被害は甚大で実質ソレイユ公国は壊滅状態である…………


パスカルト国によるマジョルカ王国、ソレイユ公国侵攻は大陸中の国々の知るところとなった。



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