第5話 いつも近くに…

私は、今、就活中だ




今日も面接があった





面接を終えた私は、


ここ、家から遠いなぁ・・とか考えながら


ひとり、駅に向かう






そして、帰る前に、駅の隣のデパートを、ふらついていた




私が、ショップのアズールで服を見ていたときだった


私はメンズを着るのも好きなので、


メンズのトレーナーを見ていた




その時だった、私は、ふいに考えてしまった








これ、あきら、好きそうだな・・・・







なんで、そんなことを考えたのか自分でも分からない





分かっているのは、こうなると、もう、


しばらくは、止まらないってこと




あきらのことや、二人で居た、ちょっとした場面が


たくさん、頭を、よぎる





子供に手を振る、あきら・・・



そして、私に笑いかける あきら・・・



あきらの声、しゃべり方・・



いつも、私に笑いかけてくれていた・・


ほんの些細な 一場面も、あきらは優しさで色づけした



そんな、二人でいた時間・・・





私は、思う



・・・・あいつ、ほんと、いいやつだったなぁ










それから、私は、アズールを出て、上の階にあるTGMで、


雑貨や、家具を見ていた




壁に貼り付ける、おもしろ商品みたいなのがあり、


私は、それを、変なの~とか思いながら


見ていたときだった





ふいに、隣に あきらが居るような感覚になった




私の隣で同じ商品を見ている・・


そして、私に笑いかける あきら・・


あきらの声や息も聞こえてきそうだった・・



隣で感じる、  隣に居るぬくもり・・・






・・・・






私は、居ないはずの あきらに、居心地の良さを感じ



それと同時に、とてつもない さみしさを抱える







私は、居ないはずの あきらと、いろいろな お店を


二人で、ふらつく




 

実際に、二人で来たことのある場所だと、


その場面は・・あきらは・・より鮮明になる





私は、この感覚が嫌なのか、


それとも、このままいたいのか、


自分でも分からない・・



でも、きっと、両方なんだと思う








ふいに、私は、試着室に逃げ込み、


少しの間、一人しゃがみこんでいた




さみしさが、私にのしかかった



私は、耐えられなくなったのだ



苦しい・・・









私は、



あなたの幻覚を追いかけていたいのか?・・・



それとも、あなたを探しているのか?・・・




・・・・





あなたは、もう いない・・



そして、あなたと一緒に、


あなたの中の私も消えた・・・





なのに、あなたは、私の心に何を残したの?・・




あきら・・・・







・・・・・












私は、ひとり歩く




帰ろ・・・・






外に出ると、雪が降っていた




私の白い息にまじって、ふいに声が出た








「会いたいなぁ・・・」

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