第33話 久々の再開みたいです

俺はギルドマスターとの勝負に勝ったのだが、相手が気絶していたため待つのが面倒だった。なので、先にアイラたちに勝負に勝利したと報告をすることにした…のだが、どうやら男と話しているようだ。


「なんだあいつは?」


なんで俺がガチムチな男と戦っている時にあいつはアイラたちと話しているんだ!

…ん?もしかしてアイツは俺の知っている奴じゃないか?

そう思った俺は、一先ず男に話しかけることにした。


「なぁ、あんたは俺の嫁と何を仲良く話しているんだ?」


俺がそういうと、男はこちらを振り向いた。


「おぉ、また会ったな!」


なんと、そこにいたのは前に盗賊団の下っ端に会った時、盗賊に無理やり仲間にされていたアベレージだった。


「ここってもしかしてアンタの街だったのか?」

「あぁ、ここに俺と俺の家族が住んでるんだ。」

「…ツバサ、この人と知り合い…なの?」

「え?ホントにツバサの知り合いだったのね!『実は俺はさっきのツバサって奴の知り合いなんだぜ』なんて言ってくるから、てっきりナンパ野郎かと思っていたわ」

「俺がそんな風に見えたのか?」

「まぁ確かに俺も最初はナンパ野郎かと思っていたよ。」

「…ん、私も」

「みんな俺のことを誤解しすぎだろ…でも、確かにナンパっぽい話し方をした俺が悪かった。…そういえばツバサはアベリンと戦ってたんじゃないのか?」

「アベリン?…あぁ!さっきのギルドマスターのことか。アベリンならもうすでに倒したぞ。今はまだ気絶してるんじゃないか?」

「は?ツバサはあのノンケも喰うと言われているアベリンに勝ったのか!?そんな奴初めてだぞ!」


なるほどな、ギャラリーが絶句していた理由が分かった。そりゃこのギルドで一番強い奴がこの街に来たばかりの奴に負けたなんで信じられないよな…


「でも、そんなに強くなかったような気がしたんだが…」

「お前が本当に人間なのか疑いたくなるレベルだぜ。アベリンは一応Aランクでかなり上位に入ってる奴なんだぞ。ゲイだけど…」

「まぁ、そこそこ強かったな。だが、俺のランクはSだからAランクに負けるわけにはいかないな。」

「え?今何て言ったんだ?なんかSランクとかいうセリフが聞こえてきたんだが…」

「だから俺はSランクだぞ。これがその証拠だ。」


そう言って俺はギルドカードを見せる。すると、周りで俺たちの話を聞いていた奴らが『おぉ!』と歓声を上げた。


「は、ははは。まさか俺の知り合いがSランクの冒険者だったなんてな…あの時勝負を挑まなくて本当によかったぜ…」

「まぁ、その話はいいとして…とりあえず依頼を受けたいんだが、なにか丁度いい緊急依頼みたいなものはないか?」

「…うーん、そうだな…緊急だとワイバーンの駆除依頼が来ているな。どうやら近くの村でワイバーンが出現して困っているとか…。依頼達成条件は討伐、テイム、退治のうちのどれかだそうだ。受注できるランクは…Aランク以上だ!これはツバサにうってつけの依頼じゃないか!!」

「確かに俺ならいけるか…。じゃあこの依頼を受けよう。どこに行けばいい?」

「この依頼書を持ってそこのカウンターに行って受付のおばちゃんに聞いてみてくれ。」


とりあえず言われたとおりに依頼書を持って受付のおばちゃんにギルドカードと一緒に渡した。すると、何事もなく依頼の受注は終わった。そして向かう場所を聞くと、カーナビのような機械を渡された。どうやらこれで依頼主の所に向かうようだ。


「よし、アイラ、イズナ!行くぞ!!」

「…ん、分かった」

「了解!」


こうして俺たちは秋葉原の近くの村、サリム村に向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

街を出て30分程走ると、サリム村に着いた。

因みに今日はルーフは使わないと決めてあるので、ルーフはモンスターボックスの中だ。

村が大騒ぎになってしまっては困るからな。


「ここがサリム村かぁ…。凄い長閑な村だな。」

「…ん、空気がキレイ…」

「ほんとね、こんなところに家が欲しいわ」

「我も昔はこんなところに憧れていたものだ…」


などとのんびりした雰囲気を堪能していたが、すぐに依頼の事を思い出した俺たちは、急いで依頼人の元へと走っていった。


依頼人の家は割とすぐに見つかったので、特に苦労はしなかった。


「おーい、依頼を受けてきた者だが…誰かいるか?」


俺がそう声を掛けると、中から返事が聞こえてきた。


「はいよー、俺が依頼を出したカルチだ。この村で村長をやってる。緊急依頼を出して申し訳ないと思っているが、なにせこの村の危機だからな…そんな流ちょうなことは言ってられないんだ。」

「大丈夫だ、そういう依頼は俺たちに任せてくれ。すぐに片づけてくるから、とりあえずワイバーンがいるという場所を教えてくれ。」

「分かった。ついてきてくれ」


そうして俺たちは村長についていった…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あそこにいるのがワイバーンだ。」

「んー、どれどれ…」


とりあえず鑑定だな。

『鑑定』

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ワイバーン(変異種)


LV800


HP 6340000/6340000

MP 674000/674000

筋力 739000

防御 839000

素早さ 769000


スキル

威圧 LV7

火魔法 LV4

風魔法 LV5

光魔法 LV6

気配察知 LV10

嗅覚 LV6


称号

龍の変異種

神話の化け物

孤高の飛龍


ユニークスキル

???


加護

龍神の加護

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え?こいつヤバくね?なんか、だんだん俺より強い奴が多くなっているような気がするんだが…

まぁ、そんなことはどうでもいい!とりあえずアイラたちを避難させないと!


「アイラ、イズナ!お前たちは下がれ!!」

「…!?分かった」

「え?でも、私たちはまだ戦えるわよ?」

「ダメだ!お前たちの能力じゃ、こいつには勝てない。すまないが今だけは下がってくれ…俺の大切な嫁たちをここで死なせるわけにはいかない。」

「…分かったわ。でも、絶対に帰ってきてね!」

「あぁ、約束だ!」


そう言ってアイラとイズナ、それと村長は村に帰っていった。


「さぁて、戦いの時間だぜ!!」


そして一人残った俺は、あいさつ代わりにワイバーンに向かってファイヤーボールを放った。

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