北アフリカ、地中海沿岸のアラブ生活

 主人公の菜穂さんが旦那さんの海外赴任にともなってアラブ地域に移住するお話。
 淡々と過去回想する形でつづられています。日記のように書かれているところがとっつきやすく、菜穂さんの経験を追体験している気持ちになります。
 現代ドラマになっていますが、ひょっとして作者様ご自身の体験をもとにして書かれているのではないでしょうか?

 前半は慣れないアラブ暮らしに四苦八苦する様子がえがかれています。
 最初は観光気分だったけど、徐々に暮らしに生活感が出てきて、いつの間にか苦労の連続に。
 猫のエピソードは微笑ましいですが、メイドのエピソードなどは、実際にやってみないと分からないことってあるんだな、という感じです。
 運転の荒っぽさは途上国共通のものなんでしょうね……いつか東南アジアに行った時のことを思い出しました。
 日本人会の様子なども、他の国や地域でも似たようなことがありそうな気がして、海外に住む予定のある方は読んだ方がいいかもしれません。

 途中からきな臭くなります。
 国で暴動が始まるんです。
 実はこの国独裁国家だったんですね! 前半があまりにも平和だったのでまったく意識していませんでした。こういうことって日常と地続きなんだ……!
 地中海沿岸だったりクスクスを食べたりしている上に、フランスが宗主国だったということで、あの国かな?という目星はつきますが、作中では明記されていないのでここでも控えます。
 この先菜穂さんたちご夫婦がどう過ごされたのかたいへん気になります。
 続きをお待ちしております。