第3話 おとといきやがれ 前編

[五月七日――二回目]

 古今東西、タイムトラベルものの主人公には二種類のパターンがある。

 やむにやまれぬ事情でタイムトラベルする者と、偶発的な事故あるいは好奇心で迂闊うかつにタイムトラベルしてしまった者だ。

 俺は前者のつもりだったが――どうやら違ったらしい。

 タイムトラベルの結果どうなるかなんて、想像すらしていなかったからな。

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 あまりのまぶしさに目を閉じたとたん、重力の感覚が消失した。

 重力どころか、音も、匂いも、触覚も、何も感じられない。

 魂だけになって、上も下も分からないまま凄い速度でどこかへ流されていく。

 何秒……あるいは何分経ったかは定かではないが、気付くと重力が戻ってきた。

 だが引っ張られる方向が違う。下が後ろになった。いや後ろが下に……?

 この際どっちでもいい。要するに――背中から落ちてる!

 落下の衝撃に備えて身体を強張らせる。

 しかし、受け身を取る必要はなかった。フワフワした雲というか、餅みた

いな柔らかさの何かに優しく抱き止められたからだ。

 身体の力を抜くと、五感が一気に戻ってきた。

「フゥ――」

 大きく息を吐き、まぶたを開く。

 見慣れた天井。鬼塚家の二階にある俺の部屋だ。

 外は明るいが、差し込む光は夕方のものだ。

 起き上がって辺りを見回す。俺は制服のままで布団に寝転がっていた。

 枕元の目覚まし時計で時刻を確認する――午後五時四十二分。

 学校から帰宅した後、そのままゴロンと横になって寝てしまったのか?

「なーんだ夢か……って、そんなわけねーだろ!」

 携帯を開いて日付を確認する――五月七日! 何度見直しても五月七日だ。

 タイムトラベルは成功したと考えていいのか? 時間を遡る前は五月九日の朝九時半過ぎ……つまりおおよそ四十時間ほど時間が巻き戻ったわけか。

 いや、タイムトラベルにもいろいろある。この時間軸に過去の俺が同時に存在しているかもしれない。待てよ? 俺は靴を履いていない。つまり意識だけが過去に戻ったってことか。そういうのはタイムリープとかいうんじゃなかったか?

 ……ん? そういえばあいつは!?

「トランクス? おい、どこだ?」

 死にかけの未来人の姿が見当たらない。俺は階段を駆け下り、台所で夕食の準備をしている美雪姉を見つけた。

「みゆ姉、トランクスはどこだ!?」

「タンスに入れておいたわよ」

 俺はダッシュで自室に戻り、タンスを開けた。そしてすぐに台所に取って返すと、みゆ姉に自分のパンツを見せながら、

「このトランクスじゃなくて!」

「じゃあどのトランクス?」

「ええっと……」

 そうだった。四十時間前はまだトランクスは鬼塚家には来ていないんだった。雷花のやつがトランクスなんて命名するからややこしいことになる。

「そうだ。みゆ姉、ライカのことは?」

「ライカって、ドイツのカメラの? 趣味で写真でも始めるつもり?」

「あ~……いや、何でもない」

 俺は自室に戻り、情報を整理した。

 記憶はそのままに意識だけが過去に戻るタイムリープなら、トランクスには現時点で戻るべき肉体が存在しないわけだから、当然ものと考えるべきだな。再び現れるとしても今から二十四時間後くらいか。実にややこしい話だ。

 時計を見る。間もなく午後五時五十分。

 俺の記憶が確かなら、もうしばらくするとカメコから救援を求める電話がかかってくるはずだ。それで建設中のマンションに向かい、雷花と十年ぶりの対面となるわけだが、明後日の事件のことを考えると雷花に構っているヒマはない。

 俺は携帯でカメコを呼び出した。

「今どこにいる?」

『四ツ葉町の近く。例の美人の居所を突き止めようとしてるトコッス』

「そうか。頼んどいて悪いが、調査はそこで打ち切ってうちに帰れ」

『ええ~もうちょっとなんスよ!?』

「美人の正体はもう分かったんだ。お前が追ってるのは香港から来た暗殺拳の使い手だ。そのままノコノコついてくと捕まるぞ。急いで戻れ。いいな?」

『おおう……了解ッス。そんじゃまた明日学校で』

「ああ」

 よし、これでこの後の予定が空いたぞ。まず何をすればいい? とりあえず学校関係者に相談してみるか……となると、相手はひとりしかいないな。

 鬼塚家は代々飛天神社の宮司を務めるとともに飛天流古武術の宗家でもあり、道場も神社の敷地内にある。鬼塚家の庭を通って道場の裏手に出ると、

白袴しろばかま姿の女が水道で顔を洗っていた。

 ――いかん。

 引き返そうとしたが、それより先に女が振り向いて俺を見た。見るなり声をかけてくる。

「あら、いたんですね。道場に顔を出さないから、てっきりどこぞをフラフラとほっつき歩いているのかと」

 滑舌のいい、よく通る声。はらから声が出ているので距離を感じない。つまり刺々しい生の感情がダイレクトに伝わってくる。鋭い牽制けんせい球で刺された一塁ランナーの気分。

 この女は――いや、女って言い方は違うな。

 十四歳だから少女と呼ぶべきだが……少女ってのも不十分か。

 美少女だ。それも、眩しいほどのオーラをまとった問答無用の美少女。

 そもそも人類とは種が違うんじゃないかと疑うほどの小顔。カメコと身長はそう変わらないはずだが頭身に差がありすぎる。並べると遠近法が狂って見えるレベルだ。

 シミ・そばかす・ホクロなど一切ない綺麗すぎる肌。

 高すぎず低すぎずすっきりと形のいい鼻。やや薄く、微笑を含んだ唇。

 ひとつひとつのパーツだけを見れば普通だが、輪郭に対するサイズと配置のバランスが黄金比なのだろう。凝視し続けてもまったくあらというかほころびが見えない。

 ここまでは完璧な美貌の持ち主だが、際立った個性といえるのはその眼差しだ。

 流行りに逆行するようなくっきりした太眉。

 切れ長で、黒目が大きく、鋭く光る涼しい目。

 下ろせば腰の辺りまである艶々のストレートの黒髪を高い位置で結んでポニーテールにしている。

 胸がないところも相まって、純和風の美少女というよりは若武者のイメージが強い。

 今まで顔を洗っていたので、長い睫毛まつげや髪からキラキラと光る水の粒が滴る。

 五月の夕刻の光を背にしたその立ち姿は映画のワンシーンのように美しい。

 これが映画ならその美しいたたずまいに胸を打たれて恋に落ちる場面だろうが、現実はそんなに甘ったるくはないのだ。

 仙石爽せんごくあやか――それがこいつの名前だ。

 その名を聞けば十人にひとりは「あの仙石爽!?」と聞き返すくらいには世間での認知度がある若手女優である。若手といっても三歳で子役として芸能界入りしたから実際のところ芸歴十二年目のベテランだが。

「師範代はまだ道場にいるのか?」

 嫌味には応じず、わざとぶっきらぼうにたずねる。

「フン」

 爽は頼んでもいないのに道場を覗き、中に声をかけた。

「お師匠さま! サボり野郎が来てますよ」

 イエスかノーで答えりゃ済むのに。しゃしゃり出やがって。

 道場には濃紺の袴姿の師範代がひとりでいた。他の門下生はすでに帰った後らしい。爽が最後まで居残っているのはよくあることだった。一秒でも長く師範代と一緒に居たいらしい。なにしろ草彅涼子――旧姓御剣みつるぎ涼子の熱狂的なファンだからな。いや、ファンというよりフォロワーか。メイクも髪型も口調も所作も全部師範代の物真似だし。

「やっと稽古する気になったか?」

「いえ、別の用事で」

 俺は道場の入り口に立ったままで答える。

「学校のことで師範代に相談したい件がありまして……」

 チラリと爽を見る。こいつ、全然帰る様子がねえ。

「仙石、お前に聞かせる話じゃない。稽古が終わったんならさっさと帰れよ」

「なぬっ!?」

 爽が眉を吊り上げて不快感を露わにした。

 違う、違うぞ爽。『なぬっ!?』は師範代が本当に意表を突かれた際に使う面白リアクションだ。怒りを伴う感情表現じゃない。研究が甘いぞニワカめ。

「お師匠さま! サボりのくせにあんなこと言ってますよ!?」

 速攻で告げ口かよ。

「爽。道場では師範代と呼べ」

 涼子先生がやんわりと訂正する。爽個人にとっては師匠でも、飛天道場において師範代は師範代だからな。

「サボりを放っておくと他の門下生に示しがつきません!」

「どうしろと?」

「私と一手、お手合わせ願いましょう」

「お前じゃ相手にならない。目ぇつぶってても勝てる」

「なぬう!?」

 だから違うっつーのに――

「面白い。やってみろ」

「なぬっ!?」

 この『なぬっ!?』は俺のだ。師範代が食いつくとは……いや、自分の弟子を愚弄されたことにカチンときたのか? ちょっと言い過ぎたか?

「目隠しで爽の相手をしてもらおう。いい稽古になるだろう」

「マジですか。まあ……いいですけど」

 靴下を脱いで道場に上がる。かれこれ一ヶ月ぶりか。

 爽に手拭いで二重にガッチリ目隠しをされた。試合中に解けないようにとか言ってるが、耳の上まで被せやがって、よく聞こえないじゃねーか。

 爽が壁の刀架とうかから取った木刀を投げてよこした。顔の高さに飛んできたそれを片手でキャッチする。

「ちょっ……本当に見えてないんでしょうね!?」

「自分でやっといて何言ってる。さっさと始めようぜ」

 俺は開始位置に立って爽と向き合った。

 唇を尖らせ、音を出さずに口笛を吹く要領で独特の呼吸のリズムを刻む。

 仙術気功闘法〈神威の拳〉の呼吸法だ。

 背骨を軸に八つの階層に円環状の粒子加速器があって、呼吸によって生じたエネルギーをそれらの間を順に通すことでどんどん増幅していく――そういうイメージだ。

〈神威の拳〉によって体内に生じる神気は〈天月雷山風火水地〉の八つの属性がある。

 俺の師匠は〈火〉属性だが、俺は親父と同じ〈天〉の神気を生じる。

 雷花が〈風〉メインで〈雷〉も使えるところからして遺伝的体質というより個人の資質に左右されるようだ。

 カメラのフラッシュをくように、体内に生じた〈龍虹ロンホン〉を皮膚の表面から全方位に放射する。視界は閉ざされているが、それだけで周囲の状況が手に取るように把握できた。むしろ三百六十度全方位が感覚で見渡せるので肉眼よりも視界が広いくらいだ。

〈天〉の神気とはすなわち〈光〉だ。光は電磁波なので〈龍虹〉を使ったこれは要するにレーダーそのものと言える。

「一本勝負――始め!」

 爽がすり足で正面から間合いを詰めてきて、俺の脳天を狙って打ち込んできた。

 木刀の動きは暗闇で振るサイリウムのように見える。

 左手に提げていた木刀を上げてそれを横に払うと、爽は驚いてたたらを踏み、慌てて間合いの外へ逃れた。

 俺は再び両手をだらりと下げた棒立ちの姿勢に戻った。ただ突っ立っているだけに見えるだろうが、わずかに両足のかかとを浮かせてどの方向からの攻撃にも即座に対処できるように重心は不安定な状態にある。飛天流にある構えではない。

 右から背後に回り込んだ爽が突っかかってくる。俺は左に体を開きながら木刀でその突きを受け流し、すれ違い様に足を引っ掛けて転ばせた。爽は受け身を取って一回転で立ち上がる。いい運動神経だ。

 俺は明後日の方向を向いたままで口を開く。

「言ったろ。お前じゃ相手にならないってな」

「うるさい!」

 意地になった爽は遮二無二しやにむに突っ込んでくる。俺はその打ち込みをかわし、受け流し、弾き返した。二十本ほどの攻撃をあしらうと、爽は息切れしてしまったようだ。こっちも左手一本で受け続けたのでだるくなってきた。

「もう来ないのか? ならもう終わりにするぞ」

 右手に持ち替えた木刀の切っ先をピタリと爽に向ける。爽はそれを嫌がって右へ左へと動くが、俺の木刀は方位磁石のように正確にそれを追う。

 間もなく俺は異変を感じた。

 レーダーに影ができたのだ。放射した〈龍虹〉の一部が反射せず、ある方角だけが把握できない。

 何が起きている!?

 不安を覚えて動きが鈍る。レーダーの影にいるのは――師範代だ。

 隙ありと見て爽が間合いに踏み込んできた。

 同時に、レーダーの影から何かが飛来する。

 俺は自分から爽との間合いを詰めて打ち込みを弾くと、返す刀で背後から飛んできた物を叩き落とした。床に硬い物が落ちる音――おそらく棒手裏剣だ。

「師範代、審判のくせに加勢するのはズルいですよ」

「安心しろ。稽古用だ」

「稽古用ったって刺さるやつじゃないですか!」

 躱せるタイミングで打ってきたから本気じゃないことは分かるが。

「仙石、もういいだろう。お前は下がれ」

「でもお師匠さま」

「真紅郎は目隠しを取れ。私が相手をしてやる」

 師範代が代わると言われて爽も不承不承ながら引き下がった。

 弱ったのは俺だ。

「仙石と俺の勝負なのに、なんで師範代と?」

「腕を上げたようだからな」

「師範代から一本取ったら、何か褒美は出るんですか?」

 爽がムッとした顔になったが、師範代はニヤリと微笑む。

「褒美か。何でもいいぞ」

「二言はないですね」

 ちょっとやる気が出た。

「参る」

 師範代がそう口にした時にはすでに試合は始まっていた。

 流水の如くよどみない歩法で間合いを詰めてくる。それに気付いた時にはすでに一足一刀の間合いに侵入されていた。さすがだ。

 飛天流の真髄は真っ向から斬り込んでいく迷いのない剣にある。下手に左右に躱そうとしても無駄だ。俺は逆袈裟けさに斬り上げ、師範代の最初の打ち込みを弾いた。

 左後方に弧を描くように足を運びながら、後に続く連撃をしのぐ。

 こっちは瞬時に三つか四つの剣筋を予測するが、師範代は常にその予測のうちで最も難度の高い手を仕掛けてくる。おかげで受けるだけで精一杯だ。

 ほんの一寸、ほんの一瞬ほどの差で師範代に有利な間合いに詰め寄られている。手詰まりの間合いを外さなければ――

 俺は師範代の突きを受けて、両足を床から紙一枚ほど浮かせて滑るように後退した。

 同時に水平にいだ木刀は空を切る。追従して間合いを詰めてくるかと思ったが、師範代は一拍待って余裕で見切りやがった。

 今度はこっちが攻める番――といきたいところだが、俺の剣筋はあっさり見抜かれて対応されてしまう。爽のやつはハラハラした顔で観戦しているが、見る者が見れば優劣は明らかだ。師範代がその気になれば五合と打ち合わず勝敗は決する。

 俺が攻めあぐねて単調になったタイミングで師範代は間合いを外した。

「何をやっている? 奥の手を見せてみろ」

 言わんとしている意味はすぐに分かった。

「いや、しかし……これは剣術の試合では?」

「構わん。あらゆる手を尽くして挑むのが勝負というものだ。出し惜しみか? それともまだ実戦投入には時期尚早というところか?」

 あおるのが上手い。〈龍虹〉を使わなかったのは勝ってしまうからだが、リクエストとあれば仕方がないか。まあ旦那の手柄になると思えば構わんだろう。

「……お望みとあらば、披露させていただきます」

 俺は腰を落として居合いの構えを取った。

 師範代は大上段から斬り込んでくる。

 俺はそれに合わせて抜刀した。

 抜き様に左手で刀身をしごいて〈龍虹〉をコーティングする。ただの木刀と虹の剣がぶつかれば、木刀は木っ端微塵に砕け散る。

 勝利を確信した俺の右手に奇妙な手応えがあった。

 ガッ!

 打ち合った木刀が止まる。

 師範代の木刀は――砕けない!?

 それどころか、師範代の木刀が虹色の輝きを帯びている。

 まさかの同じ技……じゃない!

 俺の木刀にコーティングした〈龍虹〉がのだ。

 ヤバい!

 俺は木刀を引いた。師範代は虹の剣と化した木刀で打ち込んでくる。

 ギィィン!

 虹の剣同士がぶつかり合い、スパークの火花を散らす。

 また少し神気を吸い取られた。今度打ち合ったら砕けるのはこっちの木刀だ。

「クッ!」

 後方に跳び退ずさりながら左手を突き出し、てのひらから直接〈龍虹〉を放つ。〈虹でボーン!〉を食らわせてひるませるつもりだったが、俺は我が目を疑った。師範代が円月殺法よろしく木刀を旋回させると、まるで綿菓子のように〈龍虹〉が巻き取られたからだ。

「ウソやん!」

 師範代の木刀は今や虹色に輝く刃渡り五尺超の大剣と化している。俺の放った神気のはずが、もはや点火も消散もできない。

 俺は床に虹のレールを描き〈ギューン!〉で師範代の左後方に瞬間移動した。

 寸前まで俺の立っていた位置を虹の大剣が突く。師範代はそのまま水平に薙ぎ払った。伏せた俺の頭上を大剣が通過する。

 再度の〈ギューン!〉で師範代の背後に移動――しようとしたところ、俺は蹴躓けつまずいて不様に転倒した。師範代が虹のレール上に出した足に引っ掛けられたのだ。

 起き上がろうとした俺の脳天からわずか一寸のところで、師範代の木刀の切っ先がピタリと止まる。

「そこまでだ。真紅郎」

 完敗か。師範代に負けても悔しくはないが、爽が超得意気なのがムカつく。

 師範代が木刀を引く。俺はその場に正座した。

「師範代、ひとつ質問してよろしいですか?」

「何だ」

「どうやって破ったんです?」

 もちろん剣術の話ではなく〈神威の拳〉をどうやって破ったのかという問いだ。この言い方なら神気が見えていない爽は前者についての問いだと解釈する。

 師範代は明らかに俺の〈龍虹〉が見えていて、しかも干渉できた。俺の知る限り神威の使い手ではないはずなのだが。

 師範代は汗ひとつかいていない涼しい顔で答えた。

「お前の技は自分より弱い相手にしか通じない――それだけのことだ。私から一本取ろうなど十年早い」

「お見逸みそれしました」

 俺は恐れ入って深々とこうべを垂れた。

「ふふん、たっぷりおきゆうを据えてもらうといいわ」

 捨て台詞を残して爽が帰ると、ようやく師範代と膝をつき合わせて話せる状態になった。

「お前が以前から虹を出すことは気付いていたが……いつからだ? 使えるようになったのは」

「ひと月ほど前からです。急にコツがつかめて自由に出せるようになって」

「つまり高校に入ってからか……なるほど。道場の稽古をサボるようになったのは〈神威の拳〉の研究のためか」

「そういうことです」

「し……お前の師匠にこのことは?」

「まだ話してませんよ。いきなり披露してビックリさせてやろうかと」

 ん? この会話、昨日もしたような気がするな。

「しかしお前の虹ははっきり見えすぎる。床に虹を描いて移動する――〈虹渡り〉か? 移動ルートが丸見えだし、無防備な移動中を攻撃されるとアウトだ。工夫が必要だな」

 すでに〈虹でギューン!〉というカッコいい名前が付いてるんですがそれは……まあでも師範代が破ったんだから〈虹渡り〉に改名すべきか。

「ところで師範代、俺は〈神威の拳〉について相談しに来たんじゃないんですが」

「そうか……で、何だ?」

「それがですね――」

 改めて口に出そうとして躊躇ちゆうちよする。我ながらあまりに突飛すぎる話だからだ。

「かなりショッキングなことを言いますから、覚悟してくださいよ」

「前置きはいい。勿体もつたいぶらずに話せ」

「明日……いや、明後日か。つまり五月九日の朝のことになるんですが」

「うむ」

「大門高校が地上から消滅します」

「なぬっ!?」

 予想通りのリアクションだった。

「大門高校が消える!? どういうことだ?」

「それがよく分からんのですが」

「よく分からんのに消えることは知ってるのか?」

「実は俺、大門高校が消えたすぐ後の時点からタイムスリップしてきたので」

「タイムスリップぅ!?」

 師範代の眼差しが得体の知れないものを見る目になった。

「ますますワケが分からんぞ。最初から順を追って話せ」

「そうですね。まずは明日の夕方に未来人がやってきまして」

「未来人!?」

「現れ方はそれっぽいってだけで本当に未来人かどうかは分からないんですが、ライカのやつがトランクスと名付けまして」

「ライカというのは誰だ? それに何故名付ける!?」

「ライカは俺の姉の烈雷花のことです。明日大門高校に転入してきます。未来人が現れたところへ居合わせたライカが回し蹴りでブッ飛ばした結果、その未来人が記憶喪失になったので便宜上トランクスと命名したというわけで」

「ふうむ……」

「で、その未来人を鬼塚家で一晩預かることになって、俺が一緒に風呂に入ったり添い寝したりする羽目になったわけですが」

「どうしてそうなる?」

「訴訟沙汰を避けるため客人として丁重におもてなしを」

「訴訟……」

「翌朝、師範代の言いつけで俺とライカがトランクスと一緒に鬼塚家で待機

することになって」

「それは私が命じたのか?」

「自分で言ったのに覚えてないんですか?」

「未来の記憶は持っていない!」

 それもそうか。

「で、確か九時過ぎに変な地震が起きたんです。けっこうな揺れだったのにテレビやラジオでも情報が出ないし、そもそも俺たち以外の人間は気付かなかったらしくて。それで気になって行ってみたら、大門高校が消えていたという次第で」

「……それで、タイムスリップは?」

「校門にいた號天の話でも何が起きたか分からないってんで」

「待て、號天と言ったか? それは毒島號天のことか?」

「そうです。號天は明日高校に現れて俺とKファイトすることになるんですが、まあそれはいいとして」

「Kファイト!?」

「勝ちましたけどね。それで……どこまで話しましたっけ? あーそうそう、號天の話だと大門高校消失の原因が分からないので、これは未来人のトランクスに頼んで過去に戻るしかないってことになりまして」

「…………」

 師範代は腕組みして天を仰いだ。

「正直……途中から完全に迷子になってしまったが……つまり、要するに、お前の相談というのは何だ?」

「明後日の大門高校消失の原因に心当たりは?」

「それを私に訊いてどうなる!?」

「他に相談しようにも相手がいないし、それに師範代も大門高校と一緒に消えたんですから当事者でしょ?」

「ふむ……」

 師範代は首をひねる。いかん、これは考えているフリして何も分かっていな

い顔だ。

「ひとまず……そうだな、この件は――」

 あごに手を当てたまましばし固まる。次に口を開いて出てきたのは予想外の言葉だった。

「明日、科学部部長のムラサメに事情を話して指示に従え」

「科学部のマギムラに!?」

「そうだ」

「何でまた?」

「他にいないからな」

 非常識な事態に対処できるのは非常識なやつだけってことか? 師範代は話は終わったとばかりに立ち上がる。呼び止めようと腰を浮かせた俺の尻ポケットで携帯が鳴った。道場では基本、携帯の持ち込みは禁止だが忘れてた。道場を出てから携帯を開く。

『ふぇ~~ん、捕まったッス~!』

「ファッ!?」

 相手はもちろんカメコだ。

「お前、さっさと帰れって言ったはずだよな!?」

『帰る途中で捕まったんスよ~』

「……で、どこへ迎えに行けばいい? 例のマンションか?」

『マンション? 今いるのは赤塚公園の端っこの――』

「もしかして首都高と新大宮バイパスの合流するあたり?」

『よく分かったッスね』

「待ってろ。すぐ行く」

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〈虹でギューン!〉改め〈虹渡り〉を駆使して一分少々で赤塚公園に駆けつけると、見覚えのあるスカジャン軍団に囲まれているカメコを発見した。

「え~っと、お前ら……誰だっけ? そう、確か〈ニュー・バイパーズ〉とか?」

「〈ネオ・バイパーズ〉だ。うろ覚えてんじゃねー」

 リーダーらしきガタイのいいリーゼント男が舌打ちしつつ答える。

「てめーが南雲真紅郎……だよな?」

「おう、よく来たな。歓迎するぜ。早速やるか。晩飯前なんでな」

 道場からそのまま持ってきた木刀を片手で小枝のように振り回し、ピタリと止めて突き付ける。

 リーダーは周囲を見回し、他に誰もいないことを確認すると、格好つけて右手を上げ、パチンと指を鳴ら――そうとして失敗し、二回スカッて三回目でやっと鳴った。

 それを合図にリーダーの左右に立っていた二人のメンバーが前に出てくる。右のやつが青白い顔色のヒョロいロン毛、左のはデコの広いチビだ。ん? この二人……前回はいなかったような気がするな。便宜上「ウラナリ」と「デコスケ」と呼ぶことにしよう。

「どっちからやる? 二人いっぺんか? 俺としては全員同時でも構わんが」

「こいつペロッペロにめきってやがっぞ?」

 デコスケが唾と一緒にそう吐き捨てると、ポケットに突っ込んでいた右手を出して、タブレットケースサイズの四角い物を掌でもてあそんだ。

「俺から行かせてもらって構わねーよなあ?」

 シュッ。

 ヤスリで硬い物を擦るような音とともに、デコスケの右手で青白い光が瞬いた。

 瞬時に周囲の空気が変わる。まるで巨大なガラスのドームを被せられたように、公園の外からの音が遠のいた――そう感じた。リーダーが炎を出す前の奇妙な感覚と同じだ。

 デコスケがダンスのステップを踏み、その場でとんぼを切った。

 なかなかの瞬発力――と感心するのはまだ早かった。

 トーン、トーンと何度も繰り返されるそのジャンプが次第に高く、速くなっていく。まるで全身が強力なバネと化したようだ。いや、じゃなくて見たままだ。

 デコスケは自分の身長の倍ほどの高さまで跳んで着地すると、いきなり俺に向かって弾丸の勢いでカッ飛んできた。

 咄嗟とつさに虹で右にスライドして避ける。紙一重だ。

 しかし直後、デコスケは背後の街灯にぶつかって跳ね返ってきた。防御しようとしたが虹の盾の生成が間に合わず頭突きを肩に食らってしまう。チッ、けっこう痛えじゃねーか。

「ソラソラソラソラァ!」

 デコスケは調子に乗って跳ね回りつつぶつかってきた。アルマジロみたく身体を丸めてのスピンアタックだ。俺は地面に虹のレールを何本も描いて瞬間移動で避ける。さっきの師範代との試合の反省から軌道を読まれないための工夫だが、相手は思いのほか素早くて避けるにしてもギリだ。

 公園の外へ飛び出すくらい大きく距離を取ればこいつの有利な間合いから逃れるのは可能だろうが、そいつは負けを認めるみたいでしやくに障る。あまり広いとは言えないがこの公園内に留まって勝負すると決めていた。

 レーダーで視界の外にある木や街灯の位置を把握しながら移動し、木刀をしごいて虹の神気をチャージする。またいいのを貰う前に反撃に転じようとしたその時、俺の足が止まった。

 自分で足を止めたんじゃない。両足が地面に縫い付けられたように動かなくなったのだ。

 足元を見ると、地面から生えた黒い手が、俺の両足首をガッチリと掴んでいる。

「なにっ……!?」

 動けなくなった俺はいい的だ。デコスケが四方八方から仕掛けてくるスピンアタックを避けようもなく食らいまくる。

 その猛攻に耐え凌ぎながらあらためてレーダーに意識を向けた。いつの間

にかウラナリがいなくなっている。なるほど、そういうことね。

 十回以上もスピンアタックをかましたデコスケがいったん攻撃をやめて着地した。

「クソッ、なんだこいつ? しこたま食らわせてやったのに……」

「お……おい、その身体、どうした!?」

 リーダーに指摘されて、デコスケは自分の異変に気付いた。身体のあちこちに虹色に輝くペンキを塗られたような状態になっている。

「な、何じゃこりゃあ!?」

 虹のバリアーで全身を覆った俺に体当たりしまくったんだから当然そうなるわな。ちようの羽根を触ると指に鱗粉りんぷんが付くのと同じだ。

「そろそろ反撃させてもらうとするか」

 俺は両足から虹の波紋を放射し、足元を爆破した。

「んぎゃあああっ!」

 俺が後方宙返りで離れた直後、地面に落ちた影の中から悲鳴を上げて飛び出してくる奴がいた。誰あろうウラナリだ。影に潜むとか忍者かよ。

 ドガガガガォン!

 デコスケに貼り付けた龍虹を時間差で爆破すると、チビの身体はピンボールよろしく跳ね回った。

 最後の爆破でこっちに飛んできたのを木刀をバット代わりにジャストミートする。吹っ飛んだデコスケはウラナリを巻き込んでリーダーに激突した。さすが人間スーパーボールだ。よく飛ぶ。

「なかなかいい連携だったが相手が悪かったな。さて……三人がかりでもう一戦やるかい?」

 俺が涼しい顔をしてるせいか、三人を含めたネオ・バイパーズの連中はタジタジだ。もちろんノーダメージってこたーないが、見栄を張るのはケンカの作法みたいなもんだろ。

 しかし、その時だ。またもや奇妙なことが起きた。

 空気が変わった。

 色が変わった。

 それも劇的に。

 公園内の光景が、塗り替えられたように色調が変わったのだ。

 デジカメの画像をいじれるPCソフトがあるよな? あれでトゥーン風エフェクトをかけたように輪郭が強調され、ディテールは甘くなり、全体にパステル調の明るい色合いに変貌した。自分の視覚がおかしくなったのかと目を擦ってみたりしたが元に戻らない。

「おいカメコ! いま辺りの風景はどう見えてる? 変な感じになってるよな!? 俺の目が変になったわけじゃないよな?」

「自分も同じっスよ!」

 見た目が変わっていない俺たちやバイパーズ、つまり人間だけが浮いている。すげえ違和感。

 一応バイパーズの連中にも訊いて確認しようかと思ったが、やめた。闖入者ちんにゆうしやの声が聞こえてきたからだ。

『――ソドムの闇の使徒め、狼藉ろうぜきもそこまでよ!』

 勇ましい少女の声とともに、空から光の矢が降ってくる。

 光の矢はリーダーの股間をかすめて地面に刺さり、目映い閃光せんこうを放って爆発した。

 ちゅど――ん!

 名状しがたい破裂音とともにギャグ漫画みたいな爆発が起き、バイパーズ共を吹っ飛ばす。奇妙なことに熱は感じないし破片も飛んでこない。しかも爆煙にキラキラ光る粒子が混じっている。どういう種類の爆発なんだ?

 俺の頭上を通過して白鳥が舞い降りてきた。

 訂正する。舞い降りたのは白鳥を思わせる白銀の衣装を纏った金髪の少女だ。

 羽根でできたケープが翻る。超ミニのドレスはレースのフリルたっぷりのロリータ風。

 何故かバイパーズから守るかのように俺に背を向けて立ち、大見得を切る。

「邪悪にくみするスケアクロウ共! 正義の矢を受けよ!」

 優美な形の洋弓を空に向けて弦を引き絞ると、光の粒子が集まって矢が形成される。茜色あかねいろの空に放たれた光の矢は一番星となった後、無数の光線となって降り注いだ。

「うおおおおっ!?」

「いででででででっ!」

 かんしゃく玉のような破裂音と閃光の中、バイパーズの連中が不様に七転八倒する。

「さあ、とどめよ!」

 謎の魔法少女が天にかざした左手に光が集まり、輝く剣が生まれる。

 これはアカン。

 俺はその剣が振り下ろされる前に背後から少女を羽交い締めにした。

「解散! 解散だ!!」

 俺の言葉でリーダーが率先して逃げ出し、他の連中もすぐ後に続いた。大変素直でよろしい。

「は~なぁ~せぇぇぇぇっ!」

 ジタバタ暴れる魔法少女のケープがゴム風船のように膨らみ、仕方なく手を放す。自由になった魔法少女が振り向いて剣を突き付けてきた。顔は西洋甲冑かつちゆう風のバイザーで上半分が隠れているが、鼻から下だけを見ても美少女だと分かる。

「ちょっとあんた! 助けてもらっておいて何のつもり!?」

「誰が助けてくれって頼んだ!? つーか助かってねえし! お前が割り込んでくる前に自力でピンチを切り抜けてただろーが! ちゃんと見てなかったろ!」

「こっ……こっちにだっていろいろと準備があんのよ!」

「だからお呼びじゃねーつってんだろーが! 楽しいケンカの邪魔しやがって……反撃ターンで十倍返しするとこだったのにどうしてくれるんだ、ああん!?」

「うるさいうるさいうるさーい! 一般人のくせに!」

「じゃあそういうおめーは何様だよ!? 俺が一般人ならそっちは不審者だろーが!」

「ふ……不審者……? 正義の代行者を捕まえて……不審者!?」

 相当カチンとくるワードだったらしい。俺も一般人呼ばわりされて頭にきてるからおあいこだ。

 グギギと歯軋はぎしりしていた仮面の魔法少女がフッと表情を消した。あ、こいつキレたな。

「私としたことが不覚だったわ……お仕置きすべき悪はこいつの方ね」

 急に芝居がかった口調になると、殺気をみなぎらせて斬りかかってくる。俺は半身になって体を躱しつつ虹の木刀で光の剣を受けた。

 ビィン!

 火花を散らして互いの刃が弾き合った。

 この光の剣、触れたら電撃を食らったようなダメージがありそうだ。

 魔法少女は鋭い連続突きを仕掛けてきた。俺は後方に弧を描いて滑る足運びだけでやり過ごす。相手はどうして剣が届かないのか分からないといった困惑顔だ。剣が光ってるから間合いが見切りやすいという根本的な事実に気付いていない。

「どうした? 早くお仕置きしてくれよ」

「黙れ!」

 魔法少女はいったん飛び退くと、ケープの羽根を手裏剣のように投げた。俺を狙ったものではない。周囲の地面に刺さった羽根が輝き、同じ姿の分身を六体生み出した。本体を合わせて計七人の魔法少女が俺を包囲し、三人と四人がセットになって二重の円を描く形で逆方向に一斉に動いた。へえ、この幻惑作戦はなかなかいいな。魅せ技としては見事だ。

 俺は両手ぶらりの構えになり、どの方向にも動けるように身体の力を抜いた。

 七人の魔法少女が次々と斬りかかってくる。

 俺は左手の木刀を逆手に持ち替えて、真後ろに突き出した。

 六人の魔法少女が俺の身体を突き抜けて、かすみのように消える。

 首を巡らせて背後を見やると、本体の魔法少女は光の剣を大上段に振りかぶった姿勢のまま硬直していた。胸元に俺の木刀の切っ先が突き付けられているからだ。

「どっ……どうやって見破った?」

「目をつぶってても勝てるっつったろ? なのに分身殺法が通用すると思う方がどうかしてる」

 虹のレーダーで動きは丸見えなのだが、それを説明してやるほど親切じゃない。

「正義の味方を名乗るには実力不足なんじゃねーのか?」

「くっ……」

「さて、その仮面をブチ砕いてツラを拝んでやるとするか」

「まままま待って! ちょっと待って!」

「待ったなし」

「はわわわわっ」

 恐れおののく魔法少女の胸にある赤い宝石が輝き、爆発的な閃光を放った。俺もこれにはさすがに目が眩み、手をかざして顔を覆った。

 輝きは数秒で消える。顔を上げると、魔法少女は姿を消し、周囲の光景も元に戻っていた。念のため虹のレーダーで探ってみたが、半径五十メートルの範囲内にはそれらしい人間はいない。

「カメコ……撮ったか?」

「そりゃもうバッチシ」

 魔法少女が現れたあたりからカメコはカメラマン魂に火が付いたらしくローアングルで撮りまくっていた。

「でも残念なお知らせが……パンチラは大量に撮れたんですけど、スカートの下は普通のパンツじゃなくてドロワーズでした」

「あのカボチャパンツみたいなやつか。大丈夫、俺はそういうのもイケるク

チだから」

「それにしても魔法少女って本当にいたんですねー。アニメの世界からまんま出てきたみたいに細くて足長いし」

「ま、甲斐がいのない貧相な乳だったがな」

「鬼ッスね」

「…………」

 俺はカメコの隣にさっきの魔法少女を並べて脳内で比較してみた。身長はほぼ同じなのに各パーツのバランスが違いすぎる。カメコはどう見てもギャグマンガ界の住人だ。

 虹のレーダーは透視するように人体の形まで正確に捉える。

 先刻の魔法少女の体型は――スリーサイズから手足の長さに至るまで、およそすべてのデータが仙石爽のそれと合致していた。

「どしたッスか?」

「……別に?」

「さては何か失礼なことを思いついて言うのやめたッスね?」

「いや……人間ってのは生まれつき平等じゃないのに、もともと持ってるヤツにさらに上乗せされるのはもっと不公平だなーと思ってな」

「それ、人の顔見ながら言わなくてもよくないッスか~!?」

 カメコが頬を膨らませてブスに磨きをかけた。爽がいかに芸達者でもこの面白フェイスは真似できまい。

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