17 バカ2人

★★★

デパートでゴーストが暴れた事件。それを聞いて駆けつけたのだが……どうやら遅かったらしい。残されたのはボロボロのデパートと血の海のみ。あーあ派手に暴れちゃったルルなぁ、と思ったのは私だけらしく、ナン様は「ありやぁー?あいつこんな暴れ方だったっけなー?」と首をかしげていた。ナン様はいつの間にか消えていたので、食事をしようとそこらへんの椅子を片手で持ってくる。そしてそこに座って、指をカチン!とならすと『狼』が数匹現れる。

「さっさと食事を持ってくるルル」

そう命令するとその『狼』が一斉に走り出す。

私達は異世界No.10サバナ王国に住む者ルル。あ、今自己紹介してルルから静かに聞いとくルル。

異世界No.10サバナ王国ははっきり言って、ただの砂漠しかない王国ルル。というかほとんど住んでる人いないから王国とは言えないルル。そこで無人の異世界『地獄』と呼ばれることもあるルル。1度迷い込んだら2度と帰ってこれないと言われてるルル。そこに住む私達は、他の異世界からかっぱらってきた物で暮らしてルル。なぜかってルル?それはナン様がそう決めたからルル。ナン様は誰かって?それは秘密ルル。ここで知っても面白くないルル。ところで私の語尾のルルだけどルル。これは生まれつきで、語尾に絶対ルルつけないとダメルル。ルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル――

「ルルルルルルうるせぇぇぇぇぇ!」

「ブジャブルル!」

ルル語尾の女はすっ飛んでった。ぶっ飛ばした男がルル女に近寄って、ルル女に生えている灰色のネコ耳を鷲掴みにして引っ張りあげる。

「お前は何をやってるんだー?」

「食事ルル!」

「食事食うのにどんだけかかってんだー?」

「まだ1分も経ってないルル」

「充分経ってるはゴルァー!」

「それより早く離してルル。耳が取れちゃうルル」

「わかったから早く食ってこいー」

ルル女はダッシュして椅子に座り、丁度帰ってきた『狼』が持ってきた肉をむしゃむしゃ食べ始め、グラスの中に入った赤い飲み物を飲む。そう、それはこの騒動で死んだ人達とその血だった。ルル女はそれをおいしそうに食べて飲む。すげぇグロ映像だろこれ。

男はヤレヤレと言いながら奥に歩き始める。それに早くも食べたルル女がついてくる。

「ナン様〜まだほしいルル〜」

「ほら、そこにあるぞー」

とペロペロと舐めにいくルル女。それは飛び血だった。

ルル女はそこらへんの血を舐め、まだ残っていた死体をも食べながらナン様と呼んでいる男と話す。

「ナン様〜そんなにあの男が気になるルル?」

「うんそうだねー。久しぶりに会いに来たらこれだからねー」

「でも昔はもっとすごかったルル?」

「うんー昔はもっとすごかったなー」

やけに語尾を伸ばすナン様。

「だけど、あいつもお前を見たら驚くだろうなー」

「そうルル!あんな男相手にならないルル!」

「ハハハーそう言ってられるのも今のうちだぞー?」

「ルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」

「だからそれはやめろってー!」

「しょうがないルル。くせだからルル」

そう、デパートに死体も血の海も何もかもがなかったのは、この2人の仕業というか、そんな感じ。ただ2人は意識してそんなことをしているはずかない。


――ただ、のちにこの2人は……バカになる。あ、いや、元からバカでしたね。

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